北海道(幻の羊蹄山)
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山行きを目当てに、車中泊が可能な車に買い換えたのを機会に、北海道まで遠出を試みることになりました。折角のこととて、当初は羅臼岳登山を考えましたが、ハードなわりには山中泊が出来る山ではなく、熊の出没や天候など、あれやこれやで結局見送って、最終日に羊蹄山に登る予定で出発しました。ところが、それも結局は幻の登山となってしまったことは後程触れることにしましょう。 旅程は10日間。舞鶴から小樽までフェリーに乗り込みます。丸々24時間の航海とあって、出航は真夜中の0時45分ですが、これがどうもピンと来ません!出発は「明日」との頭で、前日9日には準備も終えてのんびりとしていましたが、夕食の頃合になって、何気なく新日本海フェリーのホームページを覗いてみて「出航は今夜だ!」と初めて気付く体たらくです。舞鶴までの時間はまだ十分ですが、どうにも気持ちの用意が出来ていません!最初から躓いてしまったようで、幸先の悪い出発ではありました。 小樽航路のフェリーは始めての経験ですが、小生などが知っているそのあたりのフェリーとは大違いで、何ともはや、豪華な客船並みの船であることを初めて知りました。 排水量17000トン、トラッククラスの車の積載台数が220台、乗客数850名といいますから、相当なものです。 贅沢は禁物!我々はしがない2等船客ですが、乗客数が少ない所為でしょう、1室まるまる占有状態だったのは幸いでした。出航後は入浴をすませて、早速大部屋を独占して就寝です。 夜が明けてから夜中の10時45分の入港までの時間は流石に退屈します。結構陸地に近い航路を航行しているので、時には陸影が見えるのかと思いきや、全くその気配はありません。唯一慰められるのは、途中で一度すれ違う僚船の船影くらいのものでしょう。27ノットと云いますから、時速55キロほどの高速で、滑るようになめらかに航行します。 長い航海を終えて、折角の初めての小樽も、真夜中近い入港ではどうにもなりません。そのまま道央高速に乗って、一路旭川を目指します。北海道初日は何処か適当に高速のサービスエリアで一夜を明かす予定です。 砂川サービスエリアで一夜を過ごし、2日目午前8時半ころにはすでに層雲峡ビジターセンターに到着です。天候は生憎の雨。ビジターセンターの直ぐ横からは大雪山系の黒岳5合目までロープウェイが出ていますが、先を急ぐ身ではそうも行きません。展望台から滝を眺めて暫しの時間を過ごすと、早々の出発です。 途中、オシンコシンの滝に立ち寄ってから、2日目の車中泊地と定めたウトロ・シリエトク道の駅到着は4時半を過ぎていたでしょうか。どうやら辺りの様子では、泊まり目的の車も随分多いようですが、広い駐車場ですから、ものの数ではありません。 駅前の店の開店を待って、早い夕食をすませると、5分ほど車を走らせて近くの温泉に浸かります。明日は直ぐ近くから出航する知床クルージングの船に乗り込む予定です。 朝10時出航のクルージングは、知床岬の先端まで往復4時間の行程です。生憎天候は小雨ですが、乗客の数は少なくありません。 船は知床岬の沿岸を舐めるように航行しますが、悪天候でガスのかかった岬は、そうは定かに姿を現しません。その点、コースタイムが2時間程度の高速艇は、身軽に岸近くを走り廻りますから、こう云う日には有利かも知れません。 クルージングを終えた後は、知床自然センターに立ち寄って情報収集のあと、今夜の投宿先、羅臼温泉国設キャンプ場に向かいます。天気が良ければ、途中の知床峠から羅臼岳の勇姿を望める筈ですが、今日は全くその望みはありません。 ところが、ガスで真っ白の中を走り抜けて羅臼側に出るやいなや、突如青空が広がります。どうやら知床峠を挟んで、オホーツク海側と根室海峡側では全く天候が違うようです。 この国設キャンプ場は、全くもって手放しで素晴らしい処です。場内に入ると、真正面に広々としたテントサイトと駐車場が目に入り、何と驚いたことに、テントの狭間で鹿が数頭のんびりと草を食んでいます。