更新日:令和8年7月20日
基礎医学研究
<イハラてんかんラット関連>
私の父、伊原信夫は長年、関西医科大学病第一病理学教室で助教授を務めておりましたが、その頃に、後のてんかん自然発症ラット(IER)の系譜へと繋がる白内障自然発症ラット(ICR)を見出し(1)、昭和57年にはNHK教育テレビの健康クリニックという番組で、白内障がテーマで特集された際に、父のラットが紹介されております。その後父は、伊原内科医院を開業致しましたが、その後も自宅に併設の研究所(ICR基礎研究所)でラットの研究を継続し、先天的にてんかんを自然発症するラットを見出しました。そのラットは、当時滋賀医科大学第二病理学講座助教授の天野殖先生により、側頭葉てんかんのモデルラットとしてアメリカ病理学会誌に紹介され(2)、その後の研究の道を大きく開いて頂きました。その経過は、平成6年の京都新聞でも大きく紹介されました。ごく最近、長年にわたりその原因遺伝子の研究を続けられてきた国立精神・神経医療研究センター神経研究所の早瀬ヨネ子先生らのグループにより、その成果が神経病理学の一流ジャーナルに掲載されました(3)。またその内容は、令和4年度の日本病理学学会の総会でも、学術賞講演として発表されております。この父のラットから同定された遺伝子異常の研究は、それがどのような機序でてんかんを引き起こしているかについて、現在も国立精神・神経医療研究センターで継続されております。白内障ラットについても最近、その発見から40年以上の歳月を経て、遺伝子の同定を含めた発症病態についての論文報告が出されました(4)。
(1) A new strain of rat with an inherited cataract.
Ihara N.
Experientia. 39: 909-11. doi: 10.1007/BF01990433. 1983
(2) Development of a novel rat mutant with spontaneous limbic-like seizures.
Amano S, Ihara N, et al.
Am J Pathol. 149: 329-36.1996
(3) Down syndrome cell adhesion molecule like-1 (DSCAML1) links the GABA
system and seizure susceptibility.
Hayase Y, Amano S, et al.
Acta Neuropathol Commun. doi: 10.1186/s40478-020-01082-6. 2020
(4) Gene profiles and mutations in the development of cataracts in the
ICR rat model of hereditary cataracts.
Takashima M, Taniguchi K, Nagaya M, et al.
Sci Rep. doi: 10.1038/s41598-023-45088-1. 2023
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