おつきさまこんばんは


■著書名:【おつきさまこんばんは】
■ジャンル:絵本
■著者名:林 明子
■出版社:福音館書店
   発行年:1986年   定価:650円
■ISBN4-8340-0687-5
■おすすめ度:★★★★★

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 我が家には3人の子どもがいる。上から7歳,2歳そして0歳。最初の子ど
もが6ヶ月くらいになったとき,「とうちゃんも絵本読んでやってよね!」と
母親から言われてしまった。今でこそ平気でいろんな絵本を読んでいるが,慣
れないせいか,父親が絵本を読むというのはちょっと照れてしまってなかなか
うまく読めない。

 そんな父親でも割とスムーズに読むことのできたのが,この『おつきさまこ
んばんは』。暗〜い夜に満月が屋根の向こうから昇ってきて,途中で雲に隠さ
れて,そしてまた顔を出してくるという筋である。

 作者は「林明子」さん。子どもができてから絵本を読み出すまでは全然知ら
なかったのだが,すごく有名な人でファンもいっぱいいるらしい。この作者の
描いた絵本は我が家にもかなりたくさんたまってきて,そのどれをとっても心
が引き込まれる。う〜ん,さすがだなあと感心している。

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 絵本を読んでやるときには,だいたいひざの上に乗せて読んでいるのだが,
この体勢が子どもも安定するし,こちらも読みやすい。

 絵本の中に「おつきさまこんばんは」という言葉が出てくる。この言葉を読
むと,子どもは「こんばんは」のつもりか,頭をウンといった感じで下に下げ
る。判っているんだねえ・・・。おつきさまが雲に隠されるページにくると,
泣きそうな顔をして心配そうにする。(もっとも泣きそうな顔をしていたのは
長男だけで,次男の方はあまりそういう反応はなかったけれど・・・)

 裏表紙に,おつきさまが「あかんべー」をしている絵が描かれている。ここ
に来ると,長男・次男とも「べー」として喜んでいた。(三男は生まれたばか
りなので,まだ読んでやってはいない)

 何と言っても,絵本を読んでいて嬉しいのは子どもがいろんな反応を示して
くれることである。「きゃあきゃあ」言って反応してくれると,こちらも調子
にのって,慣れないながらも,次々と読んでやろうという気になってくる。

 この『おつきさまこんばんは』は,慣れない父親でも読んでやりやすいし,
子どもも反応してくれやすい。そんなわけで,ちょっと恥ずかしいなと思って
いる父親にとっても,是非手にとってほしい絵本であると思う。

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 この絵本は,他に『きゅっきゅっきゅっ』,『おててがでたよ』,『くつく
つあるけ』という3冊の絵本と一緒になってセット出されている。どれも楽し
くて読んでやりやすい絵本なのだが,この父親には『おつきさまこんばんは』
が一番なじみやすかった。

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<読み聞かせをしていた頃の感想 (母親の言葉)>

 どの絵本も読み聞かせは0歳頃からしていて,『かずのぶ』は,どれも喜ん
で見ていたり,何度も読んでと絵本をもってきてせがんだりしていましたが,
様々な反応は1歳過ぎてから見られるようになりました。

 1歳2ヶ月の頃の『かずのぶ』のお気に入りが「おつきさまこんばんは」。
おつきさまが隠れるページでは泣きそうになり,出てくると笑って喜ぶ。裏表
紙の「べーっ」と舌を出しているところでは自分も「べーっ」。 おつきさま
の表情が,すんなりと自分の気持ちと重なるのでしょうね。

 1歳6ヶ月の頃,お空の満月を見て「べ−」としていました。

 「くつくつあるけ」では,くつがころんでしまう場面では神妙になり,「き
ゅっきゅっきゅっ」では,自分も最後にきゅっきゅっきゅっと拭いてもらって
満足。「おててがでたよ」では,手が出なくて「う〜ん」と頑張っているペー
ジで,一緒になって「う〜ん」と言って歯をくいしばっていました。いつも自
分の体験を重ね合わせていたのだと思います。

 また1歳10ヶ月の頃,夕食の時,自分のエプロンについているクマ,ウサ
ギそしてゾウにスプーンの食べ物をつけて「くまもパクパク」「うさぎもパク
パク」「ぞうさんもパクパク」と言っていて,絵本のまねをしているんだなあ
と嬉しくなりました。(きゅっきゅっきゅっ)

 『よしつぐ』は9ヶ月の頃,「おつきさまこんばんは」のおつきさまの絵が
好きで,にこにこしておつきさまをさわっていました。1歳1ヶ月頃には毎日
のように本棚の中からこの絵本を選んで持ってきては,「ん,ん」と何度も読
んでと要求して,何回も繰り返し読みました。「こんばんは」でおじぎをして
見ていました。

 また「くつくつあるけ」では,くつがピョンピョンとはねるページで一緒に
なってドンドンととんで遊んだり,「きゅっきゅっきゅっ」では,「今度はど
こにこぼしたかな」などと言うと,絵を指さして次に自分の手や足を出して,
「ん,ん」と拭いてと要求して喜んでいました。

(2001.2.11)

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