● 指揮・演出  松本 憲治 (まつもと  けんじ)  さんにインタビューしました。 


[プロフィール]

 東京藝術大学音楽学部声楽科卒。
 作曲を高田三郎、島岡譲、早川正昭、その他の諸氏に師事。
 現在、舞台芸術やアートイベント全般に広く関わる。
 オペラの指揮、演出では、四大モーツァルトオペラから「椿姫」「カバレリアルスティカーナ」などのイタリアオペラ、また、オペレッタものも得意とし、「ウィーン気質」の台本、訳詩なども手がけている。
制作では、広島市・広島市文化財団・文化庁などの主催で行われている「ひろしまオペラルネッサンス事業」には、創設から中心的に関わっている。
 オーケストラ曲や合唱曲の指揮・編曲の外、作曲は現代音楽から室内楽、劇音楽まで多様にわたり、歌曲、合唱曲、フルート曲などの作品が出版されている。
 クラシックステージ、現代アートイベントの企画・制作・構成・演出のみならず、演劇、ダンスステージの演出も手がけている。
 地域の芸術文化振興について積極的に携わっており、市民のための「歌曲サロンコンサート」開催は11年目を、親と子のための名作童話シリーズ「おはなしおんがく」は5年目を迎えた。2004年より月に1回NHK広島・昼前ワイドに出演し、番組の構成・編曲・司会をしている。
 2005年広島文化賞(個人賞)受賞。


[インタビュー]

Q1. 広島にお住まいですが、徳島について、どんな印象をお持ちですか?

A1. 徳島に行く前は「あの〈坂東英二さん〉の出身地!み~んな野球が好きらしい」「県民全員が阿波踊りをしているらしい」「県民全員が徳島ラーメンを食べているらしい」「青く広くきらめく太平洋に囲まれて、県民全員が明るいらしい」くらいの「予断」イメージを。徳島に行きはじめてからは「どうも〈県民全員〉ではないらしい」と(笑)。徳島駅前の古本屋が無くなったのは、ちょっと淋しいのですが、あわただしい稽古の往き還り、合間に感じるのは「ゆったり」しているのかなあ、と。


Q2. 今回は久しぶりのオペラ徳島の指揮・演出です。また、奇しくも2002年は今回と同じく「こうもり」でした。オペラ徳島は成長したでしょうか。

A2. 「地方の市民オペラ」はどこも大変でしょうが、まず「継続」が保たれているのはスゴイこと!しかも演目も本格的。オペラはまず「制作システム」が大変。つぎに「スタッフ・モチベーション」なのでしょうが、たしかにそれらは成長しておられるようですね。


Q3. ヨハン・シュトラウスの「こうもり」とはどんな作品ですか。

A3. 「ウィンナ・オペレッタ」の醍醐味は、何より19世紀末の文化の「成熟・爛熟」の愉悦でしょうか。「喜劇」のエッセンスである「人の世のならい、人の心を全て見透かし、新しいものは何も無い」と達観ぶる、いい意味での貴族趣味、余裕。自分さえも笑い飛ばすユーモア、エスプリ、品をやぶるか破らないかの「きわどい」わるふざけ。甘く諧謔に満ち充実した音楽。そして、詰まる所は「あれこれあっても愛すべき人間、人の世」という「人間愛、人間肯定」。「オペレッタの背景」から「J.シュトラウスのウィンナ・オペレッタ」の「講義」は、次回の稽古で。これはシケンに出ます!(笑)。


Q4. 指揮と演出を兼ねていらしゃいますが、ご苦労は。 また、兼ねることにより有利な点はありますか。

A4. 当然、本来は別々の人でやるべきなのですが、小生の場合兼ねることが多いので(そういう要請が多いので)、苦労はさほど感じないません(鈍感?)。一番の問題はやはり通しやGP。本来、指揮、演出を兼ねることは(より良い本番を作るという意味では)有能な副指揮さんと演出助手さんがいないと成り立たないのですが、オペラ徳島は有能な音楽スタッフが育ってきましたね。専門的に見てメリット、デメリットいろいろありますが、メリットでいえば「キャスト、スタッフ、全ての関係者の動き、思いが把握できて、作戦が立てられる」ということでしょうか。


Q5. 今回のキャストについて、練習を通じての印象は

A5. 歌唱は、みなさん素晴らしい!個性的!素敵ですね! アンサンブルも。 コーラスも頑張ってます! あとはみなさんの「不得意」の「芝居」を磨くのみか(汗)。


Q6. 松本先生の演出指導や指揮ぶりを拝見していると、僭越ですが大変姿勢がよく、感心しています。日頃から何か気をつけていらっしゃることはありますか。

A6. この質問、まず「〈姿勢〉しか見トランノカイ!」と絡みたくなりますが(笑)、自分では全く気にしておらず、よくそう尋ねられるので、え?といつも。ただ、思い返してみれば、要因といえばいえることが2つほど。だけど詳細は、ヒ・ミ・ツ!


Q7. 最後に、今回の公演の抱負についてお聞かせください。

A7. 当然ですが、キャストさんには120%の表現をしていただいて、「J. シュトラウスをお客様に伝える」楽しみを! それはお客様には、思う存分楽しんでいただきたい、ということです。そして、スタッフのみなさんも、それを「作り上げる喜び」を!・・・実は、内心一番楽しみたいのは小生。さて、どの位楽しめるか!本番はどう出るか!・・・デス。




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Die Fledermaus Interview
第12回公演「こうもり」 インタビュー