□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
世界の窓

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
 

インドネシア・ジャカルタ VOL.1】

ICA女史

 

 

(99/05/10 インドネシア・ジャカルタからの便り)

◆ 「最近のインドネシア関心事」

 

------------------------------------------------------------------------------
▼ (5) インドネシアのイスラム
------------------------------------------------------------------------------

インドネシアはイスラム教徒が80%以上を占める国です。 ムスリム(イスラム教徒)は1日5回のお祈りを義務づけられています。 このお祈りは聖地のメッカの方角を向いて行います。

このインドネシアのムスリムたち、世界の他の国のそれに比べて、 あまり有名ではないようです。皆さんはご存知でしたか?

それというのも、ここインドネシアではイスラムがあまり感じられないからではないかと思います。女性達の服装をみてもイスラムで 義務づけられている、手足はもちろん髪も首も見せないような格好をしている人は全体のごく一部で、大部分は普通の服装です。 イスラムでは禁止しているお酒やビールも自由に購入することが出来ます。

そして、これは人にもよりますがお祈りや断食などの義務を果たさない 人が特に首都圏では多いようです。

イスラムの五大義務は、

1 信仰の証言 (アッラーの他に神はなく、ムハンマドがアッラーの預言者であると証言 する)
2 お祈り(1日5回)
3 喜捨(断食月の喜捨、収入、財産の2.5%の喜捨)
4 1年に1回、イスラム暦9月の間の断食
5 財産や家族の生活、健康に問題が無ければ、一生に一回の聖地メッカ への巡礼

となっています。

インドネシアでは身分証明をするために宗教の別を明らかにしなければ なりません。これは昔、共産党を排除するためでもあったようです。 インドネシアは一時期、共産主義に傾きかけましたが(初代スカルノ大統領 の時)、国内が安定せず国民の不満が高まってもいました。 そんな時、あるクーデターが起こりそうになりました。それを食い止めたのが 当時一将校にすぎなかったスハルト大統領です。彼はクーデターを共産党の せいだとし、その後、気に入らない人物を共産党員という理由をつけて処分 してきました。1年前の退陣まで実に32年間もこの国の政治経済を我が物 にしてきた人物です。彼の権力はいまだに見えないところで働いているといい ます。

話が脱線しそうになりましたが、つまり、この国民の共産党狩りをするための 一環でインドネシア国民は国で認められた5つの宗教(イスラム、仏教、 ヒンドゥー、カトリック、プロテスタント)の内どれかを信仰しなければ ならなくなったということです。ですから、「身分証明書のための宗教」が あっても 不思議ではありません。

そうは言っても、それ以前にイスラムは人々の間に浸透していました。 インドネシアの人口の大半を占めるジャワ人は、権力のあるものには 表面的に従うという処世術を持った民族。彼らの大部分はイスラム教徒に なりました。それ以前のヒンドゥー教、アニミズムなどと融合したものも ありました。もちろん、正しくイスラムを受け入れた人々もいましたが、 私がジャワの人はイスラムを本当の意味で実践していないというのは、 このためなのです。

ですが、彼らは日本人に多いような無宗教ではありません。 神の罰を恐れながらも義務を怠っているという風にみうけられます。 それはおそらく、彼らが生まれたときから多かれ少なかれ「宗教」 に接してきたからだと思います。

ちなみに、前大統領スハルトもジャワ人でイスラム教徒です。 故人である奥さんは以前、キリスト教徒だったのですが、晩年になり 改宗したそうです。こんなことはイスラムではあってはならないそうですが・ ・・。
 
 


(99/05/02 インドネシア・ジャカルタからの便り)

◆ 「最近のインドネシア関心事」

 

------------------------------------------------------------------------------
▼ (3) アンボンのイスラム教徒迫害 ------------------------------------------------------------------------------

この間の1月の終わり、全世界のムスリムは断食あけの大祭(ルバラン) を迎えました。1月の19日のことです。ムスリムの人々はこの日、モスクにてお祈りをします。マルク州の州都アンボンでこのお祈りのをしていた人たち が、キリスト教徒(プロテスタント)の人々によって、何の前触れなく襲われました。これが発端となって、アンボンではイスラム迫害が今でも続いている といいます。

このニュース、インドネシア国内でもあまり大きく取り上げられていません。外国のニュースでは正しく報道されていたでしょうか。モロッコに住む友 人は「逆だったような気がする。(イスラム教徒とキリスト教徒の立場が)」 と言っていました。イスラム教徒がお祈りをしている最中に殺されたり、それを切り刻んだり、火をつけたりという例をいくつも聞きます。 これまでに百、千単位の人が殺されたといいます。カリマンタンやスラウェシ などの他島に 非難した人は万単位だそうです。(具体的な数字がなくてすみません)

とにかく、凄い単位の人が犠牲になっているのに情報がなかなか伝わってこないのです。この事件、火付け役がいると言われています。それは、来月の 総選挙を妨害する者です。宗教戦争に見せかけていますが、本当は政治的な問 題なのだというわけです。

イスラムはいつも正しく伝えられない、と思います。 ジャカルタの近郊ではこんな事件がありました。ある女学生、彼女は敬虔なム スリムで今回のアンボンの被害者を助けるための寄付金を集める活動に参加していました。ある日、 早朝のお祈りの後、まだ暗い道中で、モスクに行こうとしていた彼女は何者か によって殺されました。いったい、何が目的で人殺しをするのでしょう。犯人 は捕まっていないようですが、アンボンの関係者じゃないかと言う人もいま す。この事件もある雑誌で取り上げられていましたが、一般のニュースで取り 上げられていたかどうか定かではありません。

殺人事件が大きく取り上げられないのです!!

