Vol.13:麻しん予防についてH20.04.01 麻しんは感染力が極めて強く、入院率が高い重篤な疾患です。一方、麻しんはワクチンによる予防効果が95%以上と言われており、制圧しうる疾患でもあります。事実、欧米先進諸国では、ほぼ排除されていますが、日本ではその対策の遅れが指摘され、「麻しん輸出国」とまで言われたりもしました。 麻しん排除を目標に行われている2回接種の意味について、国立感染症研究所 感染症情報センターのポスターにわかりやすく記載してありますので、ここでご紹介します。理由は3つ。 <その1> 1回の接種で免疫がつかなかった子どもたち(数%)に免疫を与えます。 <その2> 1回の接種で免疫がついたにもかかわらず、その後の時間の経過とともにその免疫が減衰した子どもたちに再び刺激をあたえ、免疫を強固なものにします。 <その3> 1回目に接種しそびれた子どもたちにもう一度、接種のチャンスを与えます。 その2について補足説明します。麻しんワクチンでできた免疫は、その後に麻しんの患者さんに接触することで刺激を受け、免疫が強まりますが、実際そのような機会は非常に少なく、時間とともに減衰していってしまいます。近年見られる麻しんの流行が、10歳代以降に多いのは、このことが原因になっていると推察されます。風しんのワクチンを赤ちゃんの時に接種したはずなのに、妊娠時の検査で抗体価が低いというのも、同じ現象です。2回接種し、免疫を強固なものにする必要があるのです。 予防接種制度の変更がたび重なり、保護者の方は戸惑っておられるとは思いますが、周囲の方々と声をかけあい、一人でも多くのお子さんが免疫を獲得し、麻しんが日本から排除されるよう願っています。 |