● 指揮  奥村 哲也 (おくむら てつや) さんにインタビューしました。 

[プロフィール]

 1982年に関西フィル弦楽アンサンブルを指揮。1985年日本ギターコンクール高校生の部第2位受賞。
 1988年に渡英しLondon College of Musicに於いて指揮法をAnthony Randall、作曲をSusan Bradshaw、クラシックギターをDouglas Rogers、Colin Arensteinの各氏に師事。在学中、College主催公演等を指揮。ギタリストとしては、John Williams、John Mills各氏のマスターコースを受け、College選抜ソリストとしてCollege定期公演にソリストとしてデビュー。帰国後、ギタリストとして、ソロリサイタルやデュオリサイタル、FM放送等で演奏。 オペラ指揮者としては、関西二期会公演「ティレジアスの乳房」「モンテカルロの女」「ドン・ジョヴァンニ」「秘密の結婚」「ルクリシアの屈辱」を続けて指揮。また名古屋二期会「ラ・ボエーム」、四国二期会「秘密の結婚」、日本オペラ連盟「修道女アンジェリカ」「ジャンニ・スキッキ」、西日本オペラ協会「愛の妙薬」「フィガロの結婚」、北九州市シティーオペラ「愛の妙薬」「椿姫」、関西歌劇団「カルメン・ハイライト」「フィガロの結婚」、鹿児島オペラ協会「カルメン」、大阪城野外オペラ「千姫」や、びわ湖ホール「泣いた赤鬼」、ザ・カレッジオペラハウスコンサートオペラ「ザネット」「マノンの肖像」等を始め、その他多数のオペラプロダクション公演や、音楽・芸術大学公演等も指揮。関西フィルハーモニー管弦楽団、日本センチュリー交響楽団、大阪交響楽団、九州交響楽団、ザ・カレッジオペラハウス管弦楽団、エウフォニカ管弦楽団、京都フィルハーモニー室内合奏団、瀬戸フィルハーモニー交響楽団、大阪市音楽団をはじめ、多くのオーケストラ、合唱団等との公演や、国内外のソリストとも共演。現在、京都市立芸術大学、くらしき作陽大学非常勤講師。


[インタビュー]

Q1. 徳島の印象をお聞かせくだざい

A1. 阿波踊りを文化として持っているこの土地ならではの、人が集まり、ひとつの事に皆で協力してゆく、そのエネルギーを大いに感じます。

Q2. オペラ徳島の印象はいかがですか?

A2. オペラ徳島の第2回公演カルメンでは、副指揮者として、合唱団を指導したことがあるのですよ。オペラ徳島にはオペラの手作り感があります。合唱団は、歌うだけではなく裏方も皆が手分けしてやっている。そういうことができるところは実際には少ないものなのです。以前にご一緒させて頂いたより何倍も、このプロダクションの特徴が今までの公演を礎に、大きくなって来られたことを実感します。


Q3. オケーストラについてはいかがでしょうか?

A3. オケピットに入るためだけに結成されているのですね。 ピットに入るということを知っていると思います。オペラの練習は、シンフォニーに比べて時間もかかるし、オペラが好きでないとできないことなんです。


Q4. オペラを指揮する上で気をつけていることはありますか?

A4. 昔はオペラの指揮とシンフォニーの指揮は違うと思っていましたが、今は基本的に同じと思っています。指揮者の仕事は、演奏者が発信することを聞き取ることです。ただ、オペラは、ソリスト、合唱、オーケストラの他にも照明、美術などの裏方も含め、いろんな立場の人が集まって初めてできあがるものなのです。相手が多いだけ、それだけ責任も大きいのです。責任も大きいですが、色々な分野のプロフェッショナルと一つの作品に向けて、「共演」(「響演」かもしれませんね)出来る事は、大きな幸せを感じます。


Q5. オペラの指揮はとても体力を使う仕事であると思いますが、何か体調管理に気をつけていることはありますか?

A5.特にはありません。指揮をしていると、曲が流れている間は時間を感じないのです。もちろん、体調を崩さないようには気をつけていますが。


Q6. 「愛の妙薬」の魅力とはなんですか?

A6. 底抜けに明るいことでしょうか。題材としては、すごくシンプルですが、いろいろと考えさせることがありますね。人間性の深いところを突いています。といってネガティブなところはまったくありません。この作品には、悪人は一人も登場しません。どの役柄も、今の現代社会でもいる、普通の人たちなのです。その人たちが一生懸命生きているそこにこそ、最高のドラマがある事を教えてくれます。


Q7. ドニゼッティの音楽とはどういうものでしょうか?