インドネシアのイスラムはいつも挑発されているようです。先日の国立回 教寺院爆破事件でも、犯人はイスラムを挑発したいんだろうと思います。さ て、誰が犯人なのでしょう? それは、インドネシアの一番のお金持ちで一番の権力者(だった?)人ではな いかと言うことです。国内を混乱させて、総選挙を失敗させようとしているのです。

------------------------------------------------------------------------------
▼ (4) 子供の楽しみ
------------------------------------------------------------------------------

親戚のおじさんは、自分の子供が選挙運動に参加するのを構わないといいます。 運動に参加して、車から落ちたりして死ぬ子が何人もいるというのに。

選挙運動とはトラックやオートバイで町中を駆け巡る、大衆にとっての「行楽」なのです。

私は、上述のおじさんにそれはいけないと注意します。まだ小さい義理の弟にも絶対運動に参加させるなと言います。 ただでさえ、子供の遊びが制限 されてしまう、ここジャカルタ。トラックの荷台で大勢になって、騒ぐのが楽 しみだなんて・・・。政治の意味も知らないのに。

各政党から、選挙運動用のTシャツや、旗をもらう子供はご機嫌です。もっとも、裕福な子供はこんな危険な遊びはしません。

選挙は6月7日。 5月17日から、選挙運動が始まります。

追記: もっと、楽しい話題をレポートしたいのですが、どうも偏っているみたいです。 次回は、生活習慣の話でもしたいと思います。(あくまで予定ですが) 1週間に一度は投稿したいと思っています。お楽しみに。


(99/04/25インドネシア・ジャカルタからの便り)

◆ 「最近のインドネシア関心事」

 

------------------------------------------------------------------------------
▼ (1) 来る6月7日の総選挙について  ------------------------------------------------------------------------------

大統領の作り出した、「汚職、癒着、縁故主義」政治にうんざり している国民は今回の総選挙に疑問を感じながらも期待しています。 果たして、この選挙で新しい大統領を生み出すであろう新政党が勝って 政治は変わるでしょうか。

インドネシアの投票率は驚くほど高く、 80、90%台に達するそうです。 これは国民の政治への関心が高いからなのでしょうか? それもあるでしょうが、隣組(町内会)や職場単位の相互監視が行き届いているからのようです。

選挙権の条件は満17歳以上であること、または既婚であることなどです。地方では10代で結婚する人がかなり多いと聞きますし、 文盲率も高いそうです。それで投票用紙には各政党のマークが印刷されていて文盲の人にも分かるようになっています。

ただし、去年までは政党の数は3つだったのに対し、今回はなんと 48政党という数の多さ。文盲の人は、どうやって自分の投票したい 政党のマークを覚えるんでしょうか。テレビもラジオも無い村に住む人はどうやって新しい政党を知るんでしょう。

人々の関心はまさにこの政党のマークにあります。 いったいどの政党のマークが一番目に付きやすいだろうとか 投票用紙に印刷されているマークの順番が若い方が得だとか、 ということが巷では論じられています。

しかし、当の議員選定の方法に関しては知らない人が多く、選定方法が 改定されたといえ、選挙以外の方法で選ばれる議員(与党ゴルカルや 国軍から任命される)がいまだに幅をきかせていることを 知らない人がいます。人々はこの選挙で野党が勝つことを 夢見ていますが、私の感じでは政治は変わらないと思います。

でも、よく考えたら私だって日本の政治や選挙の仕組みを 理解しているわけじゃありませんでした。人のことは言えないものです。

------------------------------------------------------------------------------
▼ (2) 東ティモール、アメリカの軍事基地になる??  ------------------------------------------------------------------------------

私たちもアメリカの偽善主義には、もう気づいていますが、 アメリカなどの報道機関はずっと前から 東ティモールの独立運動の話を大きく取り上げていました。 それに、今回はアメリカの小学生が在アメリカのインドネシア大使館で このことに関するデモを行ったというではありませんか。 小学生がデモというのも凄いですが、こんな事が起こるのも アメリカに魂胆があるからなのです。 当地は資源もなく、土地も乾いており不毛の土地なのです。 しかも、人々も馬鹿(失礼)なんですって!? だから、独立すれば思うツボになってしまうんだそうです。

インドネシアとしてはこの恩知らず?の地方を手放したいのだけど、 手放せば、アメリカの思うようになってしまい、インドネシアにも 東南アジア全域にとってもよくないのだとか。

実は東ティモールよりもっと多くの犠牲者を出してきた地方が あるんです。それは、アチェです。ここは、イスラム教が強いことでも 有名。それに比べ東ティモールはキリスト教だから、アメリカなどには 確かに操作されやすいかも。 アチェみたいに、イスラムで頭のよい民族はアメリカは最初から あきらめているんだそうです。軍事基地にするのは難しいのです。

次回はアンボンのイスラム教徒迫害事件についてもお話したいと思います。 生活習慣などの身近な話も取り上げますので、お楽しみに。