ノンタンのたんじょうび


■著書名 :ノンタンのたんじょうび
■ジャンル:絵本
■著者名 :大友康匠・幸子
■出版社 :偕成社 (発行年:1980年  定価:600円
■ISBN4-03-217090-8

■おすすめ度:★★★★

======================================================================

 ある日,テーブルの上に本を広げて書評を書いていると,横にいた息子が,
「とうちゃん,何してるの?」と言う。「本の感想を書いて残しておくんや」
と私。「それいいね! ぼくも書いとこう。」とか言って,息子が本棚から持
ち出してきたのが,この『ノンタンのたんじょうび』。子どもの書いた感想は
下に引用しておくが,まあ子供らしいというか,自分が1年生の頃には,とて
も感想文なんか書けなかったなあと思いつつ,親馬鹿ながらに感心している。

                                  *

 ノンタンは小さな子ねこ。お友だちには,うさぎ,ぶた,たぬき,くまとい
った子どもたちがいます。ある日のこと,みんなはノンタンに内緒でいろんな
ものを持って,くまさんの家に集まっていきます。ノンタンが途中でみんなに
聞いても,「ないしょ,ないしょ」の一点張り。すっかり仲間外れにされたノ
ンタンは泣いて怒ってすねて,丘の上にのぼってすっかりしょんぼりしてしま
います。そこへみんなが集まってきて,ノンタンに目隠しをして,くまさんの
家に引き連れて行きます。さてそこには何があったでしょう? そう,この日
はノンタンの誕生日。家の中には大きなケーキやノンタンを型どったクッキー
がいっぱい並べられていました。

 ストーリーを書いてしまえばたったこれだけ。シンプルな話である。でも子
どもというのは,こういうのを本当に喜び,我が家の息子も毎日毎日引っ張り
出しては,「読んで,読んで」とせがんでいた。

                                  *

 さてこの絵本には,「ノンタンクッキーの作り方」というのが載っている。
小麦粉・バター・卵などを用意して,『練って,ほぐして,寝かせて,延ばし
て,形を作って,そしてオーブンで焼く』という,まあ普通にある「お菓子の
作り方」が子どもでも判るように書いてある。

 我が息子が幼稚園の頃,この絵本を読んでいるときに「とうちゃん! ホワ
イトデーにノンタンクッキー作って,かあちゃんにあげようよ!」と言い出す
ので,「よっしゃやってみようか!」とついつい言ってしまったのが,もう運
のつき。
 
 ホワイトデーの当日は,クッキー作りなんて始めての父親と5歳の息子が,
訳も判らず大奮闘。台所は真っ白な粉だらけ,テーブルの上は,どうにもまと
まらないボロボロしたクッキーのネタ。2人して「さあどうしようか」と考え
ているときに,出かけていた母親が帰ってきて,ほんのちょっと指導をしてく
れた。

 おかげでなんとか小麦粉もそれなりにまとまって,その後は息子と2人で,
『にちゃにちゃ,ポンポン』と型をとって,それらしくオーブンに入れて,そ
のうちクンクンいい香りがしてきたと思って覗いてみたら,結構きれいに焼け
ていた。思わず喜ぶ男2人。味の方もなかなかのもので,ついついきれいにラ
ッピングして,近所の女の子に持って行った。

                                  *

 物語も(絵も)楽しいし,読み聞かせをしながら(また台所において,小さ
な子どもと「あ〜だこ〜だ」と言いながら),親子の間に楽しい時を生み出し
てくれる。久しぶりに手元に取り出してみたら,かなりボロボロになっていた
が,ボロボロになるくらいに何度も読ませてもらった絵本である。

======================================================================

<子どもの感想文>

 ぼくは,ノンタンのたんじょう日の本をえらびました。ノンタンのたんじょ
う日の本に“ノンタンクッキー”のつくりかたがかいてありました。
 ぼくは,ノンタンは“ねこ”だとわかりました。ほかは“うさぎ”“ぶた”
“たぬき”“くま”がいました。
 ぼくは本をよむのがすきです。ノンタンシリーズにノンタンが出てくるのは
わかったので,どうしてせんがふにゃふにゃなのかしりたいです。

(2000.2.1)

書評のトップページへ ホームページへ