概要
元々はPC-9801用として発売された「激闘!ソロモン海戦史」をWindows用として改訂移植した作品で、「太平洋戦争中盤、南太平洋のソロモン諸島で繰り広げられた日米海軍による艦隊戦をシミュレートした海戦ゲーム」と銘打たれています。
15本のショートシナリオと、米軍ガダルカナル島上陸から開始されるキャンペーンモード「ソロモンキャンペーン」、そしてフリーセットアップモードで構成されており、うちソロモン海域での海戦を扱ったショートシナリオは8本。
それ以外に、「コタバル沖夜戦」「スラバヤ沖海戦」「アッツ島沖海戦」「スリガオ海峡夜戦」「栗田艦隊の突入」といったソロモン海域以外でのショートシナリオが7本収録されています。
また、ネット対戦にも対応しており、発売後はかなり盛り上がったようです(管理人は発売から随分と経過して絶版となった後に中古で購入したので、残念ながら未対戦ですが)。
内容
「スラバヤ沖海戦」「アッツ島沖海戦」といった昼間艦隊戦シナリオもありますが、それ以外は全て夜間22時〜翌2時までの間の最大2時間(30ターン)に行われる夜戦が舞台となります。
1ターンは「移動」→「「照射」→「射撃」の各フェイズによって構成され、移動指示は艦隊単位で、照射・射撃は個艦単位(射撃はさらに主砲・副砲・高角砲・魚雷単位)で行います。
砲撃についてはある程度簡略化されており、例えば「第1砲塔は敵1番艦を、第2砲塔は2番艦を砲撃」等の指示はできません。
また、雷撃処理は砲撃と同じく「個艦対個艦」の形になるので、「敵艦隊」を目標に扇状に斉射するような統制魚雷戦は(昼間艦隊戦であっても)システム上できません。
航空機は登場しませんので(唯一、キャンペーンモードで最終ターンまで戦場を離脱できなかった日本艦隊にターン終了後ランダムで損害を与えて来るのみ)、水偵による吊光弾投下等の要素はオミットされています(同様に魚雷艇も登場しません)。
日本軍の最大の武器、それは何と言っても史実でも猛威を振るった「青白い殺人者」こと酸素魚雷・・・のはずなのですが、このゲームの雷撃は元の命中率が低い上に各種の修正が付く事もあり、「取りあえず打っときゃ当たる」式のお気軽な砲撃と比べるとかなり難しいです。
敵艦隊の砲撃にひたすら耐えて距離を詰め、敵前一斉回頭等で優位な射点を確保を確保し、いざ発射しても命中するかしないかは運に左右され、命中してもそれが有効打となるかどうかはまたまた運に左右され・・・という感じなんですね。
ソロモン・キャンペーンのプレイリポートでも書いていますが、とにもかくにも戦艦が圧倒的優位という印象が強いです。同様に、命中判定や誘爆・損害判定に関してはランダム値に左右される割合がかなり大きくなっているのですね。
まあ、これらは「実際の事象をシミュレートしただけ」と言えばそれまでなのかもしれませんが。
管理人による評価
細かな設定やルールに膨大なデータ量、とかなりの本格派SLGではありますが、プレイヤーが行う事自体はそれ程多くはなく、プレイ時間は意外とかかりません。
ショートシナリオであれば通常1時間前後で完結し、またいつでもセーブ可能なので、割と手軽に遊ぶ事が出来るのです。社会人ゲーマーには優しい仕様ですね。
フリーセットアップモードも随分と充実していまして、日本海軍の超甲巡(B65型)や米海軍のアラスカ型巡洋艦(本作では共に「戦艦」に分類されていますが)などはもとより、タイ王国海軍が川崎重工に発注したS・アユタヤ型海防艦(2.265t)や、10cm砲を1門搭載のイギリス海軍掃海艇バサースト型(790t)など、このゲームで初めて存在を知ったマニアックな艦艇も入っており、こだわりを感じさせてくれます。
ジェネラルサポートのサイト内の「激闘!ソロモン海戦史DXコーナー」では、デザイナーの阿部隆史氏による史実及び架空戦の様々な設定資料集が公開されており、色々と遊ぶネタには事欠きません。
シミュレーション部分に関しては、色々と書いた通り、管理人個人として「これはどうかなあ?」と疑問に思う箇所はいくつかあります。ただ、客観的に「明らかにこれはおかしい」というのは特に無いですね(例えば雷撃命中率が低すぎると思えば初期設定値を変更する事も可能な訳で)。
細かな注文を一つ付けるとすれば、ショートシナリオでのガダルカナル島を巡る海戦は、毎回同じ位置(マップ北西端)からの侵入となる為、どうしても展開が固定化してしまうのが難点。
特に、揚陸作業に入りつつあった第二水雷戦隊が重巡を主力とする米艦隊に頭を押さえられた態勢から逆転勝ちした「ルンガ沖夜戦」のシナリオは、ガダルカナル島泊地沖に初期配置してスタートした方が再現性があって良かったのではないかと感じました。
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