第6話  −お遍路さんの足−



今回は巡拝をする際の交通手段で、お遍路さんを分類してみました。

「バス遍路」
文字通り、貸切バスで巡拝しているお遍路さんです。お遍路さんの九割以上がこのバス遍路でしょう。全国各地から来ています。1団体で貸し切っているもの、ツアーに申込んだ人たちの乗合のものなど様々です。バスのお遍路さんたちの特徴は、服装が教科書通りお揃いで、完璧に近いということです。

バスで一気に八十八ヶ所を回るには10〜12日くらいで、費用は最後の高野山も含んで、22、3万円くらいと聞きました。また、一国(県)単位で4回に分けてまわるツアーや日帰りもあります。
四国に橋が出来てからは、近畿・中国地方からの日帰りバスツアーも多いようです。地元四国の人たちも、日帰りバスをよく利用しています。2度くらい一泊二日の行程が入って、大体12〜15回で終了します。先日新聞広告で見た近畿からの日帰りバスは第一回が4,880円(昼食つき)となっていました。

四国には八十八ヶ所以外に二十ヶ所の番外札所があります。この二十ヶ所の番外だけを一度にまわるバスツアーの人たちにも出会いました。

「タクシー遍路」
8日間でまわり終えます。費用は三十数万円、三人で利用すると一人あたり12万円、それに宿泊費・諸経費が8万円と運転手の宿泊代を割り勘で3万円、合計約23万円というところでしょうか。これならバスとあまり変わりませんね。
タクシーは、一日単位だと3〜4万円というところ。あらかじめ予約しておけば、遍路に詳しい運転手をつけてくれるそうです。

「マイカー遍路」
週末や連休になると特に目立ちます。マイカーの場合は、夫婦・親子連れの遍路や、ワンボックスカーなどで数人が相乗りしているケースもみられます。マイカーだからといって、必ずしも通し打ちとは限りません。日帰りや、月一回の区切り打ちなどの人の方が多いようです。

「自転車・バイク遍路」
比較的少なく、51日間で出会ったのは15人を超えないでしょう。静岡の男性は、「死ぬ一歩手前の大怪我の後、遍路を始めて今年が7回目。毎年自転車で20〜30日前後をかけて回っている。毎回大きな力を授かって帰ります」とのことでした。

11番札所前の宿で一緒だった愛媛の相原さんは、「自転車で回りながら歩き遍路をするための情報収集をしている」とのことでした。この方とは、後日、松山の48番西林寺近くで偶然出会い、自宅に招かれて茶菓のお接待を受けることになりました。

托鉢をしながら、3年八ヶ月自転車遍路を続けているという名古屋の男性は、「自転車はこれで三台目、托鉢は毎日約百軒、この間、新聞もテレビも見ないので世間のことは何一つわからない」といっていました。

「歩き遍路」
通し打ち・区切り打ち、順打ち・逆打ち、歩きオンリー・バスや鉄道併用など、実にさまざまです。バスや車の人に比べると、ずっと少数派です。

「公共交通機関利用」
移動に主として電車とバスを利用し、最寄駅からは歩いて回るというタイプ。ほとんどが休暇を利用した区切り打ちのようです。

「その他」
二台の乳母車に、テントと炊事道具を積んで押している京都の夫婦遍路に出会いました。その乳母車が老朽化した代物で、車輪がくねくねとのたうちながら回転しているのがなんともユーモラス。今は"乳母車"といわないで"ベビーカー"というそうですが、この場合はやはり乳母車の方がふさわしい。しかし、二人は何か潔さを感じさせる雰囲気を漂わせていたのが印象的でした。

自作の三輪車で4回目の遍路をしている同年輩の大阪の男性にも出会いました。トンネル内の幅の狭い歩道でも通れるようにと、車輪の幅を狭く作ったそうです。
同じく、小さな4輪の荷車を押している別の男性遍路にも出会いました。

こういう人たちは、山道などは車道を利用して近くまで行き、階段や急坂では車を置いて徒歩で巡拝しているそうです。

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