まるで飼われているかのようですが、野生の鹿に相違ありません。 駐車中の車の半数程度はキャンピングに使われている様子。あとで知ったのですが、数台は1ヶ月を越える長期滞在車とか。軽いカルチャーショックを覚えます。手続きをすませると、早速道路を挟んで向かい側の露天風呂に向かいます。ダケカンバの林に囲まれた静かな佇まいの露天風呂です。入浴料は志しとのこと。近在の人達は毎日利用しているようです。 入浴の後は、初めて屋外で食事の支度です。なんとも清々しい気分です。夕食準備の最中にも何組か登山パーティが下山して来ます。ここへ来て知ったのですが、このキャンプ場が羅臼側からの羅臼岳登山口になっているとのこと。ますますもって良く出来たキャンプサイトです。尤も、旅行を終えて帰阪直後の新聞で知ったのですが、このキャンプサイトに熊が出て、しばらく閉鎖の憂き目に会うことになります。 翌朝は知床峠に車を停めてから、羅臼湖のトレッキングに入る予定でしたが、それを聞いた管理人さんが、車で送り迎えして呉れるとのこと。恐縮の至りですが、親切に甘えます。熊は大丈夫とのことですが、何分余り人の入らないコース、用心に越したことはなく、二人して鈴を鳴らしながらのトレッキングです。事実、トレッキングコースの入り口で熊の糞らしきものを目撃することになります。 午後は知床五湖の予定ですが、送迎のお蔭で生まれた思わぬ時間を利用して、根室海峡の羅臼町まで足を延ばします。丁度お昼時とあって、偶然立ち寄ったお店が「北の国から」で使われたと云う「純の番屋」と云う店で、いくら丼は中々のものではありました。 羅臼町から知床五湖までは大した距離ではありません。ただ残念なことに、到着した時は折悪しくヒグマが目撃されたとあって、一、二湖ともに閉鎖中、確認が終わるまで暫しの待機です。 幸い30分もしない内に閉鎖は解除され、一湖と二湖だけは立ち入りが許されます。その他の三湖はもう長い間閉鎖状態のようで、嬉しさも半ばと云うところです。 それにしても・・・期待したほどではありません。何と表現して良いか?例えて云うならば、大台ケ原の東大台に入ったような気分でしょうか、あまりに厳重に管理されているのが面白くありませんが、これも諸般の事情で致し方ないのかも知れません。それにしても人の多いこと!夏休みにでもなれば、自然にとっては耐えられない負荷がかかることでしょう。 知床はこれまで。北海道に入って3日目で初めてウトロで宿を取ります。翌日は摩周湖経由で釧路湿原に移動の予定です。宿の民宿は結構な客の数で、外国人もチラホラです。食事までの時間を利用して、汚れた車を洗います。 前夜は時折激しい雨に叩かれましたが、明けてみると好天の兆しで、霧に閉ざされることの多い摩周湖も、その神秘的な湖面を顕わにして呉れます。 摩周湖からは一路釧路湿原へ。湿原はコッタロ展望台に向かいます。この時期、先ずもって野生の鶴は見られないことは分かっていましたが、それでも一見の価値ある湿原で、その静かに横たわる広大な緑の海原は、貴重な自然を実感させてくれるに十分なものでした。湿原の中を歩ける処もあるのでしようが、残念ながらその余裕はありません。 釧路での宿泊地には国際鶴センターが併設されている阿寒丹頂の里道の駅を選びます。これまた自然に囲まれた綺麗な施設で、鶴センターと丹頂鶴自然公園での鶴鑑賞の後は、緑の中の東屋でバーナーを使っての静かな夕食タイムです。向かい側には温泉施設もあって、車中泊地としてはこれ以上は望めないでしょうが、意外に宿泊者は少なく、4,5台と云ったところでしょうか。 5日目は富良野へ移動です。富良野・美瑛は見るところが多いだけに、些かきびしい移動距離ですが、あまり効果のない高速道路は敬遠して専ら地道を走ります。 5日目最初の訪問地は「北の国から」で有名な麓郷の森。成る程素晴らしい佇まいです。粋なレストランで食事も出来ますが、そうそうゆっくりはして居れないのが残念なところです。