「倉敷さんならではで賞」
報告書No.775 “古の苦労話”(by ぐささん)
ブラジル全国選手権第34節「サンパウロ対パルメイラス」戦より
この試合の線審はアナパウラさんです。
倉敷「あっ映りました」
向笠「やった」(笑)
倉敷「パチッ・・・
あの、今みたいにビデオもなかった、でハードディスクレコーダーもなかった、
ビデオキャプチャーもなかったという時代というのは、
テレビの画面は普通の」
向笠「カメラでね」
倉敷「銀板のカメラで、いわゆる35mmカメラので撮ってて、
撮る時に走査線の枚数が気になるんで、
シャッター速度を1/15より落とさないと走査線が映るんですよね」
向笠「入っちゃうんですよね」
倉敷「そうするとアナパウラさんの顔のところに
ちょうどこう黒いのがスーっと入ったりするとやだなって」
向笠「なんだーってね。それで失敗したことが何回もありますよね」
倉敷「僕も何回もありますね。部屋暗くしないといけないから、ね、いろいろと。
始めのうちはわかんないもんだから、フラッシュたいちゃったりして」
向笠「(笑)画面にね」
倉敷「モニターって光発してるのに、そっちにこっちもフラッシュやっちゃったら
映らないだろ〜っていうね、そんなおばかさんなことに気がつくまで
何回もフィルムを無駄にしましたね。昔の話ですけど。
今便利ですよね」
向笠「そうそうそう。でもね、そういう失敗があってからこそね」
倉敷「はい」
向笠「人間成長するわけですから」
倉敷「なるほどそうですよね」
向笠「今みたいに簡単にね、なっちゃうと、だめだよね」
倉敷「そうですよね」
向笠「工夫しようというさ、気持ちがないでしょ」
倉敷「ないですよね」
向笠「ね?」
倉敷「1/30のシャッタースピードだと薄く入るんですよね、走査線がね」
向笠「(笑)よく覚えてるなあ」
倉敷「そうだ三脚使ってフラッシュ消して」
向笠「そうそう三脚。すっごい大事」
倉敷「でレリース使ってやらないといけないんですよね。
で今みたいにビデオとるわけじゃないから、
リアルタイムのテレビを前にして勝負するわけですよね」
向笠「だから一度失敗しちゃうと、もう取り返しがつかないわけですから」
倉敷「つかないんですよ。
でも、どうしてもこの選手の資料がほしいとか
とっときたいというと、そういうことやってたんですからね」
*実はこの部門のトップは大賞受賞作品だったのですが、僅差で次点に入った作品を繰上入選としました。
繰上次点は報告書No.780“What is 苦虫?”(by ぐささん)でした。