「ねつ造なんか怖くない」と言い切るために


三寒四温を繰り返してやってくるはずの春が
一足飛びにやってきそうな2007年。

『冬の最後の日にカーテン開けて夜更かしすると
女の子はタマネギ頭の冬の精に取り付かれちゃう』というのに
平気なのでしょうか?

懐かしい清原なつのさんの漫画『早春物語』。
若い世代の方は知らないでしょうね。
街路のハクモクレンの花芽もだいぶ膨らんで、
じゃわさんの倶楽部は7年目の春なのです。

雨ニモマケズ、風ニモマケズ…
私ハコウイウモノニナリタクナイ!
で、気付けば7年も。

シェフのサラダ並に気紛れな実況者におつきあい頂きましたことを
改めて感謝します。

それにしても昨今のスポーツ報道における
ステレオタイプな『常套句』と『あおり』の大合唱は
ちょっと凄いですね。

なんでも『独占中継』、なんでも『緊急放送』、なんでも『世界が震撼』、
なんでも『魅せてくれました』、なんでも『究極の』、
なんでも『あるある』…なんて、ね。

『おおきな声を出した方が勝ち!』
『既得権にはしがみつこう!』
なあんてマスコミと付き合っていくのは
真摯なスポーツファンには辛い時もあるんじゃないかな?
ちょっと心配しちゃいます。

えっとね、TVは長〜く進化が停滞しているメディアなのです。

僕はローカルのラジオ局を経て、
キーステーションの報道にいる時に東京の警視庁、国会、
司法記者クラブなどの仕組みを知りました。
NHKのスポーツ報道番組の制作現場には十数年いて
ここでもとても多くのことを学びました。
そして今はCS放送の現場にいるわけです。

みなさんにメディアの仕組みを体験して来た上で伝えたいのは
『不思議なことなどなにもない』という
京極夏彦さんのような一言です。

TVは何故、時として騒々しい伝え方をするのか?
TVの仕組みやバイアスについて十分な想像力を働かせて

ねつ造なんか怖くない!

と、言い切れる頭のいい視聴者でいて下さいね。
TVが重い腰をあげて変わっていくためには
視聴者の視線が変化していることに気付かせるしかないと
思うのです。

昨年、
僕らの国のフットボールと代表はそれなりに大きなダメージを負いました。
大会前、マスコミとサッカー協会は大騒ぎしたのに
大会の後はフォローしなかったからです。
何故大騒ぎしたのか? 何故フォローはしなかったのか?
等身大の実力はわかっていたはずなのに。

簡単ですよね。

きっと2010年が近づくと
歴史は繰り返すというか
次も盛り上げちゃって
ああ駄目かあ、なんてまた黄昏ちゃったり…。
でもね、それは
世界のどこの国にもあることなのです。

フットボールの文化なんてそれこそ三寒四温。
ゆっくりと暖かく、逞しくなっていくものなのだろうと思います。

文化はミルクレープのように薄くすこしずつ積み重なっていくもの。
一足飛びに春、なんてやっぱり変なのです。

ワールドカップ翌年のフットボールはどこの国でも
バブリィではないので
2007年はストレートの配球を多めにして
それなりのオーソドックスでやろうと思っています。

もうすぐ本物の春です。ラブリィな毎日をお過ごしくださいね。

           なんちゃってな春の日に
     倉敷 保雄


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