![]() ■著書名 :〔図解雑学〕心理学 ■ジャンル:心理学 ■著者名 :大村政男 ■出版社 :ナツメ社 (発行年:1999年 定価:1200円) ■ISBN4-8163-2585-9 ■おすすめ度:★★★ ====================================================================== うちの子どもはワガママばっかり言ってるし,ちょっと気に入らないことが あるとすぐに怒り出すし,いったいどういう性格をしてるんだろうか? 母親 とも何かしょうもないことで衝突しては,お互いに怒りあっているし,こんな のでいいんだろうか? などと考えていると少しは心理学でもかじっておけば よかったなあと思ってしまうことがある。 かといって,今更難しい心理学の本などはとても読めるものではないが,そ んなときに本屋の平積み棚で見つけたのがこの本である。 パラパラとページ を繰ると,どのページにもイラストが書いてあって読みやすそうで,文字数も 少なくて,これなら読めそうだなと感じた。 心理学入門の,そのまた入門書 といったところであろうか。 題名に「雑学」と付けてあるように,心理学という重い言葉に捕らわれない で広く浅い雑学と思って読めば,すっと読むことができる。 * 心理学というのは古代ギリシアで心についての学問として生まれたという。 だからまず,プラトンとかアリストテレスが登場してくる。プラトンといえば 『イデア』。大脳に対してイデア界の霊魂が働きかけて精神活動が生じるもの と考えた。アリストテレスは心臓の働きと考えていたという。 心理学は哲学の範疇に入っていたらしく,いろいろな哲学者の名前が出てく る。ヒポクラテス,エムペドクレス,アナクシメネス,ヘラクレイトス,デカ ルト,ロック,・・・。 20世紀の初めに,オオカミに育てられた少女が発見された。このことは我 らも子どもの頃に聞いたことがある。さてこのオオカミ少女,人間界に戻って から教育を受けてきたのであるが,言葉はなかなか覚えられなかったという。 やはり子どもがそれらしく発達していくためには,生まれたときからのコミュ ニケーションが非常に大切だということを表している。 別に心理学を学ばなくても,乳児や幼児に対しての働きかけというのは,普 段から皆が,とくに母親がやっていると思うのであるが,このように心理学の 本に出ていると,今更ながらにその働きかけの重要性を再認識させられる。こ ういった範疇に入るものを『発達心理学』というらしい。 『性格心理学』という範疇がある。これは性格にはどんなタイプがあるか, 性格はどんな要素から構成されているか,性格に及ぼす遺伝や環境の影響は? どのようにしたら性格をうまく測定したり診断したりすることができるか,な どについて研究する分野である。さて性格をタイプに分ける場合に,体格と性 格との関連付けということで, @肥満型:社交的で活発なとき(躁状態)と物静かなとき(鬱状態)との循 環型が多い。 A痩身方:非社交的で敏感な面と鈍感な面が共存している分裂型が多い。 B筋骨型:几帳面で温和、物事に凝り固まってしまう粘着型が多い。 ということが認められているらしい。これらは日常生活で,なんとなく我らも 経験しているような気もする。 さて性格というものは変えられるかということになると,やはり「性格は容 易には変えられない」ということになるようである。(私もそんなように感じ る) この本では,性格を変えるよりも性格の長所を出すことを薦めたいと言 っている。神経質な人の短所は小心者であるが,長所に変換すれば,気配りの 良さということになる。こういうように考えようと・・・。 面白い実験結果が載っていた。かなり怖い吊り橋があって,それを渡ってい る最中に男女が出会うのと,渡り終わってから出会うのとでは,渡っている最 中に出会う場合の方が,その後に恋に落ちやすいという。これは吊り橋を渡る という恐怖のドキドキが,例えば美人が目の前にいるために認知が混乱して性 的興奮のドキドキに変化してしまったためと説明されている。 ローマ時代の諺に「女性をとりこにしたいなら格闘技を見せろ」というのが あるが,上のことを経験的に表した言葉のようである。 * 題名に「雑学」と付けてあるとおり,雑学としてサラッと読んでしまえる本 である。広く浅く多少の知識を付けようと思う人にお勧めで,これを読んで興 味が湧いて,もう少し深く勉強したいなと思う場合には,それぞれの分野の専 門書に進んでいけばよいと思う。 ただこの本の内容を,ある程度理解し覚えて,日常の生活に活かしていけれ ば,本当にいいような気がする。是非そうしたいのだが・・・。 (2000.2.8) |
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