・北海道 (2007/08/08-17) その4
8月12日
2日振りの北海道本土です。 日頃と言うか、稚内を中心とした本土は渡道の度に立ち寄っていているので、見慣れた景色や町並み、何だかホッとします。 ただ上陸したものの、朝早くて時間潰し出来るような場所も無く、港を出て国道40号線に向けてブラブラ走っていると、最近出来た箱モノ施設に遭遇。
道の駅でもなく稚内の特産物やコンビニ風の品揃えの店舗と、昔のサハリン航路の港の施設を再現したものや、温泉、道路案内、屋台村の様な食事処をゴッチャにしたような商業施設です。 一応海産物のお店もありますが、個人経営の水産業者の店舗に比べるとエネルギッシュは感じません。 何だか役所的な感じが拭えなくないです。 隣の道路案内の施設で、観光と道路に関するアンケートを書くとビン入り稚内牛乳を1本貰いました。
観光客が来るようでもなく、かと言って海産物を大々的に販売している○○水産のような派手さも無い。 道路を走っていて目立つ場所でも無いので 『 本当にコレでいいんかい? 北海道!! 』 と言いたくもなりますが、この計画は既に何年も前に約束されていたんでしょう。 活性化を狙うなら、もっと人の集まる知恵を絞って欲しいものです。 北海道にはとても観光客が寄り付きそうに無い施設が多過ぎるような気がします。
稚内副港から国道40号線沿いに南下し、オホーツクに向かう238号線との三叉路、潮見4交差点を過ぎてすぐのところを右折すると、北海道を代表するホームセンター 『 ホーマック 』 を中心に、スーパーマーケットやドラッグストア、メガネ店、百均をあわせたショッピングセンターがあります。 メガネ店に貼ってあったポスターです。
ここ数年、人気急上昇の道産子芸人の 『 大泉洋 』 。 ドラマはもとより、バラエティーでも引っ張りだこです。
一昨年出来たらしいのですが、品揃えの良いホームセンターは名寄以北には無かったので、地元民だけでなく、キャンプで旅する旅行者にも何かと手に入るのでありがたいのです。
マシン ( スーパーカブですが ) も、大阪を出発する時にオイル交換してから既に500km。舞鶴港までの120km、小樽港から北上して礼文を走って来ただけでトータル1000kmを越えていたので、ホーマックでホンダ純正 『 G1 』 オイル698円とオイルを浸み込ませてポイと捨てられるオイル廃棄箱198円も一緒に買って、このあとのサロベツステイ? で交換の予定です。
今日の宿、サロベツ原野にある民宿 『 あしたの城 』 へカブを走らせます。 コンビニでビールを仕入れて豊富駅から原野を突っ切り宿に到着。 かれこれ2年振りになります。 黒ラブの 『 のん太 』 が出迎えてくれました。 シーズン真っ盛りなのでお客さんもたくさん居ます。 ボリュームのある夕食のあと、ビールを飲みながら、今宵限りのお客さんや宿主と他愛の無い世間話で盛り上がります。
8月13日
翌朝、玄関を開けて駐車場に出てみれば、昨晩のお客さんの多さが理解できました。 シーズンならではのバイクに自家用車、レンタカーとスペース一杯です。
バイクも限定解除が当たり前のこのご時勢、国産の1300ccやBMW、ドカティなど立派なバイクが目白押しです。 自分のバイクは周りのバイクに比べても10分の1以下ですが、生産台数と燃費、便り甲斐となる信頼性は世界一です。 経済的にもライセンス的 ( 自分は中型までの限定免許 ) にも所有できない 『 ひがみ 』 か 『 負け犬の遠吠え 』 もわかりませんが、それでもスーパーカブは世界一のマルチパーパスビーグルだと信じています。
まだまだコイツとは付き合いそうな気がします。何と言っても毎日の通勤からロングツーリングまでいつも一緒ですから...
