読売 vs 朝日 社説対決 北朝鮮問題


■著書名:【読売 vs 朝日 社説対決 北朝鮮問題】
■ジャンル:日本歴史
■著者名:読売新聞論説委員会編 辺 真一・柘植久慶 解説
■出版社:中央公論新社
     発行年:2002年   定価:700円
■ISBN4-12-150072-5
■おすすめ度:★★★

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 2年程前,30年来購読していた朝日新聞の購読を止めて読売新聞に鞍替え
した。急に読売が気に入ったというわけではない。朝日の社説がどうにも気に
入らなくなってきて,もうそろそろ止めようかなと思っていた矢先に,読売が
勧誘に来たのである。朝日の販売店に購読中止の連絡を入れるときにも,「お
宅の対応が悪いわけではなくて,朝日さんの社説が気に入らなくなったためで
す」と,わざわざ理由を説明したほどである。

 朝日の社説のどこが気にいらなくなったのか。一つは一体何を言いたいのか
よく判らないような文章が多いこと(途中で急にトーンが変わることも)。二
つ目には批判が多くて建設的な意見が少なく感じられたことである。この二つ
が私に購読を止めさせた主な理由だろう。

 朝日の購読を止める1年ほど前にこの本は出版されていたわけだが,もう少
し早く出会えていれば,きっと私の決断ももっと早くくだせていただろう。

                 *

 さてこの本,1990年から2002年までの北朝鮮に関する全部で23の
両社の社説を比較解説している。ただし編者が読売の所属であるため当然読売
贔屓の書きようになってはいるが,私にとってはそれなりに納得できるような
意見となっている。

 最初に取り上げてある金丸訪朝団に関しての両社の見出しを書き出してみる
と,読売は『日朝関係構築は慎重,着実に』,朝日は『日朝関係の雪解けを歓
迎する』となっており,また以下のように解説している。『総じて朝日は,今
後の関係改善に大きな期待をかけているのに対して,読売は見出しに象徴され
ているように「慎重」な姿勢に終始している。・・・・・。その後の流れは,
読売の予見どおりとなった』

 最後の23番目には,小泉訪朝後の日朝交渉再開を取り上げている。また見
出しを書き出してみると,読売は『国交正常化を急ぐことはない』で,朝日は
『大局を見失うまい』とある。本では以下のように解説している。『社説の最
後の一文をそれぞれ載せてみると,読売は「急ぐ必要など全くない。じっくり
と構えていくことが最善の道である」 朝日は『ためらわず,正常化交渉を再
開させることである」 随分大きな違いである。この時期は拉致問題が日本中
で騒がれていた時期である』

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 もう少し最近の社説比較が多いと良かったのだが。結構古いのが多すぎる。
90年から02年までの13年間で,北朝鮮に関する社説というのはこれくら
いしかなかったのだろうか。もっと多かったのではないかと思うのだが。。。

 ともあれ私が感じたことと同じことを朝日の社説に対して書いているので共
感を覚えたのは確かである。

 最近は新聞紙上で社説を読むのは読売と日経。それ以外の朝日,産経,毎日
についてはインターネットで読むことにしている。便利になったもので,今は
新聞を買わなくともインターネットで比較できる。


(2006.1.28)

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