雨夜こそ 円居集える ほたるとか
まどい つど
(蛍は雨のなかを乱舞すると教わった。)
夕さりて ほたるほのかに あらわれぬ
(二料山荘の蛍である)
杉の香の 濃くたちこめて 蛍とぶ
たちこめし 木香ひときわ ほたるの夜
えにしあり かの芥川の ほたるみし
(九州は宮崎育ちの風信子が伊勢物語で有名な
芥川に佇んで蛍を見ている面白さ)
ちかめには あわあわとまう 谷蛍
(風信子は近眼である)
佇みて みしほたるあり 谷木立ち
踏みまよう 畔をてつなぎ ほたる追う
くろ (読書会の仲間と手を取り合って走っていく。)
蝮に 怖じつつ探す 畔ぼたる
くちばみ あぜ
(あぜ道に潜むマムシの目は赤く光る。蛍と
見間違えると恐いことになると師匠が。)
ほたる夜や 花いちもんめに 渡る田よ
谷ぼたる われの心も漂いぬ