まれに見るバカ女


■著書名:【まれに見るバカ女】
■ジャンル:社会
■出版社:宝島社 (別冊宝島 Real 043号)
     発行年:2003年   定価:1200円
■ISBN4-7966-3098-8
■おすすめ度:★★

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 地元の図書館によく行く。小さな町の図書館なのでそれほど多くの本を置い
ているわけではないが,仕事帰りや休みの日にちょこちょこと通っている。つ
い先日,目新しい歴史の本でも入っていないかなと本棚を探している時,少々
興味を引く題名が目にとまった。それが『まれに見るバカ女』。なんとなく本
の体裁に見覚えがあったので手に取ってみると,別冊宝島Realで,『同和利権
の真相』などを特集していた本である。面白いかなと思って借りてみた。

 イントロダクションからの一部を以下に引用してみる。

 『世の中にバカバカしい話は山ほどあれど,野放しになったバカどもが,人
の高みに立って,いけしゃあしゃあと弁舌をたれる姿ほど,鼻につくものはな
い。・・・・・。近代社会は,女性の社会進出を促し,社会の生産性を向上さ
せてきたが,同時に,バケモノほどにも自意識を肥大化させた“バカ女”を生
み出した。最近とみに,こういったバカ女の言動が目立っているのは気のせい
だろうか。・・・・・。本書は,メディアに跋扈するそんな女性たちに,愛の
礫を浴びせるクリティーク(批判)なのである』

                 *

 本書には47名の女性が取り上げられている。その中で私が少しでも名前を
知っていたのは18名しかいなかった。それなりに名の売れた人物が取り上げ
られているのだろうが4割程度しか知らない。やはり世の中の情報に疎いのだ
ろう。今更ながらに再認識した次第である。

 たまにワイドショーを見て楽しむのと同じように,この本を読んで見ると,
おや,この人はこんなことをしていたのかとか,こんなことを言ってたんだな
どというのが判って面白い。名の知らない人であっても,おやこんなことをし
てる人がいるんだなあ,へえこんなこと言って,世の中いろんな人がいるもん
だと判って,なかなかに楽しい。

 さて47名の内訳はというと,政治家6名,作家9名,文化人(?)11名,
キャスター・タレント21名の構成で,タレントたちが約半分を占めている。
そこそこ歳をくった私としては,タレントたちの名前を知らないのもしょうが
ないので,18名もの名前を知っていればそれなりに充分なのかとも思う。

                 *

 分類としては上に挙げたように4つに分かれている。Part1の政治家(国会
議員)のトップに出てくるのは辻本清美。ピースボートでの金儲け,日本赤軍
との繋がり,カンボジアPKO派遣された自衛隊を訪問しての狼藉,反日主義
と親北朝鮮等々で思い切りけなされている。鈴木宗雄とやりあっていた頃や,
「そーり,そーり」と叫んでいたいた頃は,なかなかやる人物だなあと思って
いたのだが,辞職騒ぎの頃から,おやちょっと違うのかなという気がしていた。
今この本を読んでみて,なるほどこういう人物だったのか,こういう経歴の持
ち主だったんだと知って,私が感じた違和感にも納得のいく思いがした。

 政治家6名のうち社民党の議員が5名で,あと一人は田中真紀子さん。社民
党の5名はほんとにボロクソにけなされているが,田中さんは,指輪事件など
を取り上げてけなしてはいるが,まだ少しはマシかなという印象を受けた。人
物によって担当しているライターが違うのだからかもしれないが,社民党の5
名よりは『バカ女』とは思ってないのかもしれない。

 NHKと自民党議員と朝日新聞がもめていた「女性国際戦犯法廷」というの
があったが,この法廷を演出したのが松本やよりという人物だということを初
めて知った。別に名前を知ったからどうということもないが,こういう人物が
あの法廷なるものを主催していたんだと思うと,「なるほどな」と納得もする。
この法廷も本書では反日茶番劇,北朝鮮向け茶番劇とこき下ろされている。

                 *

 47名の女性(コラム扱いでプラスαの人数がいるが)をこき下ろしている
文章は痛快でそれなりに面白いが,やはり人をけなした本というのは,あまり
読んで後味のいいものではない。読後感という意味ではお勧めの本ではないが,
「ああ,この人はこういう人だったんだ」ということを知ることができたとい
う点では役に立った。ただこういう個人攻撃よりも,同じ別冊宝島Realでは同
和利権シリーズのようなものの方が本としてはお勧めである。


(2006.2.28)

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