夏場は移動途中で宿泊する目的で1泊だけのお客さんが多く、朝食を済ませて8時頃から9時過ぎには殆んどの旅行者は次の目的地に出発してしまいます。1割ぐらいが連泊で、JR組はレンタサイクルで散策したりレンタカー組は宗谷岬や宗谷丘陵、温泉巡りをするパターンが多いようです。
ここで4連泊の予定の自分はいつもの事ながら、のんびり休養のパターンで、多く移動しても稚内か浜頓別くらいで、あとは何度もこの地を訪れるうちに知り合いになった人達に挨拶に行くのが恒例になっています。
今日はひとまず稚内で昼食を取るのと、宗谷地方を旅する人たちが情報交換や船や列車の待ち時間に利用する、たまり場のような喫茶店 『 おてんき屋 』 に出かける予定で、11時頃になってようやくオロロンラインを北に向けて出発します。
宿からオロロンラインに出る稚咲内交差点から数キロは利尻富士を望む絶好のビューポイントです。 礼文での3日間はもちろん、蒸し暑い雨か曇天に見舞われたここ数日間とは打って変わって今日はかなり良く山が見えています。 海を隔てて、すぐ目の前にあるのに短期の滞在ではなかなかお目にかかれない近くて遠い宗谷地方の最高峰です。 偶然その日は朝から 『 バッチリ 』 とは行かない迄も、及第点の島影に記念写真を撮ってみました。
島をバックに写真を撮る時に1996年、ちょうど12年前、同じようにこの場所で華奢な三脚でコンパクトカメラのセルフタイマーでスーパーカブで記念写真を撮っているときに、道路を走ってきたダンプカーの風圧で三脚が倒れてカメラが壊れた苦い思い出がよみがえります。 旅の初めだっただけにショックでその後は 『 写るんです 』 を購入し、旅を続行しました。
宿を出て道草を食いながら1時間ほどで稚内の町に入り、ほぼ中心部の以前公衆市場で大火で焼失した 『 中央廉売 』 のあったすぐ裏手のラーメン屋の 『 青い鳥 』 にバイクを停め、お昼にします。
ここは塩ラーメンが有名でお店に来る人の7割くらいが塩を注文します。 10年ほど前までは狭く暗い店内でお爺さんが作っていましたが、現在は娘さんかどうかわかりませんがオバサンが後継して、店舗も改装され広く明るくなって続けられています。 いかにも塩らしい透きとおったスープであっさりし過ぎる感もありますが、青い鳥ならではの味がここにあります。
ラーメン以外にギョーザも美味しいらしいと言う噂を聞いたことがあるのですが、いつもラーメンを注文するだけで食べたことが無いので次に来ることがあれば試してみたいと思います。
稚内に来て食べたいラーメン店、南稚内の 『 流華 』 と 『 青い鳥 』 は個人的には外せません。
我ながらどこに行っても食いしん坊だなぁ〜 (笑
自分の胃袋のキャパシティーにしては、ちょっと物足りないお昼ご飯ですが、この先どんな美味しいものに遭遇するかわからないので、そう言う事態に備えて少なめにしておきます。
ひとまず食事のあとは 『 お茶 』 と言う訳でも無いですが、道北の旅人のたまり場 『 おてんき屋 』 でコーヒーでもすすることに。 『 青い鳥 』 から郵便局本局に出て、交差点を50mほど南に行けば山手に目立つ黄色いお店がいやがうえにも目に入ります。 こちらも中央廉売の大火で焼失したのですが、場所を変えて何とか再開して一時期路頭に迷っていた旅人のオアシス復活と言ったところでしょうか?
