脊髄外科のページ
Minoru Hoshimaru, M.D.
脊髄動静脈奇形

脊髄動静脈奇形は稀な病気ですが,最も多いのが脊髄硬膜動静脈瘻と呼ばれるものです.脊髄硬硬膜動静脈瘻は,高齢の男性に多く発生しますが(脊髄硬硬膜動静脈瘻の統計のページへ),脊髄から流れ出す静脈が動脈と直接につながっているために動脈の血液が脊髄に逆流し,脊髄表面の静脈が怒張し,そのために脊髄内の血液が流れ出しにくくなって,脊髄が腫れる病気です.この病気により両下肢の麻痺や痺れ,排尿障害が発生します.上段の写真の左側はMRIで脊髄表面の怒張した静脈が白く写っています(黒矢印).また,脊髄が腫れているのが判ります.右側は血管撮影で椎骨動脈から脊髄表面の怒張した静脈が写ってきます(黒矢印).
手術では脊髄表面の怒張した静脈は動脈血のために赤く観察されました(中段の写真の左側).クリップで動脈との連絡を断ち切ると脊髄表面の静脈は本来の静脈血の色である紫色に変色しました(中段の写真の右側).術後,歩行障害や排尿障害の症状は改善しました.
下段の写真は手術後のMRIで脊髄の腫れが消失しているのが判ります.

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