ポジトロンCTを用いた
15-O水静注動態法による肝血流量測定


肝血行動態のモデル

肝は血行の二重支配を受けている。それを模式的に表すと下図のようになる。これが、われわれがポジトロンCTで肝血流を測定する際のモデルである。

門脈系臓器について

まず、胃・腸・脾・膵等の門脈系臓器に着目してみるとFickの原理から単位時間における血流量の変化は

で表すことができる。

肝動脈系について

肝血流量における動脈成分に着目すると

肝門脈系について

肝血流量における門脈成分に着目すると

総肝血流量について

肝のtime activity curveは y=Ch(t)=Cha(t)+Chp(t) で表されるが、これは、eq.1の解をeq.3に代入して得られる解と、eq.2の解の和である。

非線型最小自乗法

実際にポジトロンCTで得られる値は

であるから、もう一度積分して得られた値と実際にポジトロンCTで測定した値とが最も良くFitするような値を、非線型重回帰分析(われわれはSimplex法を用いる)により決定する。しかし、求めるべきパラメーターの数が多いため、実際には脾臓のtime activity curveが最大になる時間までで動脈血流量を求め、それ以後の時間で門脈血流量を算出している。

入力関数

入力関数は以下の二式を用い、連続動脈採血の結果からSimplex法により決定している。

総肝血流量

これまで測定した約200例の結果は下図のとおりである(垂直線は95%信頼区間を示す:以下同じ)。

wpe1.jpg (30030 バイト)

シャント係数

wpe2.jpg (24435 バイト)

門脈臓器循環時間

wpe3.jpg (24030 バイト)

 


次へ

谷口弘毅のホームページへ