店の前にバイクを置いて、ちょっとと言うよりかなり動きの良くない自動ドアを入って木製の扉を開けると、マスターの松本さんが 『 お〜ひさしぶりぃ〜 』 といつものように出迎えてくれます。
『 いつ入ったの? 』
『 独り? 奥さんは? 』
『 泊まりは城さんとこ? 』
『 お客さん居た? 』
『 仕事忙しいの? 』
『 旅行者少なくってね、店開けてても殆んどお客さん来ないんだ 』
『 天気良くなくってねぇ〜 』 と、あいさつのような会話はもう何年も同じ。 時間が止まったようで、カウンターの背後にあるテレビには30年以上前のドラマのビデオがBGVのように流れている。 けれどこの雰囲気が 『 おてんき屋 』 なのである。 いつもと同じサイフォンで淹れてくれるコーヒーを飲みながら世間話やお互い知っている共通の旅人の足取りや話題で時間を過ごします。
『 おてんき屋 』 のあとは、知り合いの手作りハムソーセージ屋さんに寄ったり、ややしょっぱい温泉に入ったり、ノンビリなのにあっという間に一日が終わって宿に戻ってまたまた夕食を食べてビールを飲んで就寝。
8月14日
今朝はドピーカン!の快晴。 今回の北海道一の天気です。朝食のあと、昨日と同じように出発する旅人を見送って、1100km走ってさすがに汚れたカブのエンジンオイルを一昨日買ったオイルに交換します。
車載工具のレンチでは足らず、宿主に工具を借りました。 途中オイル交換をする予定では居たのに、ドレンボルトのサイズのレンチを持って来なかったことは我ながら不覚でした。北海道をツーリングしようとすれば、少なくとも1000kmは走ります。 自宅から舞鶴、小樽から稚内を往復するだけで1000kmですから、下手すりゃオイル交換を2回するくらいの覚悟は必要です。 と言っても、これだけコマめにオイル交換する必要は無いのかも知れませんが、汚いオイルで走るより綺麗なオイルで走るほうが、エンジンにも精神的にも気持ち良いでしょう。
さて、作業はオイルキャップを外してドレンを緩めて廃油回収箱で汚れたオイルを受けて回収し、新しいオイルを注ぎ入れます。 慎重に汚れたオイルを抜いても、その間15分ほどでしょうか? 買った1リットル缶の6割ほどしか使用しないので、残りは荷物になるので宿主に 『 芝刈り機かスノーモービル用にでもどうぞ 』 と託し、廃油は燃えるゴミとして処分してもらいました。
宿にはオイルを交換し終わっても出発しない女性ライダーが居ました。 ヘルメットを持っているのでライダーなんでしょうが、辺りを見廻しても乗ってきたらしいバイクは見当たりません。 故障とかトラブルなど、ワケ有りのライダーなのかなぁ〜とも思ったりしていました。
昨晩の夕食の時に話す機会はなかったのですが、どうやら彼女は飛行機で北海道に移動し、友人がフェリーを使って陸路で走ってここで落ち合うそうです。
しばらくすると、ハーレーらしき爆音がしたかと思うと、宿に通じる林を抜けて案の定黄色いハーレーがやって来ました。彼女の友人ですね!
ところがハーレーのライダー、親しげに自分の方に向かってきます。 バイクのスタンドを立ててヘルメットを脱げば何と自分が1992年に初めて北海道に来たときに、屈斜路湖畔のキャンプ場で隣り合わせた当時は大学生だったK野幸太郎氏でした。
彼は原付バイクでは最も小さい 『 モンキー 』 に乗ってツーリングしていてとても印象的だったことから忘れることはありませんでした。 あれからもフェリーの船中や 『 おてんき屋 』 で偶然2〜3度は接触したことが有るのですが、今回は10年以上のご無沙汰で、彼から送られてきた 『 結婚しました 』 案内ハガキの2個のヘルメットの記憶がよみがえりました。
お互い 『 何と懐かしい... 』 と彼と奥さんよりもつき合いは浅いが期間が長いので懐かしい思い出話がどんどん出てきます。お互い年賀状くらいの付き合いしかしていないのですが、何年振りであっても名前も覚えていて昔の記憶もすぐに取り戻せる。 旅先で出会った気の合う友人ならではという気がします。
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