kids通信


       
        「生活習慣のお話」


小学校1校、3年生以上の生徒を対象に、アンケートを実施しました。
結果、深夜11時以降に寝ている子供が、約20%いて、就寝時間の遅いのに驚きました。睡眠不足では、感染症等の病気にかかりやすかったり、体調不良になったりするのは当然です。「寝る子は育つ」といいますが、寝ている間に、記憶も整理され、脳も発達して賢くなり、成長ホルモンも分泌され、身長も伸び、体を作ります。睡眠は子供の成長発達にとても重要です。
実際、他国と比べて、22時以降に寝る3歳児未満の乳幼児の割合が、フランスとドイツが16%、イギリスが25%ですが、対して日本は、46.8%と、とても高いです。日本の子どもが、就寝時間の遅い理由は、共働きの家庭が増えていること、コンビニやスーパーやファーストフードなどの24時間営業店が増えたこと、夜遅くまでの塾や習い事、ゲームや携帯電話やテレビやDVD等のメディアの影響などがあげられますが、最近は、食事・排泄・睡眠などの基本的な生活習慣を、子どもにしつけることができない親が増えているのも事実です。
睡眠不足だと、腹痛や頭痛、嘔吐や嘔気、食欲不振や乗り物酔い、全身倦怠感等の自律神経症状を認めます。さらに、副腎皮質ホルモンのコルチゾールが増加して、太りやすく、成人病や老化にもつながります。学校では、授業中、意識も体もぼんやりして、寝てしまったり、気分が悪くなって保健室へ行くことになったり、成績が落ちたりします。朝起きることができなくて、欠席や遅刻、早退して、不登校の一因にもなります。実際、保健室で、昼寝してやっと元気になる生徒も多いです。
早く寝るためには、まず、朝、早く起きて、朝日を浴びましょう。次に、朝ごはんを食べて、歯を磨いて、排便をしましょう。そして、昼間、外遊びをして、太陽の光をしっかり浴びましょう。そして、寝る前に温(ぬる)めのお風呂にさっと入り、入浴後にホットミルクを飲みましょう。それから、テレビなどを消して、静かにし、豆電球も消して、真っ暗にして、寝ましょう。最後に、布団を蹴飛ばす、汗をかいているのは、布団が暑いので、あつくしすぎないようにしましょう。
「早寝早起き朝ごはん」は、子どもの病気を予防し、賢い子どもになるためのキャッチフレーズです。子どもの睡眠時間は、個人差がありますが、連続して約10時間が目安です。朝食や歯磨き、身支度や排便等の時間を考えると、出かけるまで約1時間は必要です。遅くとも朝7時までには起床できるよう就寝しましょう。
次に、朝食は、三食の中で一番重要です。晩御飯から12時間ぐらいの間隔がありますし、子どもは、体が小さく、血糖に対する予備能が少ないので、簡単に低血糖になります。脳や筋肉が働くのに糖分が必要で、朝食を摂らないと、頭も体も目覚めませんし、発達もしません。朝食を食べていない生徒は、給食を食べてやっと元気になるようです。朝食を食べられる状態であるかは、学校に行けるかどうかのバロメーターにもなります。
それから朝の排便です。排便は、食べた後、寝た後が出やすく、一番出やすいのは、朝食後ですので、便座に座る習慣をつけましょう。排便をしないと、睡眠不足同様、自律神経症状を認めます。特にマラソン前は、しっかり排便しないと腹痛を認めます。学校の和式トイレに慣れていない場合や、特に男子は、小便器と大便器が分かれているので、学校では排便しづらい生徒も多いのです。
戦後、テレビが普及しだしてから50年。以後、日本人は夜更かしをするようになりましたが、昔ながらの、夜暗くなったら寝る、太陽が昇れば起きる、という生活が、一番自然で、健康にはいいのですし、節電にもなります。子育て、育児で最も大切なのは、生活のリズムを守る生活習慣です。学校から帰ったら、まず宿題と食事、入浴を済まして、早く寝る体制にするのが、子育ての基本だと考えます。睡眠、食事、排便等の生活習慣を、もう一度、しっかり見直しましょう。病気を予防し、賢い子どもを育てるスローガンの「早寝早起き朝ごはん」に「朝の排便」も加えることを提言します。

                                                      礒川 利夫