風信子(ひやしんす)の夏の俳句
虹の芯 捕らえられたる 機影かな
御巣鷹山に日航機が墜落したのは昭和60年の8月12日であった。
風信子(ひやしんす)は、ちょうど数日前に宮崎から帰省したばかりであったので、とてもショックを受けた。
帰省には、いつも全日空を利用していたからだ。何時も楽しみにしていた搭乗を恐れるようになったのも仕方あるまい。
されど宮崎までは新幹線で小倉までいって、特急に乗り継いでからでも6時間ほど、その頃かかっていたので、やむを得ず飛行機に乗るしかなかった。
何年か経て、1人で帰省したことがあった。その帰りの便は台風の後塵を拝して飛ぶといったことでもあったのだろうか、母親が飛行機が飛んでいる間はご先祖様にお経を上げているからね。といったことがあった。
風信子(ひやしんす)は恐がりであるからトホホの気分である。夫が傍らにでもいたらなあと思う。
それでも飛行機が、雲を突き抜けて安定飛行へ移ると上空は快晴であったのだが。 不安な気持ちでいながらも、つい外の景色をみてしまう風信子。さすがに雲ばかりである。落ちたら恐いなあと考えながら、白い雲に目を凝らすことであった。
ちょっとでも海が見えないかなと視界を窓の下側に写した風信子(ひやしんす)は、とても驚いた。虹が見えた。地上から見る虹というものは半円であろう。だが、そのときの虹は完璧な円であった。
「あっ! 丸い虹だ」
もっと驚いたのは、虹の中心に小さな機影が見えたことだ。虹の芯に捕らえたように見える機影は、まるで虹に守られているようにして、雲の上をしずしずと、すべるように進んでいた。 そのとき、なぜか思った。この飛行機は神のようなものに守られている。そう考えると、とても安心した。
でも皆さんは、たとえば高い山に登ったりしたときに丸い虹をみたことがありますか。たいそう珍しいものを風信子(ひやしんす)は見る事ができたのですよね。
俳句を平成6年に作り始めたときに、先ず、たくさんの蛍の句を詠みました。師匠が言ったものです。
「蛍を見に芥川を遡って上流にいくよ。で、そのとき俳句を作ってみよう。一つでいいよ。出来なかったら、出来なかったでいいよ。でも、ひとつくらいは詠んでみようよ。いや、出来る。出来る。大丈夫」
子供の頃に、迷い込んできた一匹の蛍くらいしか知らなかったのに、そのときは、蛍の群れを見る機会を得ました。
楽しく俳句もたくさん出来ました。季語もめちゃくちゃです。なかには重複した季語や季語のないものさえ。
しかし、「良く出来た」と誉めてくれる師匠と、読書会の仲間の賛辞に風信子(ひやしんす)は有頂天になりました。
それからは、シャボン玉がふうと吹くとしばらくは毬を繰り出すように俳句、出て来る。出て来る。
そして、あるときから、ふつりと、なあんにもでない。不思議だな。
では、先ずは『蛍』の俳句をお楽しみください。
蛍 ほたるたる |
花 |
花火 |
夏木立ち |
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