とりかえっこ


■著書名:【とりかえっこ】
■ジャンル:絵本
■著者名:さとうわきこ/二俣英五郎
■出版社:ポプラ社
   発行年:1985年   定価:800円
■ISBN4-591-00518-6
■おすすめ度:★★★★★

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  何年か前,長男と一緒に『とりかえっこ』という絵本を読んだ。何を取り替
えっこするのかというと,自分の鳴き声を取り替えっこする。子どものヒヨコ
(あっ,ヒヨコというのはもともと子どもだった)が散歩に出かけて,その途
中で出会った動物達と次々に鳴き声を取り替えていく。

  ピヨピヨと上機嫌で出かけたヒヨコはまず最初にネズミに出会う。「ねえ,
なきごえ,とりかえっこしようよ!」と言ってお互いに鳴き声を交換する。ネ
ズミはピヨピヨ,ヒヨコはチュウチュウと鳴きながらまた散歩を続けていく。
次に出会ったのはブタ。「ねえ,なきごえ,とりかえっこしようよ!」。ブタ
はチュウチュウ,ヒヨコはブウブウと鳴きながら別れていく。

  こうして次々と,「ねえ,なきごえ,とりかえっこしようよ!」と声をかけ
ながら,ケロケロ,ワンワン,ニャアニャアと取り替えっこしながら散歩を続
け,最後にカメと出会う。一体カメは何て声を出すんだろうと思っていたら,
カメの声は「む」。ヒヨコはカメと声の交換をして,ようやくお母さんの所へ
帰ると,一言「む」。

                                 *

  この絵本を長男と読んだ後しばらくは,「とうちゃん,とりかえっこしよう
よ!」とやってきては,ピヨピヨ,ブウブウ,・・・,そして最後に「むっ」
で,いつも最後は大笑い。その後何日間かは顔を合わすと「むっ」。この最後
の「むっ」がなんとも面白い。

  何歳くらいだったかなあ。このような普通には有り得ない話を,こういうこ
とは起こらないんだと認識しながら,ファンタジーとして捉えられるようにな
ってからだったと思うから,3歳を過ぎてからだったような。

  次男にも早く見せて読んでやって,そして何年か振りかに一緒に笑って遊び
たいなと思うのだが,今は2歳半くらいだからまだちょっと早いかな。

  優しい穏やかな絵がほんわかとした雰囲気を出してくれていて,ほんとに楽
しく子どもと一緒に読む(見る)ことができる。読み聞かせだけではなくて子
どもと一緒に言葉遊びもできるところが便利である。動物達のバリエーション
も自分で勝手に増やすこともできるし・・・。

                                 *

 小さな子どもというのは,とにかく相手をしていればケラケラニコニコと笑
ってくれるので嬉しくてまた楽しい。でもさらに何か道具があるとこちらも楽
で,そんなときには絵本というのはとてもありがたいものである。(ちょっと
こんなふうに言うと不謹慎かもしれないが・・・)

 父親の場合には,読み聞かせと考えるとちょっと身構えてしまって少々照れ
るところもあるのだが,絵本というのは子どもと一緒になって遊ぶ道具なんだ
と思えば,また気も楽である。

(2001.7.6)

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