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世界の埴生

  地球上における陸地面積(南極を除く)は130億ha、それに対して森林面積は35億haです。
20年前の40億ha「FAO(国連食料農業機関)」からはかなり減少しています。
森林は野生生物の生息地を提供し(遺伝子資源)、土壌を保全し、水源でもあり、酸素を供給し、二酸化炭素を吸収します。

又、文明に必要な木材の供給源であり、医薬品に必要な原料の供給源でもあります。
つまり、森林がなければ生物は存在できません。その大切な森林の破壊が加速しており、地球温暖化の大きなファクターとなっている。
 
世界の森林面積は1990年から1995年の5年間に約5,630万ha、1年間にすると1,130ha(本州の約半分)の森林が失われいます。
特に熱帯雨林(中南米、東南アジア、アフリカ)の破壊はすさまじく、どの機関の調査でも、20世紀中に40%から50%の熱帯雨林が消滅したと報告されいる。
さらに数十年後には開発途上国から主だった森林が無くなってしまうと警告を発している。

森林減少の原因

(製材や製紙用などの商業伐採)

日本は世界の熱帯雨林の4割を、特に東南アジアからは7割以上を輸入し、森林伐採に関わっている。
伐採後は回復処置はなされず、豪雨により薄い表土は流され、回復不可能となる。
カナダやロシアの針葉樹林の伐採も広がっている。
日本の木材の用途は6割が建築用、4割がパルプ用、1%が割箸用で74%を輸入している。
日本向けのエビなどの養殖に転用するために、広大なマングローブ林が伐採され続けている。

森林破壊が進むアマゾン 大規模開発)

アマゾン横断ハイウエー工事は1970年からスタートし全長3300キロをブルドーザでなぎ倒し、ダイナマイトやナパーム弾で焼き払い枯葉剤を散布し、1キロあたり平均千本の木が伐採された。
ブラジル政府の報告書でも「66年以来、アマゾンの森林破壊の26%は道路建設による」と認めている。この道路を起点として森林破壊が広がって行く
 ブラジル最大のツクルイ・ダムはトカンティンス川を堰きとめ、2,160平方キロもの熱帯林を呑み込んだ琵琶湖の3倍もの人口湖をつくる。
ブラジル政府はアマゾン流域に40ケ所のダムを建設する予定
新たに発見された鉱山の開発、大規模農園など先進国の乱開発が続く


ロンドニア地区の森林破壊
人口増加と貧富の差)

人口増加と共に貧富の差が大きくなり、小作人らは自らの農地を求めて密林を焼き払い、畑地にする。
しかし、2−3年も耕せば土地がやせて収穫できず、さらに奥地を焼いて畑地にして行く。跡地の表土は剥ぎ取られ荒地のまま残されていく。 
ブラジルのロンドニア州は69年には人口が10万にも満たなかったが、85年には80万人を越え、森林破壊が進んで行く。左の写真の赤い部分が破壊された森林

 

モンゴルの森林火災前 モンゴルの森林火災後 森林火災)

ブラジルでは、焼き畑で自分の土地だけ燃やそうと考えて農民がつけた火が、予定通り消えずにどんどん広がってしまい、森林火災になるケース続発している。
エルニューニョの異常乾燥も原因している。
1997年4月の中国の山火事で四国の面積に匹敵する森林が消滅する。
インドネシアのカリマンタン島の山火事で30-80万haが消失。焼き畑による放火が広がったもので、4ケ月間燃え続けた。

上の写真は衛星が写したモンゴルの森林火災
   

 森林破壊により100年後に東南アジアの生物種が激減

 

 環境への取組み

酸性土壌に育つユーカリの開発
王子製紙は植物が育ちにくい酸性土壌でも成長するユーカリの木を、遺伝子組換え技術を使って開発した。
世界の紙の需要は、急成長を続ける中国を中心とするアジア地域で急増する見込みで木材資源の枯渇が懸念されている。
王子製紙は酸性土壌だけでなく、乾燥や塩害など様々な悪条件を克服するユーカリを開発し、10年後を目標にオーストラリアなどで植林を始めたいという。
成長が早く繊維質が豊富なユーカリは紙の原料木に適している。
しかし、酸性の土壌では、植物の栄養分になるリン酸がアルミニウムなどの金属と結合し、根から吸い上げられず、生育が悪くなる。
そこで、ユーカリにニンジンの遺伝子を組み入れ、リン酸よりも金属と結合しやすいクエン酸などを根から分泌する品種を開発、リン酸を吸収できるようにした。  

(2003年7月15日 朝日新聞)

 

 

続く

参考資料 蝕まれる森林(石 弘之)
画像資料 NASDA提供

2003/07/20