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出会いのいきさつ  
                               

  いつも一緒にUコン飛行機で遊んでいた友人が
高校中退して(実は遊びすぎて単位取れなくなった)
日本橋の某有名はオーディオショップに就職した。
 その影響を受け休みになればそのショプに通い
ショップの試聴室の驚愕な高級装置を
いつも聞かされ耳がどんどん肥えていった。

 彼も店から高級オーディオ部門を任されるようになり
商品のディスプレイや売上げ管理までもするようになって、
かなりの部分で自由にできるな状態のようであった。

 私が行くとアンプとスピーカーの自由な組合せを
瞬時に切替えする操作を勝手にさせてくれたりして
私の購買意欲をさらにくすぐるのであった。

 それからだと思うが私にもそれなりに
スピーカーに対する評価が出来るようになっていった。
 友人と意見が食い違うこともあった。
 しかしその友人が試聴室に新製品をセットする度に
私の意見を求めるようになっていた。
 他のお客さんが先に来て試聴していても
私が来るとその客を追い出してまで優先してくれた。
 いや別に私が大のお得意様だからという事ではなく、
私に音を聞かせて自分がセットした装置を
評価してほしかったのだと思う。

 彼の大のお得意様は他にたくさんいたし、
そのころからか私に売る気をすでに無くしていたようだった。
 なぜならどんな高価なスピーカーや高級アンプに取替えてしても
ケチを入れてはその装置を貶していたのでした。
 別の友人から
「あいつ(私)にはもう売らん、
ケチばっかりつけて買わない」と
グチを聞いていた。
 それでも私が行くといつも自らコーヒーを
出してくれたりして歓迎してくれていた。
 店に対する不満や上司への不満は当時よく聞かされた。

 彼はいろんなオーディオメーカーの営業マンや技術者との
接触が多くそこで得た裏情報をよく教えてくれた。
 メーカーどうしでも結構ケチの付け合いしているようであった。
 あのアンプのトーン回路の部品が
どうしても納期に間に合わなく
初ロットだけひとつ下のグレード品を
採用したらしいとか類似した話はよくあった。
 それがどのように音に影響するか
聞き比べしてもわかるものではなかった。

 開店と同時に入っても店を出る時は
いつも空が真っ暗でネオンの明かりが妙にきれいであった。
 休日の一日があっという間に暮れていた。
閉店と同時に彼の家に一緒に帰って、
また彼自慢の装置で音を聞く事もあった。
彼は応接間の壁に穴を開けて
隣の自分の部屋全体をスピーカーBOXにしていた。
 行く度に家族からはたいへん迷惑していると聞かされていた。
 同類族としては耳が痛い思いを何度か経験した。

その彼も今は亡き人となってしまった。
 天国でまた
自慢の装置でいい音ならして聞いているのだろうか。

 パリのアメリカ人とう曲を聴くと
いつも彼の事を思い出す。

いい装置から出る音は何時間聞いても心地良く聞ける。
 つい時間を忘れてしまう。
いい措置というのは高価な機器を
単に並べただけではなく
部屋を含め全体のバランスが
取れていて例えば16cmシングルコーンの
スピーカーでさえも驚くほどいい音で聞ける。

 スピーカーから出てくる音は自分自身の心の状態、
精神状態に大きく左右される。
 やはり行くつくところは
自己満足の世界になるのだろうか、
満足してしまえばレースは終わり、楽になれる・・・。



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