焼岳へ②

鞍部に到着。立派な噴煙とシューシューという噴き上げ音、火口湖など、見せ場たっぷりです。南峰は火山性ガスにより、立入禁止となっているのかと思っていたら、崩落がその理由の様です。鞍部から頂上へは、すぐです。最後のきつい斜面にも、周辺の岩を硫黄色に染めた噴煙口があり、後に続く夫婦が「吸わないようにね」という会話をしていました。真意はいかに?ともあれ、無事、山頂。どうしてよいかわからないほどの絶景。まったくガスがなく、3000m級の白い頂きが青空に映えていました。さっそく写真を撮ろうとすると、途中、ワタシと同じく顔がホコロンだ人が、狙っていたポジションに三脚を据えてしまった。オヌシなかなかやるナ。
それにしても、天気がいい。焼岳南峰向こうには、冠雪した笠が岳が見えます。新穂高ロープウエェーが小さな白い点となって動いています。奥穂高から槍ヶ岳に続く怖そうな尾根も、蛇行する梓川も、2,500円のビーフカレーがとても美味しい上高地帝国ホテルの屋根もはっきり見えます。でも、あんなに賑わっている上高地のその他の施設が、すっかり木々に隠れて見えないので、ホっとしました。それにしても、信州の山にはえんじ色の屋根が馴染みます。先の帝国ホテルも、清里の清泉寮も、木曾の山間にある集落も、季節を問わず、えんじ色のいい屋根をしています。
実はこの焼岳登山、オクさんとムクも一緒にするつもりでした。しかし、直前になって、犬の入山は禁止されているという注意を、近くにいた登山者から受け、私一人で行くことになりました。禁止理由は「生態系を壊すから」というもの。もう少し詳しく聞こうとすると、「環境庁に聞け!」「常識やろ!」と言い放たれました。犬のおしっこが原因なら人間のはどうなのだ、高山植物を採取するのは犬ではない、などと理屈を言っても仕方ありません。この犬は行儀がいいから入山可、この人は悪いから不可というわけにいかないから、犬と人に線引きするしかない。その線引きに私たちが不注意だったのです。ただ、このことについて、今、思うことは、ある程度険しい山への犬連れ入山禁止の理由が、落石の起因、他動物への興味からリードが引っ張られ、そのはずみで飼い主が足を痛める、狭い登山道で犬を苦手にする人とすれ違うのに危険である、ということではないか?また、生態系をもっとも壊すのは人間ではないか?ということです。

2006年10月20日