肝は血行の二重支配を受けている。それを模式的に表すと下図のようになる。これが、われわれがポジトロンCTで肝血流を測定する際のモデルである。
まず、胃・腸・脾・膵等の門脈系臓器に着目してみるとFickの原理から単位時間における血流量の変化は
で表すことができる。
肝血流量における動脈成分に着目すると
肝血流量における門脈成分に着目すると
肝のtime activity curveは y=Ch(t)=Cha(t)+Chp(t) で表されるが、これは、eq.1の解をeq.3に代入して得られる解と、eq.2の解の和である。
実際にポジトロンCTで得られる値は
であるから、もう一度積分して得られた値と実際にポジトロンCTで測定した値とが最も良くFitするような値を、非線型重回帰分析(われわれはSimplex法を用いる)により決定する。しかし、求めるべきパラメーターの数が多いため、実際には脾臓のtime activity curveが最大になる時間までで動脈血流量を求め、それ以後の時間で門脈血流量を算出している。
入力関数は以下の二式を用い、連続動脈採血の結果からSimplex法により決定している。
これまで測定した約200例の結果は下図のとおりである(垂直線は95%信頼区間を示す:以下同じ)。