八ヶ岳
(2899m)

     登山日:2006.6.25〜27
     お天気:曇・雨・晴
     人  員:夫婦2名
     ルー ト:美濃戸ー赤岳鉱泉(泊)ー行者小屋ー赤岳展望荘ー横岳ー硫黄岳ー赤岳鉱泉ー美濃戸(泊)
     タイム :初日2時間・二日目12時間

美濃戸山荘に到着  11:30


北沢を一路赤岳鉱泉へ 12:28

 
林道脇に咲くクリンソウ  12:06

 
何度も沢を渡る  12:45

 
北沢の渓流  13:16


 
赤岳鉱泉到着  14:16


 
行者小屋で珈琲タイム  6:20

 
コイワカガミはいたるところに! 7:05


 地蔵尾根上で一息です 7:29


ミネザクラ 


ツガザクラ



濡れた足場は結構危険です


赤岳展望荘から稜線を追います 09:12


スの中を横岳目指して 09:13


一瞬の晴れ間に覗く主稜線! 09:20


ハクサンイチゲ


ミヤマオダマキ


チョウノスケソウ


イワベンケイ


稜線上はお花畑


登山路は実に険しい! 10:24


オヤマノエンドウ


ツクモグサ


ウルップソウ


横岳山頂  11:22


ハシゴを下降する 11:32  


ミヤマシャクナゲ


ミヤマキンポウゲ


ケルンを追って硫黄岳山頂へ 13:20


ベニバナイチヤクソウ


ミネズオウ


蓼科山頂駅から縞枯山方向へ


洒落た山荘で一休み
梅雨のこの時期、お天気は不安定ですが、八ヶ岳では花の最盛期だとか・・・7月に入るとすでに少し遅いようです。














久しぶりの山行き前夜はいささか興奮気味でよく眠れず、1時間ほど早目に朝は4時半の出発です。

















諏訪南インターまでは凡そ5時間の道程。諏訪南からは幾分迷いながら美濃戸口を目指します。















公設の駐車場は美濃戸口まで。下山後の宿をその先の美濃戸に取って、車を停めさせてもらう算段ですが・・・美濃戸口から美濃戸までは聞きしに勝る悪路!途中何箇所か通過をためらいながらも何とか到着です。
















が・・・駐車スペースに車を廻すところで不注意にも脱輪!宿の人達に助けてもらいながらかろうじて脱出する体たらくです。












美濃戸から初日の投宿先、赤岳鉱泉までは北沢ルートを辿って約2時間の道程です。標高差500m。出発を早めた分余裕がありますから、ゆっくりと足を慣らします。




静かな山道にヘリの爆音だけが響きます。何度も同じルートを往復しているようです。多分山小屋の資材を補給しているのでしょう。






北沢ルートは沢沿いの美しいアプローチで、どこか北岳の大樺沢を想わせます。













2時過ぎ、赤岳鉱泉に到着です。増築工事でもしようとしているのでしょうか、建屋の周囲は赤土が地肌を見せて、どうも結構な佇まいとは言いかねます。














テントサイトでは5,6人の若者がお昼の真っ最中。宿の玄関前のテラスには4,5人の登山客が下山前の休憩かと思われます。












ここ赤岳鉱泉は八ヶ岳では唯一通年営業の山小屋で、その名の如く、温泉に入れるのが何といっても魅力です。












日曜日とあって、泊まり客はまばらです。若者たちはどうやらテント泊の様子で、結局泊り客は我々の外、ご夫婦連れと男性のご老体1名の計5人のみ。150名は収容できる小屋ですから、ゆったりしたものです。













ところが空模様が思わしくありません。どうやら明くる日は雨模様です。硫黄岳から赤岳へ廻る予定でしたが、雨の中、険しい岩稜を縦走するのは如何なものか?同室のご老体も首を傾げます。縦走するなら6時では遅すぎるとのご忠告です。大いに迷った挙句、地蔵の頭から赤岳を極めて文三郎尾根を下山することにルート変更を決意します。









明けは5時過ぎの出発です。朝食には早すぎますから、出発前に用意して貰ったお弁当をかきこみます。地蔵尾根取り付きの行者小屋までは小一時間の道のりですが、どうも朝から体調が思わしくありません。













行者小屋では珈琲を頂くこととして一息入れます。地蔵尾根は展望荘下のコルまでコースタイム1時間半の直登ルートで、標高差350mを一気に登ります。我がパートナーの好みのルートです。


















雨は雨でも小雨で大した降りではありません。途中ハシゴを下降してくる30人弱の大パーティと遭遇します。山頂泊して下山の途中でしょう。昨日は素晴らしいお天気だったとか・・・いかにも癪な話です。それから暫く、今度は若い男性が駆け足で下山してきます。「今団体が通りませんでした?これから下の小屋であの人達の食事の用意をしに行くんです」とのこと。何と!ご苦労なことです。













