このページでは海外で現在活躍されているビジネスマンや暮らしておられる方の生の声を、掲載しております。
現在、海外で滞在されている方で、その国について、レポートして下さる方、広く募集いたします。
◆ 海外特派員:TETSU(タイ・バンコク在住)
1961年東京生まれ。学生時代は、アジア各地を貧乏旅行されており、御卒業後、総合商社に入社され、
最初に配属になった大阪支店には、独身寮のあった兵庫県川西市から福知山線を利用して通勤されていました。
当時、よく鉢伏山や神鍋 山にスキーに行かれ、帰りに「ぼたん鍋」を食べられた思い出が、あるそうです。
そして、東京本店に勤務された後、現在は、日本のメーカー数社と合弁で設立したタイの会社に
出向されています。
毎日バンコクの自宅から会社(工場)のあるアユタヤまで、片道
80キロ近い道のりを、自動車通勤されています。
1997年9月現在で、タイには、1年5ヶ月滞在されており、御二人のお子様のうち下のお子様は、当地で誕生されています。
日常生活の中で、タイは日本とこんなところが違うという発見があれば、ご紹介して頂ける予定です。
Homepage:
E-mail : fineview@hotmail.co.jp (Fine Viewから転送します。)
◆ Back Number ◆
タイ国における外資規制緩和
日本政府の総合経済対策、1兆円のアジア対策融資の行くえ
タイの通貨バーツが更に下落を続けると予想される理由(1998
年1月10日現在)
年末にNHKの「アジア発見」を見て思ったこと
タイ通貨危機−日本人の常識が陥りやすい誤解
(98/11/03 水の都・バンコクからの便り)
◆ 出稼ぎの象
少し古い「朝日新聞」に、共同通信の配信で次のような記事がありました。「(要約)タイの英字紙ネーションによると、バンコク近くの幹線道路で、象と自動車が衝突する交通事故が起きた。(中略)バンコクでは象が交通事故に巻き込まれる ケースが増えている。生息地の環境が開発によって破壊され、えさを求めて都会に来るようになったためのようだ。」
これを読んで、日本のみなさんは「なるほど」と思われるのでしょう。
しかし、タイに1ヶ月も住めば、小学生でも「こりゃ嘘だ」と気づきます。
推測するに、この象は、北部山岳地帯の少数民族の家畜で、バンコクに出稼ぎに来た象です。仕事の内容は、寺院や夜の繁華街で、象を珍しく思う観光客(白人や日本人 など)に、記念撮影をさせたり、えさのバナナを食わせたり、巨体をなでさせたりして、チップをもらう商売です。こういった象はバンコク市内に少なからずいて、恐らく、数頭が出稼ぎのためにバンコクに駐在しています。
なにを隠そう、私自身、夜間の暗く細い路地を運転していて、あやうく象と正面衝突しそうになったことがあるほどです。バンコクではそれほど頻繁に出稼ぎの象を見か けます。もちろん象は飼い主と一緒です。最近、尻尾にテールランプを付けた象も見かけました。
おそらく、タイには野生の象は既にほとんどいなく、大半は家畜や観光資源となって、農民や観光業者の私有財産になっていると思います。
以前、NECが全国紙に掲載した企業イメージ広告に、次のようなものがありました。
タイに留学中の日本人女子大学院生を起用し、壷井栄の「二十四の瞳」を連想させるボンネット型のバスを配した田園風景をバックに、タイの子供たちに囲まれながら、 「この国の自然環境を守りながら開発していく・・・この難題が私の研究テーマです」と言わせていました。もちろん小脇に98ノートを抱えながら。
ところが、ボンネット型のバスなんて、タイのどんな田舎へ行っても見たことがありません。タイの古いバスは、トラックの荷台に幌を掛けただけのものが多く、身近な タイ人によれば、歴史上、タイにボンネット型のバスは存在しなかったとさえ言っています。これは明らかにデジタル合成写真で、ボンネット型のダンプカーがまだ多少走っていることから思いついた演出と思われます。おそらく後進性を印象づけようと したのでしょう。
現在のタイ国の輸出通関統計に見られる生産品目別輸出金額の第一位は、工業電子部品=パソコンのキーボード等です。NECの98ノートのキーボードも、タイ国内に 4ヶ所あるミネベアの工場や、隣のマレーシアのミツミ電機の工場で組み立てられている可能性があります。
もちろん、経済の急成長の陰に大きな矛盾を抱えていることや、近代化が表面的に過ぎないことを否定するわけではありません。しかし、日本人の意識の上で、東南アジ アは、いつまでも「未開の地」に留まるべきなのでしょうか。頭の現地化が進んできた最近の感想です。