激闘!ソロモン海戦史DX


(C)GENERAL SUPPORT

発売元 ジェネラルサポート 
発売日 2001年3月10日
対応機種 Windows95/98
定価 9.800円+税
管理人購入価格 中古6.980円(H24年6月購入)

(C)GENERAL SUPPORT

ワシントン条約で定められた「排水量1万トン、備砲8インチ(20p)」の枠内で建造された、いわゆる「条約型巡洋艦」の究極形とも言える妙高型重巡。
列強の同クラス重巡の中でもっとも重武装で、「飢狼」と評されたその精悍なフォルムは日本的機能美の結晶と言えましょう。
現在でも艦船ファンやモデラーに人気の艦型です(模型少年当時はタミヤのウォーターラインシリーズでは巡洋艦を好んで作っていた管理人も勿論大好きです)。

4番艦「羽黒」を取り上げたのはちょっとした理由がありまして――。
本艦は第1遊撃部隊所属として昭和19年のレイテ海戦に参加。
この時に主計少尉として「羽黒」に乗り組んでいた故福田幸弘氏(戦後大蔵官僚を経て参議院議員)の著作である『最後の連合艦隊
レイテ海戦記(上・下)』(角川文庫、平成元年初版)。

生頼範義氏の手になる「羽黒」が上下巻共表紙イラストを飾る本書は、管理人が随分読み込んだ愛読書なのです。

福田氏の記録によって作成された「羽黒」の戦闘詳報を元に、各種の現存史料を照合させてレイテ海戦の全貌、そして「栗田艦隊謎の反転」の真相について考察した素晴らしい著作で、是非再版を期待したいものです。


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「雑木林」と揶揄された戦時急造駆逐艦でありながら、ブロック工法による量産性や機関シフト配置による生存性向上など優れた点も多く、連合艦隊が実質的に壊滅した後も終戦の日まで戦い抜いた松型駆逐艦。
この2番艦「竹」は、昭和19年のレイテ島オルモック湾輸送作戦(多号作戦)に投入され、米新鋭駆逐艦「クーパー」を雷撃により撃沈した武勲艦として知られています。
本ゲームにおける松型は、フリーセットアップ以外では登場しないのが残念。

概要

元々はPC-9801用として発売された「激闘!ソロモン海戦史」をWindows用として改訂移植した作品で、「太平洋戦争中盤、南太平洋のソロモン諸島で繰り広げられた日米海軍による艦隊戦をシミュレートした海戦ゲーム」と銘打たれています。

15本のショートシナリオと、米軍ガダルカナル島上陸から開始されるキャンペーンモード「ソロモンキャンペーン」、そしてフリーセットアップモードで構成されており、うちソロモン海域での海戦を扱ったショートシナリオは8本。
それ以外に、「コタバル沖夜戦」「スラバヤ沖海戦」「アッツ島沖海戦」「スリガオ海峡夜戦」「栗田艦隊の突入」といったソロモン海域以外でのショートシナリオが7本収録されています。

また、ネット対戦にも対応しており、発売後はかなり盛り上がったようです(管理人は発売から随分と経過して絶版となった後に中古で購入したので、残念ながら未対戦ですが)。


内容

「スラバヤ沖海戦」「アッツ島沖海戦」といった昼間艦隊戦シナリオもありますが、それ以外は全て夜間22時〜翌2時までの間の最大2時間(30ターン)に行われる夜戦が舞台となります。

1ターンは「移動」→「「照射」→「射撃」の各フェイズによって構成され、移動指示は艦隊単位で、照射・射撃は個艦単位(射撃はさらに主砲・副砲・高角砲・魚雷単位)で行います。
砲撃についてはある程度簡略化されており、例えば「第1砲塔は敵1番艦を、第2砲塔は2番艦を砲撃」等の指示はできません。
また、雷撃処理は砲撃と同じく「個艦対個艦」の形になるので、「敵艦隊」を目標に扇状に斉射するような統制魚雷戦は(昼間艦隊戦であっても)システム上できません。

航空機は登場しませんので(唯一、キャンペーンモードで最終ターンまで戦場を離脱できなかった日本艦隊にターン終了後ランダムで損害を与えて来るのみ)、水偵による吊光弾投下等の要素はオミットされています(同様に魚雷艇も登場しません)。

日本軍の最大の武器、それは何と言っても史実でも猛威を振るった「青白い殺人者」こと酸素魚雷・・・のはずなのですが、このゲームの雷撃は元の命中率が低い上に各種の修正が付く事もあり、「取りあえず打っときゃ当たる」式のお気軽な砲撃と比べるとかなり難しいです。
敵艦隊の砲撃にひたすら耐えて距離を詰め、敵前一斉回頭等で優位な射点を確保を確保し、いざ発射しても命中するかしないかは運に左右され、命中してもそれが有効打となるかどうかはまたまた運に左右され・・・という感じなんですね。

ソロモン・キャンペーンのプレイリポートでも書いていますが、とにもかくにも戦艦が圧倒的優位という印象が強いです。同様に、命中判定や誘爆・損害判定に関してはランダム値に左右される割合がかなり大きくなっているのですね。
まあ、これらは「実際の事象をシミュレートしただけ」と言えばそれまでなのかもしれませんが。


管理人による評価

細かな設定やルールに膨大なデータ量、とかなりの本格派SLGではありますが、プレイヤーが行う事自体はそれ程多くはなく、プレイ時間は意外とかかりません。
ショートシナリオであれば通常1時間前後で完結し、またいつでもセーブ可能なので、割と手軽に遊ぶ事が出来るのです。社会人ゲーマーには優しい仕様ですね。

フリーセットアップモードも随分と充実していまして、日本海軍の超甲巡(B65型)や米海軍のアラスカ型巡洋艦(本作では共に「戦艦」に分類されていますが)などはもとより、タイ王国海軍が川崎重工に発注したS・アユタヤ型海防艦(2.265t)や、10cm砲を1門搭載のイギリス海軍掃海艇バサースト型(790t)など、このゲームで初めて存在を知ったマニアックな艦艇も入っており、こだわりを感じさせてくれます。
ジェネラルサポートのサイト内の「激闘!ソロモン海戦史DXコーナー」では、デザイナーの阿部隆史氏による史実及び架空戦の様々な設定資料集が公開されており、色々と遊ぶネタには事欠きません。

シミュレーション部分に関しては、色々と書いた通り、管理人個人として「これはどうかなあ?」と疑問に思う箇所はいくつかあります。ただ、客観的に「明らかにこれはおかしい」というのは特に無いですね(例えば雷撃命中率が低すぎると思えば初期設定値を変更する事も可能な訳で)。

細かな注文を一つ付けるとすれば、ショートシナリオでのガダルカナル島を巡る海戦は、毎回同じ位置(マップ北西端)からの侵入となる為、どうしても展開が固定化してしまうのが難点。
特に、揚陸作業に入りつつあった第二水雷戦隊が重巡を主力とする米艦隊に頭を押さえられた態勢から逆転勝ちした「ルンガ沖夜戦」のシナリオは、ガダルカナル島泊地沖に初期配置してスタートした方が再現性があって良かったのではないかと感じました。


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