神室町ヒルズ・・・。
あれから半年・・・。
どうやら、ヤツは生きていたらしい・・・。
戦争を起こそうとしていた人間に持つ感情ではないだろうが、俺は龍司が生きている事に安心した。
俺自身まだ決着を付けられていないからだろうが、正直今の自分の気持ちが良くわからない。
龍司が生きていると知ったのは数週間前。
郷龍会、いや今は近江連合の若頭である、林弘から「盃」を受けるとの書状が届けられたのだ。
差出人は”郷田龍司”。
東城会同様、大勢の幹部を失った近江連合。
どうやら、今は龍司が仕切っているらしい。
「盃」を交わすというのなら、いずれ龍司本人が東城会本部にやってくる。
どんな顔でヤツを迎えればいいのか分からない。
そんな矢先、龍司本人から直接俺に連絡が入った。
『今から会えへんやろか?』
龍司本人も神室町に来ているらしい。
来ているのならば林という男に任せず、自分自身で東城会本部に来ればいいものを俺だけを呼び出すとはどういうことだ?
何か裏があるのか?
それとも、本部に来れない理由でもあるのか?
俺はとりあえず、「バンタム」で会う約束をした。
「バンタム」は神室町でも有名な美味い酒を飲ませてくれる店だ。
落ち着いた内装と優しいマスター。
俺もよく通っていた。
中に入ると、龍司はもう一杯始めている様だった。
俺が来た事に気付いたのか、龍司は振り返り、
「よぅ。久しぶりやな。」
グラスを上げてみせた。
あの時の殺気立った様子は全くない。
龍司は一体、何をしようとしているのだろうか・・・?
「なんだよ。呼び出したりして。」
俺はカウンターに座っていた龍司からひとつ席を空け、その隣に座った。
「まぁ、えぇやないか。呑めや。
・・・マスター、同じのやってぇや。」
マスターからグラスを渡される。
俺は其れを受け取り口にした。
「今日はワシの奢りや。気にせんと呑めや。」
龍司は乾杯をしようとグラスを差し出した。
この男と酒を呑む事になろうとは夢にも思わなかった・・・。
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