建築が商売だけに、いささか名残惜しい気がしますが、その足で「五郎の石の家」に移動、これもその佇まいの素晴らしさだけを味わって、一路富良野に車を向かわせます。 コマーシャルなどで有名なファーム富田のラベンダー畑に立ち寄ったのが午後2時。ものすごい車の数です。綺麗な風景にはちがいありませんが、この人ごみだけは何とかならないか?とは手前勝手な言い分でしかなさそうです。ファームの中のお店で、人ごみの中、慌しい昼食をすませます。 あちこちにキョロ々と目を走らせながら気がつくと、そこはもう早や美瑛。美瑛と云えば「マイルドセブンの丘」や「パッチワークの丘」と相場が決まっているようです。若い女性がいかにも憧れそうなロマンチックな風景が広がります。 美瑛での一夜は美瑛駅前、街中の道の駅ですが、何とマア狭い駐車場は車でいっぱい!その殆どが車中泊の車のようです。みると、道路を隔てた第二駐車場らしきところもキャンピングカーで満杯ですから、いかにこの手の車が多いか、改めて驚きます。10分ほど歩いて銭湯で入浴をすませ、車内でそさくさと簡単な食事を終えて就寝です。 美瑛から旭山動物園まではそう距離はありません。到着は9時前、9時半の開園まではまだ間があります。オットセイやペンギン、あるいは白熊の泳ぐ姿など、テレビでお馴染みの光景は圧巻ですが、全体としては期待するほどのインパクトはありません。緩やかな傾斜地にある施設なので、結構疲れます。ところがここで予期せぬハプニングが生じます。カメラを構えて、つい足元にあるベンチの上に立ち上がった細君に、「ベンチに乗らないで下さい!」と鋭い女性の声!驚いた細君は足を踏み外します。捻挫です。別の係員の薦めで看護士の手当てを受ける羽目に・・・何とか歩くことは出来るようですが、これで翌日に控えた羊蹄山登山は夢と消えました。 動物園のあとは一旦小樽に戻ります。長いドライブです。流石に北海道でもこの間は高速を利用します。小樽で高速降りると、積丹半島の付け根を余市経由でニセコの比羅夫を目指します。登山前夜と予定していた今夜は、ペンションに投宿です。 これまで比較的良かった天候も、ニセコに入った夜あたりから雨模様です。翌日の夜は羊蹄山の山小屋の予定でしたが、急遽予定を変更、小樽からの出航を一日早めることにします。 ニセコ周辺のペンションは冬季だけ営業している処が多いようですが、投宿先も当日の客は我々だけとのこと、久しぶりにゆったりとした一夜を過ごします。 翌日は真夜中の11時半出航まで、時間はたっぷりです。先ずはペンションで教えてもらった神仙沼を訪れます。まだ時間も早い所為か、人影はまばら・・・森の中の1時間ほどの散策は朝の散歩にはうってつけです。 散策の後は、途中道の駅で買い物などを楽しみながら、いよいよ最終目的地、小樽を目指します。北海道に入ったときは真夜中に素通りしただけの小樽。最終日の今日はたっぷりと時間がとれる筈です。 運河近くの観光駐車場に車を預けると、早速雨の中の街歩きです。先ずはガイドブックで予め中りをつけておいた店で昼食ですが・・・お目当てのお鮨はまるでいけません。二皿、三皿で切り上げて早々に退散します。謳い文句とはまるで違うお粗末な内容です。いかにも・・・そう云えば何となく街の雰囲気全体に商業主義的な臭いが漂っています。これはあまり期待できないのでは?と思いながら、兎も角はガラス工芸など名の知れたお店を一通り覗きます。如何いう分けか、通りすがりに耳にする言葉は中国語ばかり。どうやら中国からの大きなツアーと鉢合わせかと思っていましたが、中国ではなくて台湾だとか・・・昨今は台湾からの観光客が多いとのことです。 散策を切り上げてフェリーターミナルに入ったのはまだ7時過ぎだったでしようか?それでも駐車場はすでに結構な車の数です。ターミナルビルで簡単な夕食を取りながら、11時半までの時間を潰します。幸い雨も上がって、出航の頃には船上から綺麗な小樽港の夜景を眺めることが出来るでしょう。また来ることが出来るかどうか?北海道は3度目にして初めての長いツーリングは、雨の小樽で終わりを迎えました。 |