IC7800の個人的評価(その1)

一昨年11月に古希の祝いとしてIC7800を買った。今年で満1年+αである。PROIIから7800へ乗り換えて なにか変わったことがあったのか、なかったのか。運用の90%が電信という偏屈屋が見たIC7800の感想を少し書いてみることにする。

総合的な評価(CW運用、LOW-BAND運用と こだわった見方に終始している)

CWの運用に付いては ICOM製品に慣れているせいもあるが コンテスト、パイル時、日常の運用に不満はない。SSBの運用は僅かなので感想を述べるほどではないが標準的なレベルであろう。 RTTY/PSKの運用が付属品なしで出来るのは なかなか便利である。
6mは運用した事がないのでパス。しかし、7800の価値は環境条件の悪い場所で発揮される。人工雑音皆無の所ではPROIIでも7800でも変わりはないと思うのだが。

導入前に使用していたPROII に比べて違いを感じたのは次のような点である

@背景雑音が少ない。(当方の場所は住宅団地で160mを聞いていると結構 外部雑音がうるさいのだが、7800は割合静かである)

A聞いている信号(CW)が近接の混信信号であおられることが少ない。(ルーフィングフィルタ/DSP変更が効いているのだろう)

BRTTY/PSKが付属物なしで即 運用できる。但し、キィボードは必要。(復調装置、表示装置が要らないのは なかなか便利である)

Cスコープ画面が広くなり 見やすくなったがRTTY/PSKの復調表示は小さくて老人にはつらい。(私には15インチ液晶表示が必要。Hi)

DせっかくRTTY/PSKが運用できるのにRTTYの同調指示がFFTとウオーターホールだけは残念。(弱いRTTYはクロスパターンがほしい)

E200W出力にしては冷却ファンが静かである。通常では全く気にならないレベルだ。

Fモニタ部分が高周波電界に弱い。(CWモニター音が濁るのはCW屋にとって これほど不快なことはない。もちろんSSBでも同じだが)

G内部メモリーによる交信レコーディングは便利である。(何度も聞いて確かめることが出来るのは嬉しい)

Hしかし 重い!!(ぎっくり腰体験者は要注意ですぞ)

各部の評価その1(アンテナ入力から第一ミキサまで)

アンテナ入力コネクタの使い勝手は
アンテナ入力コネクタは4つあり、各部単独切替、バンド別指定の自動切換え、入力4を受信専用入力に使い、残りの3つをバンド別に使い分ける、などの方法が選べる。160/80mなどで受信専用アンテナをつなぐ時には便利。しかし、PROIIでも受信専用入力はある。

プレアンプ/ATTは適切な設定か?
まずはプレアンプだが、Low-bandでは殆ど使用する機会がない。30m以上のバンドではPre1/2を使う機会が多いが特に問題はない。
ATTは3dbステップとなり、Low-band愛好者にとっては歓迎する設定であるが、12−9−6のように逆進が出来ないのは惜しい。3db元へ戻すのにー18dbまで行き、更に0−3−6−9としなければならないのは手間がかかる。と云うのは贅沢かな。

DIGI-SELの効果はどうか?
正直なところ効果はわからないとしか云えない。BANDを160mに設定、スコープ画面を250khz巾ぐらいにしてDIGI-SELをON/OFFすると、確かに目的周波数から離れた周波数の信号や雑音レベルは下がるが目的信号も少しレベルダウンするので挿入損失で減るのか、不用信号排除の結果なのか判断出来ない。また、1年間の間に これを使った事は ほとんど無い。測定器で測れば違いが判るのだろうけど。

初段ミキサーの能力は?
昨年はWW-CW80m、160m、ARRL−CW80m/160mとコンテストに使用し、パイル参加専門の日常でも全く問題なく使用できた。もちろんミキサー以降の信号分離能力が大きく関係するが、国内の9+40db信号が乱立する80mでも1khz離れた弱い信号があおられずにコピー出来る場面に何度も遭遇している。(もちろん Pre-ampはOFF、ATTは0〜3db)やはりPROIIとは差がある。

ルーフィングフィルタの設定は?
当初、6khzが最小巾だったがVer-upで3khzが選べるようになった。CWマンとしては大変効果があった改良である。DSPへ落ち込む前に混信の信号が減少するのでDSP内で設定されるAGCが目的信号で制御されるようになったのと、バックグランドノイズが かなり減少した。
CW屋としてはドレークなみに500hzを入れて目的信号のみとし、DSPはスカート部分の切り落としに専念してもらいたいところである。

次はDSP-FILTERと その周辺部について。

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