第17話  −お遍路さんいろいろ−



青森の佐々木さん
今回の遍路行で一番縁が深かったお遍路さん。
 3日目の宿で出会ったのが最初で、以後46日目の香川一宮寺で別れるまで、後になり先になり、時には一緒に歩き、宿もずいぶん一緒になりました。たいていのお遍路さんとは多くても二、三回一緒になるのがせいぜいで、佐々木さんほど一緒になったのはもう奇跡としか言いようがありません。
 「昨年観光バスで十日間かけて遍路をしたが、何か物足りない。今度は歩いて回ってみたい」とやってきた。二十三番薬王寺あたりでは両足裏全面にひどいマメをつくったが、何とか最後まで歩き通したのには感心しました。


大阪の澤田さん、古田さん夫妻
今年の1月から二組の夫婦でお遍路をしています。まだ現役なので、毎月一回1泊2日の遍路を繰り返している。青森の佐々木さんと歩いている時に出会い、写真を撮ってもらったのが縁で文通をするようになりました。
 その後、1年半で結願したという便りと、澤田さんの奥さんがまとめられた「私たちのお遍路日記」という冊子をいただきました。
この方たちのように毎月一回出かけていくというのも大変なことに思えます。しかしいろいろな季節を味わえるという利点も見逃せないですね。

東京、24歳・女性
徳島から高知にかけて、3度ほど宿が一緒になりました。お金を節約するため、野宿も併用している。室戸の居酒屋で一緒に食事をしたとき、「遍路を始めて以来、家には一度も連絡していない。たまには連絡した方がいいでしょうか?」と笑っていました。帰宅後もらった便りによると、わたしより十日ほど早く結願したようです。40日前後だから、かなりの健脚です。


大阪高槻、19歳・女性
彼女は警戒心が強いのか、一度話しかけた時、迷惑そうな顔をされたので、そのまま別れました。華奢な身体にいかにもザックが重そうでした。国道を歩くときはリュックをキャリーに付けて引っ張っていたのが印象に残っています。無事に結願できただろうかと心配です。

北海道、Oさん
家は網走、本州に入ってからずっと歩いて四国に来た。お四国を打ち終えたら九州を一周して帰ろうと思う。年内には帰れるかなあ〜。野宿と宿半々で回っている、丸々と肥えた好青年。高知の宿で一緒になり、その後二週間してまた愛媛の宿でも出会いました。

千葉県、中年の女性
持病の不整脈を歩くことで克服しようと思って来ています。皆さんのようにたくさんは歩けませんが、毎日少しずつでも歩いてみます。

静岡のTさん、わたしと同年輩の男性
結願前日、87番長尾寺門前の宿で一緒になりました。出身が大阪で今でもまるっきり大阪弁でしゃべる愉快な男性。いままでの人生でお世話になった人の中から88人を選んで、その人たちの名前を書き出したんです。一番から順に一人ずつの名前を読み上げて、感謝の気持ちを表しながらここまできました。明日はみなさん全員の名前を読み上げようと思います。
「それにしてもうるさいよめはんのいる家には帰りたくないな。」という言葉が印象的。


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