西穂高岳と上高地①。

この一週間続いた高気圧が東へ発つ前日の10/12日早朝、ご来光を待ちわびる登山者が集まり始めた西穂高山荘前デッキ。昨夕、新穂高温泉着、ロ-プウェ-を経由してから、90分ほど山を登り、西穂高山荘(2370m)に着きました。チェックインを済まし、10帖の部屋に知らぬもの同志10人という山小屋独特の雰囲気にじっと過ごした一夜。高地のせいかいつもに増して美味い生ビ-ル2杯でも、なかなか寝付けませんでしたが、 AM5:56、足元からの冷え込みを忘れさせてくれる見事な日の出。合掌。今日、目指す山は西穂高岳(2909m)。予報通りの快晴で、視界良好。山荘の向こうには焼岳、さらに乗鞍岳を望み、一歩ごと一息ごとに満たされていくココロとカラダ。昨日、麓で別れたオクさんとタケは旅館で、まだ寝ていることでしょう。
山荘から90分ほどで着く西穂独標(2701m)を過ぎれば、西穂高岳まで大小13の岩峰が連なり、それまでの穏かな稜線とは一変して険しい岩稜。前を行く登山者に落石しないよう間隔を開けて、ゆっくり進みます。高度感はありますが、穏かな風と乾いた岩肌のおかげで、怖さはありません。数年前に、独標まで来たときは天候が悪く、谷から湧きあがってくるガスを見て、この先へはとても進めないと感じました。
眼下には、上高地。明神岳の向こうから、やってくる梓川。かすかに見える帝国ホテルの赤い屋根。今晩はその屋根の下、ふかふかベットで寝る予定。昨晩は寝返りもできないギュ-ギュ-詰めだったので、いと、楽しみ。
いよいよ、山頂直下の登り。空がどこまでも青く、早く上へと急く気持ち。とはいえ、上におられる登山者からの落石があるやもしれず、しばし、休憩。その間、穂高を超えて飛んでいく2機のヘリコプタ-。山で聞くロ-タ-音は事故を想像させるので不安に感じます。
そして、AM9:30、西穂高岳(2909m)着。奥穂高岳を中心に左方向へ槍ヶ岳、右方向に前穂高岳から明神岳までが見える絶景。ココロから湧きあがる歓声が、カラダ中を駆け巡る瞬間です。
西穂高岳から先、奥穂高岳へは、北アルプスで最も険しいという岩稜縦走路。そのスタ-ト地点まで進み、西穂高岳を振り返る。越えてきた13峰の向こうに焼岳。そのほか、富士、南アルプス、そして、八ヶ岳の峰々が空に描くシルエット。「下りるのがモッタイナイですねぇ」と話しかけてくるのは、そばにいる登山者。まったく、大同心。一時間ほど、ボッ-として下山。

2011年10月16日