ガラスを焼く。っと言っても焼いて無くなるまでと言うわけではありません。「焼成」とか「フュージング」といって、固体からドロドロ溶けた状態まで温度を上げていきます。だいたい780℃〜830℃の間で溶けます。
いい具合に溶けたら、今度は冷まして常温(室温)まで持っていくのですが一気に冷ましてしまうと、例えば・・みんなで写真を撮る時、掛け声なしで撮って出来上がった写真を想像してみてください。多分みんな、あっちむいたりこっちむいたりで・・ガラスも同様、整然とならないまま固まってしまい、この結果、ある日突然、割れてしまいます。
ガラスにも、シャッターチャンスみたいなポイントがありまして、約550℃前後がそれに相当します。
この温度帯を「徐冷点」といって、作家にとっては、焼くことより冷ますことに気を配ります。ガラスのひずみが取れて、みんな均等な力加減になるのに約120分くらいかかります。そのため約550℃前後を約2時間キープしてから、温度を下げていくのです。あまり詳しくはありませんけど陶芸でも「ねらし」といって、同じようなことをするらしいです。
他にも各温度帯の経過時間によって、「失透」という現象やガラスの強度の変化など、まだまだ秘密がいっぱい隠されています。
もうひとつ重要なことは、ガラスには膨張係数というものがあって、異なる膨張係数のガラスを一緒には焼けない点です。ガラスが冷めるとき、それぞれ縮み方が異なり互いに引っ張り合うようになり、境目に亀裂ができてしまいます。残念ながら人間関係のように妥協してくれる人は誰一人いません。ですから、いろんなガラスを使って焼けるというわけでは決してありません。
↓膨張係数を無視して焼いてみました。
オレンジ色や水色のガラスのまわりにヒビが入っているのがわかるでしょうか。
熱や衝撃でベースとなっている透明ガラスも割れてしまいます。
そんなわけで各ガラスメーカーが膨張係数を保証したかたちでガラスを供給していますので、そのグループ内でガラス合わせをしていきます。
【例】
膨張係数 メーカー等
90 ブルズアイ compatible
96 スペクトラム・ウロボロス system96
104 モレッティ(ベネチアン)/ミルフィオリ
128 喜南鈴(バーナー用)
ミルフィオリ(1000の花という意味)を焼いてみました。
↓焼く前 / マウスを近付けると・・・焼いた後リングを付けました。