アリスのことば学2
ー鏡の国のプリズムー

   

稲木昭子・沖田知子 著

アリスのことば学2 −鏡の国のプリズム−




 ルイス・キャロルは、『不思議の国のアリス』(以下『不思議』)の6年後に続編『鏡の国のアリス』(以下『鏡』)を出版した。同じアリスを主人公に6か月後の話の設定にしているが、『不思議』では子どもの目を見張らせるwonderfulな世界、『鏡』は鏡とチェスのモチーフをはじめとして知的好奇心をくすぐるcuriousな世界、と異なる趣を呈している。本書では、その異同や『鏡』に仕掛けられたことばと論理の遊びをことば学の観点から読み解こうとしたものである。ことば学は、生きたことばのおもしろさに迫るために、ことばやことば遣いを意識した立体読みをして、ことばから心を引き出す謎解きのメタ語用論のアプローチといえよう。燦然と輝く太陽の光がプリズムを通して虹色に分光されるように、ことば学というプリズムを通して『鏡』のことばと論理の多彩な輝きの数々 (prisms) を捉えることに努めた。


 

  大阪大学出版会
http://www.osaka-up.or.jp/books/ISBN978-4-87259-600-7.html

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