アンテナの再検討(同調周波数を簡単に可変できないか)
冷却期間を置いて色々考えましたが、どうもアイディアが浮かびません。そんな時、EHアンテナの時に外側のシリンダカバーに金属ベルトを巻いて共振周波数を変更したことを思い出しました。 しかし、ショートリングを入れるわけですから、コイルのQを下げるのではないかとも思います。やはり、検証してからにしようと実験を再開しました。(この検証はコイルのQシリーズに述べてあります)
一方 前回では共振周波数を大幅に下げた60mmマストを逆利用できないかをCPUに予測させました。

定数 MV単独 マスト並列
コイル 206μH 190μH
容量 37pf 40pf
Q 40.3 40.1
バンド巾 45khz 45khz
共振 1824khz 1822khz

クリックすると大きくなります。
元の大きさには『戻る』を押す。

左の表と図がその結果です。 この予測ではマストはアンテナの性能には直接関係しそうな結果が出ませんでした。ただ、共振周波数が下がるだけのようです。従って 共振周波数を同じにしてやればいいのでインダクタンスを変化させました。なお、コイルのQは40の設定です。

このアイディアは 『コイルのQ』 の最終レポのとおり、うまくいきませんでした。10%どころか2%ぐらいしか可変できません。微調整にはなりますがエレメントを調整する方が早いです。しかも、シュミレート結果では横のマストにも誘導電流が流れ、損失が多くなりそうな気がします。まあ、マストから再輻射があると考える楽観論もありますが無理ではないかと思います。
もう一度2ミリの線でやる元気も当分無いので 『コイルのQ』 最終版で作ったものを そのままテストに使用します。少し乱暴に巻いた所を修正しながら仕上げたところ Q=62になりました。雨用のカバーも作ったので一応屋外へ放置しても大丈夫でしょう。   

仕上がり前のコイル

Q測定中です

コイル全体の写真

左の写真は出来上がったコイルの全体像とQを測定中のものです。いずれもクリックすることで画像は大きくなります。格好悪いペットボトルの雨除けとはおさらばです。Hi
インダクタンスは187μH、コイル径は32mm、コイル長は270ミリ、巻き数は223回、線は1ミリのエナメル銅線のつぎはぎです。

M-Vアンテナの設置に関する注意点の追加(4月11日追記)
毎日雨なので本を読む日が多くなりました。昨日、JA1CA岡本さんの本を再読していたところ、M-Vと全く同じ発想のアンテナ(簡易ダイポールと呼ばれている)が既にあったことがわかりました。(初版1974年、改訂1996年)著者に無断で申し訳ないですが、其の部分を引用させて頂くと 垂直ダイポール同等のアンテナで上側のエレメントは非短縮ですが下側のエレメントを同軸の外皮で代用し、1/4波長の点で高周波を分離する為に同軸をコイル状に巻いてチョーク動作をさせる。例として10mの簡易ダイポールという形で紹介されています。このチョーク動作をさせるためのインダクタンスは10mで30μH以上とのことですから、インピーダンスとしては6kΩ以上です。設置については下半分(1/4波長)を支える部分が金属では完全な動作を期待できない。木、竹、などを使用しなければならない と書かれています。

従って 私がテストを試みたタワー側部を支持部分として使うのは駄目なようですし、30センチ位の間隔でマストがあるということも金属の支柱があることと同じですから好ましくありません。やはり 当局ではベランダ+グラスポールしか手がないようです。
もう一つの問題点は同軸をタワーから、離すことが出来ず、電流部分の大半がタワーから1〜2メートルの間隔でした。これも、タワーとの誘導を考えると好ましくないことでしょう。無理やりアンテナを合わせても満足できる動作は期待出来そうにはありません

また M−V考案者の考え方はカウンターポイズの同軸長をわざと1/4波長にせず、短く設定しています。この理由は判りませんが考案者の原文では はっきり1/4波長が必要だと書いています。SWRを下げる工夫のためかもしれませんが、この通りやると容量エレメントを長くしなければアンテナ全体が同調しません。(そのために可変部分を作ったとも考えられますが)

従って 私が最初にトライした時、上半分を接地して超短縮の接地アンテナとし1823khzに同調させたことは間違いでした。シュミレートの結果でもカウンターの長さは直径10ミリの同軸を想定した設定ですが42m弱が必要と電算機は計算しています。
私の注意不足ですが同軸は外皮をカウンターとして使うのですから当然短縮率は97%ぐらいです。1823khzの97%は41mぐらいになりますから、その面から考えても33mの同軸では同調するはずがなかったといえます。テストの状態では上半分の金属体接近による容量分の増加とインピーダンスの変化、下半分の支持がタワーだった事によるインピーダンスの変化などによる同調点の移動、ロスの増加があったのではないでしょうか。単にコイルのQだけの責任ではないように思います。
ですが 160mの1/4波長を垂直に降ろすことは当局では不可能です。従って 次回は5.5mのグラスポールに取り付ける形になります。
同軸は大部分が屋根の上で泳ぎ回ることでしょう。どんな結果になるか楽しみです。Hi

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