kids通信
         




登園基準について

保護者各位

いそかわキッズクリニック
園医 礒川利夫


今回、小児科医の所見から、登園についての判断基準を示してほしいとのご要望がありましたので、登園基準についてお話させていただきます。
入園後1年ぐらいで免疫ができてくると風邪にもかかりにくくなってきますが、通園していると、風邪を引いたり治ったりを繰り返します。お互い様なのですが、園で病気をもらったとか、元気なのに登園させてくれないという苦情が出たりします。
まず、一般の発熱の場合です。発熱は、37.5℃以上を発熱とします。電子体温計は、短時間で測れるのですが予測値なので、高めに出ることもあります。ちょっと高めに出た場合、水銀の体温計で、再測定することをお勧めます。朝、解熱しているからといって、保育園に連れて行くと、保育園で熱が出ましたと呼び出しを受けたり、他の園児に感染したり、逆に他の園児から感染したりします。1日は熱が無く、元気なのを確認してから登園してください。
次に、全身状態です。全身状態をみるコツは、子供にも個性があるので、食べなくなれば、話さなくなれば、遊ばなくなれば重症であるとするバロメーターを持つことが大事です。辛そうならば、無理させないでください。
そして、食事です。最近、夜型の生活で睡眠不足の園児が多く、腹痛や頭痛を認めます。食欲がなくて朝ご飯を食べない園児が増えています。園でも給食があるので、食事ができない状態で連れてくるのはかわいそうです。晩ご飯から朝ご飯まで、12時間以上間隔が空くので、朝ご飯は三食の中で一番重要な食事です。共働きの家庭も多く、一家団欒できる唯一の食事にもなっています。朝ご飯を摂らないと脳に糖分が充分行かないので、体も脳も目覚めません。子供は予備能が少ないので低血糖にもなります。親が朝ご飯を与えないのは、一種の虐待です。園で給食を食べるまで元気の出ない園児はかわいそうです。病気を予防し、賢い子供を育てる為にも、「早寝早起き朝ごはん」を心がけてください。
それから、排便です。以前は、2歳でおむつがとれていたのですが、今は、4歳でもとれていない子供を見かけます。夏場にかけて紙おむつは蒸れるので汗疹に注意してください。おむつは、容量が限られているので便秘になりやすいです。排便は食べた後と起きた時が出やすいです。朝ごはんの後がいちばん出やすいので、出なくても便座に座る習慣をつけてください。朝、排便をしないと腹痛や頭痛を伴うことが多いです。睡眠不足も便秘の要因になります。
次に、個別の病気について説明させていただいていますので、ご参考になさってください。




個別の病気について
ウイルス性腸炎 嘔吐や腹痛や頭痛を認めて、食欲が無くて朝御飯も食べない場合は、登園できません。下痢は、目安として、1日に5回以上ある場合は、登園できません。下痢は、治るのに1週間以上かかる事もあるので、食べたら出るぐらいで、食欲もあって元気であれば、登園可能です。腸炎の場合、いつまでも水分をたくさん摂っていると水分の再吸収も悪いので、下痢が治らないことがあります。
インフルエンザ
インフルエンザは、解熱後2〜3日は感染するので、発症後最低5日間かつ3日間熱が無いのを確認してから登園してください。インフルエンザが園で流行している時に発熱した場合は、検査が陰性でもインフルエンザに準じて2日間熱が無いのを確認して登園してください。これを守らないと、園で大流行します。
おたふく風邪 おたふく風邪は、耳下腺腫脹が消失するまで約1週間登園できません。潜伏期が2〜3週間あるので、しっかり休まないと2〜3週間毎に園で患者が発生します。おたふく風邪は、罹るとかなり痛いのと、難聴になって後遺症が残って、髄膜炎や、睾丸炎や卵巣炎にもなる辛い病気です。必ず1歳になったら早めに予防接種してください。
水 痘 水痘は、全ての発疹がかさぶたになるまで約1週間登園できません。潜伏期が2週間あるので、しっかり休まないと2週間毎に園で患者が発生します。痒い発疹がでるので、アトピー性皮膚炎乾燥肌等の皮膚の弱い人は1歳になったら早めに、遅くとも、お母さんが働かれるまでや入学までには、予防接種してください。
溶蓮菌感染症 抗生剤治療開始後24時間〜48時間経てば登園可能です。除菌する目的で、10日間くらい抗生剤を内服する必要があります。まれに腎炎になりますので、2週間後に検尿します。
とびひ アトピー性皮膚炎乾燥肌等の皮膚の弱い人は、なりやすいので、注意してください。病変部を覆えば登園可能です。爪も切って手洗いをしっかりしてください。プールは入れません。
手足口病 ウイルス排出期間が長いため、隔離の意義は少ないです。プールは、3〜4週間禁止です。1日熱がなく、しっかり食事ができるまで、登園できません。
伝染性紅斑
(りんご病)
発疹期には、もうウイルスは、排出されていないので、登園停止の必要はありません。妊婦には流産・死産・胎児水腫の恐れがあるので注意してください。
異型
(マイコプラズマ)
肺炎
発熱や咳の強い期間は、登園停止です。
ヘルパンギーナ ウイルス排出期間が長いため、隔離の意義は少ない。プールは、3〜4週間禁止です。
1日熱がなく、しっかり食事ができるまで、登園できません。
咽頭結膜熱
(プール熱)
発熱が消失して2日を経過するまで登園できません。プールは、3〜4週間禁止です。
麻 疹 3日間熱が無いのを確認してから登園可能です。接種しないと入学できない大学も増えています。亡くなることもある病気なので、必ず予防接種しておいてください。
風 疹 発疹が消失後登園可能です。診断は難しいので、風疹と診断されても、血液検査をしていなければ予防接種を接種しておいてください。
百日咳 特有の咳が消失し、全身状態が良好になるまで登園できません。病初期から4週間排菌します。
伝染性軟属腫
(水いぼ)
アトピー性皮膚炎乾燥肌等の皮膚の弱い人は、なりやすいので注意してください。プールは、ビート板の共用を控えてください。
頭 虱 薬局で売っているスミスリンシャンプーかパウダーで駆除をすれば登園できます。


何か気になることがあられましたら、医院の方へ受診くださいね。