稜線に乗ったのが8時40分頃だったでしょうか、無人の展望荘に入り込んで勝手にお茶を入れているところへご主人と思しき人が・・・赤岳から中岳へ廻るつもりと言うと、中岳は登山路が悪くて駄目とおっしゃる。「大体こんな日に赤岳に登ってみたって何もありませんよ!」とのこと。どうやら横岳から硫黄岳をお勧めの様子です。花を見るならやっぱり縦走路のようです。危険はないとの一言で当初予定を逆廻りすることで決まります。こう言う場面での山男の言葉は重みがあるものです。下の美濃戸山荘には今硫黄岳廻りで出発されたと無線を入れておきますとのこと。そう言えばここ南八ヶ岳では山小屋ネットが出来ているので、最悪でも何処かの山小屋に逃げ込める安心感があるのは事実です。















たち込めたガスのために見通しはよくありませんが、足元の花はしっかりと目に入ります。見事なほど沢山の高山植物が花を咲かせています。






先ずは横岳が目標。横岳までは僅かに120mの登りなのですが、実はそう単純ではありません。岩尾根を登ったり下ったり、あるいは切り立つ岩峰を横に巻いたりしながら際どい足場を辿ります。時には絶壁の側面に出来た、わずか巾30cmほどの足がかりが頼りの登山路も・・・







そういえば同宿のご夫婦はあまり経験がないとのお話で、今日は赤岳だけを目指すとのことでしたが、無事に登っているのでしょうか?












横岳の文字を確認したのはすでに11時20分。距離にして1kmほどに2時間を費やしたことになります。花に足止めされながらとは言え、これでは先が思いやられます。













硫黄岳山荘に辿りついたのは正午を廻っていたでしょうか。小屋に飛び込んでお昼を取らせて貰います。岩稜上の気温は10℃くらいでしたから、それほど寒い分けではありませんが、強風と雨のために体は結構冷えています。バーナーでお湯を沸かしておにぎりをかじりますが、どうも旨くない!これならカップ麺の方が良かったかも知れません。体調不良は好転せず、食欲もありません。あるいは軽い高山病かも?それともこれが低体温症の兆候なのでしょうか?










食事のあとは硫黄岳山頂までひと頑張りです。嫌でも山頂を経由しないと下山口にたどり着けません。











方向を見失いそうな広いザレ場の斜面を下るとやがて頂上に導くケルンが姿を現します。雨と強風の中でぼんやりとシルエットだけが浮かびあがる7つのケルンを順に辿ります。前方は殆ど何も見えません。そして最後が頂上標識。時は13時30分です。











ここから先はただただ赤岳鉱泉目指して標高差550mを下るのみです。樹林帯に入るに従って風も雨も幾分穏やかになってきたようですが、どうもあまり気分の良い登山路ではありません。当初の予定ではこのルートを登りに使う筈でしたが、逆廻りが正解だったようです。地蔵尾根の方が遥かに明快でメリハリのあるルートではありました。







鉱泉到着が3時過ぎ。わたしは殆ど体力の限界で、小屋の上り框に大の字に横たわります。と、通りすがりの泊り客が心配そうに顔を覗き込んで脈を取り始めるではありませんか!さてはお医者さんか?「96か?それなら大丈夫。少し休んで・・・まだ3時だから十分陽のあるうちに美濃戸までいけますよ!」とのお言葉。パートナーは投宿が少し遅くなると電話で連絡を入れます。












美濃戸までは約1時間半の道のりでしかありませんが、わたしの重いザックをパートナーが肩代わりしてくれます。さて、朝から10時間歩き続けたこれが最後のひと頑張りです。天候には恵まれなかったが、花は実に見事だった!と、重い足を引きずりながら一日を振り返ります。こういう悪条件の登山も時には経験しないと・・・












美濃戸山荘には5時前の到着です。「お風呂の用意が出来てますよ!」と小屋の若者が声をかけてくれます。ようやくにして長い長い一日が終わります。あとはただただ横たわるのみ!






貸切状態の美濃戸山荘をあとにしたのは8時半ころ。帰路に着く途中で北八ヶ岳方面に立ち寄ってみることにします。目指すは北横岳の登山口ともなっているロープウェイの山頂駅。ここでは「坪庭」と呼ばれる高山植物園を見ることが出来ます。植物園からは
縞枯山方向へ高原の登山路を少し歩いてみます。南八ヶ岳に比べて北八ヶ岳は何と穏やかな表情をしていることか!この美しい道がやがてあの険しい南八ヶ岳につながっているのです。