A7. オケが助けてくれない作品が多いと思います。ソリストと合唱がドラマを作り上げないといけませんね。ドニゼッティは、50年の生涯のうち、「セリア」「ブッファ」と多様な多くのオペラ作品を残していますが、そのどれもが、ロッシーニやベッリーニとは趣の違う、またのちのヴェルディとも違う、彼の個性的な表現方法が魅力です。また、本当に「声」というものの可能性と美しさを前面に表現している(それが「オケが助けてくれない」につながるのですが)とても魅力的な作曲家です。


Q8. 合唱の出番が多いと思いますが?

A8. カルメンもそうなのですが、人の力が渦巻くなかに主人公が存在しているという合唱オペラだからです。合唱団がドラマの本筋を、運んでゆく大事な役割を担い、この作品に於いて、その舞台となる村(?)がどんな所で、またどんな雰囲気の所なのかを表現している、欠かせない(合唱なくしてはこの作品は成り立たない)オペラです。なので、必然的に、登場は多くなりますね。


Q9. 最後に将来の抱負を。

A9. いろいろな作品や、いろいろな現場ともっともっと出会いたいと思っています。

(談)






● 演出  籔川 直子 (やぶかわ なおこ) さんにインタビューしました。

[プロフィール]

 大阪音楽大学器楽学部ピアノ科卒業後、同大学専攻科声楽学科演出修了。在学中に中村敬一・井原広樹両氏・故芦田鉄雄氏に師事。専攻科修了後は演出助手として関西を中心に活動。
 関西歌劇団(‘00~’09)・伊丹市民オペラ(’99~)・河内長野マイタウンオペラ(’06~)に毎回参加する傍らザ・カレッジオペラハウス・関西二期会・堺シティオペラなどに参加。
 演出活動はザ・カレッジオペラハウスコンサートオペラシリーズ(‘05~’09まで構成として参加)‘10にはシリーズの締めくくりとして「蝶々夫人」を演出。丸亀シティフィルハーモニックオーケストラ第八回演奏会にて「フィガロの結婚」(抜粋)構成・演出。その他、河内長野ラブリーホール「Turandot」「Don Giovanni」・‘10から関西二期会サロンオペラシリーズに参加「愛の妙薬」「コジ・ファン・トゥッテ」「リゴレット」「ドン・パスクァーレ」・堺シティオペラ「アマールと夜の訪問者たち」・広島Maya Opera Produce「メリーウィドー」「ウィーン気質」・ドリームオペレッタ高知第一回公演「こうもり」。
 平成24年度伊丹市芸術家協会新人賞受賞。

[インタビュー]

Q1. オペラの演出家になろうと思われたきっかけは何ですか。

A1. 大学では初めはピアノ科だったのですが、在学中に演劇部に入っていました。オペラは、視覚的に楽しめる演劇的要素と音楽のドラマが一体化しており、それまで触れた事のないジャンルとして興味が湧きました。卒業間近に決心し、もう一年かけて演出の勉強をしました。


Q2. これまで演出したオペラで好きなものは?

A2. 今まで出会ってきた作品のいずれも公演を経るごとに新しい発見を与えてくれていますので、絞りきれないです。作品を問わず出会える作品にチャレンジし続けたいと思っています。後はバロックオペラは様々な理由で日本では上演が難しいのですが、機会があれば挑戦してみたいです。


Q3. オペラ演出に当たって一番大切なことは何ですか?

A3. 舞台の上から客席に何を届けられるか。お客様に喜んでいただくこと。それと出演される方々に楽しんでもらうことです。


Q4. 「愛の妙薬」の演出のコンセプトは? どんな作品ですか?

A4. 「愛の妙薬」の演出は今回で3回目です。今回も新しい発見が沢山あり、やればやるほど見えてくるものがあります。ネモリーノとアディーナの純真さが際立つ為には、他の人たちのエネルギーの高さが不可欠です。特に合唱の方の出演箇所はとても多い作品ですので次々と目の前で起こる事件に対して鋭い喰い付きでドラマに参加して欲しいと思っております。


Q5. ドニゼッティの音楽とはどういうものですか?

A5. ドニゼッティは沢山のオペラを作曲していますが、現存しているもの、まださほど上演回数が多くないものも、価値あるものばかりです。 ドニゼッティの音楽は、音楽から全ての人格を作ることができる幅広さを持っています。


Q6. オペラ徳島の印象はいかがですか? 

A6. 元気なところ。本番まであと少しですが、 追い上げの意欲が素晴らしく、本番が楽しみです。


Q7. 徳島の街の印象はどうですか?

A7. 稽古で伺うたびに街中で何かしらイベントがあり、活気のある街です。阿波踊りを生で拝見した事はまだないのですが、徳島の方々は団結力に富んでいるのだろうと思いました。

(談)





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L'elisir d'amore Interview
第16回公演「愛の妙薬」 インタビュー