![]() ■著書名:【いただきまあす】 ■ジャンル:絵本 ■著者名:渡辺茂男/大友康夫 ■出版社:福音館書店 発行年:1993年 23刷 定価:700円 ■ISBN4-8340-0782-0 ■おすすめ度:★★★★ ====================================================================== 我が家には小学2年生と,まもなく2歳になる息子達がいて,日々賑やかに 過ごしている。ところが,先日急なことに母親が入院してしまった。母親がそ ばにいなくなったから,特に下の子は『ぎゃあぎゃあ』泣くかと思いきや,意 に反して,とりたててぐずるわけでもなく,いつもどおりに過ごしている。上 の方もおそらくは寂しいのだろうが,こちらも頑張ってかどうかは判らぬが, 普段どおりに過ごしている。 さて,上の方はすぐに自分のやっていることに夢中になる方で,『お〜い, 少しは手伝えよ!』と言っても,なかなか腰が上がらない。それに反して下の 方は,何やかやと手伝おうとしてはくれるのだが,如何せんまだ2歳前。食器 を運ぶのにも後ろから見ていないと危なくてしようがない。どちらかといえば 手伝っているより,邪魔していると言った方が正しいようにも思うが,まあこ こは,彼の気持ちを尊重してやらないと,と考えている。 慣れぬ家事と育児をやっていると,何をするにも時間がかかり,夜も飯を食 わして風呂に入れるのが精一杯。これまでは父親もたまには読んでやっていた 絵本も全然読んでやることができない。 * さてこの「いただきまあす」と題した絵本,おそらく1歳位のクマの子ども が食事をしている状況を描写したお話である。トースト・ミルク・ジャム・ス ープ・スパゲティ・サラダと色んなおかずがテーブルに乗っている。エプロン を付けたクマくんは次々と食べていこうとするのだが,フォークを持てばホッ ペタをブスッ。スープを飲もうとすれば口からダラダラダラ。何をするにして も上手くいかない。 さてそこでクマくんはどうしたか。サラダもスパゲティもスープもみんな混 ぜて両手で食べ始める。ニコニコしながら両手でムシャムシャ食べて,そして 最後は,『おいしい おいしい! ごちそうさま』。 我が家の下の子も全く同じ。(当然上の方も1・2歳の頃はそうだった) スプーンとフォークを置いてやっていても,やっぱり最後は手で食べ始める。 そんな子どもにとっては共感を呼ぶのであろう。長男もこの絵本は好きだった し,人一倍大食いの次男もかなり気に入っている。 * 子どもは喜ぶし,子どもが飯を食うのはこんなもんなんだなあ,と安心もで きるし,小さな子どものいる方達にはお勧めの絵本であると思う。 クマくんの絵本は,シリーズとしてたくさん出ており,どれも楽しく読み聞 かせすることができる。ただ「どろんこどろんこ」と題した絵本があって,こ れは砂場で泥だらけになって遊ぶ場面を描いてあるのだが,子どもが泥遊びが 好きなのは判るが,ただその気にさせると,家中砂だらけになる怖れががある ので,読むときにはそれなりに考えて読んでもらわないといけないかもしれな い。でも泥遊びの大切さというのも,忘れている大人に対して思いださてくれ るというのを忘れてはいけない。 さて以下に長男に読み聞かせをしていた頃の母の感想を掲載しておく。何か の参考になれば幸いである。 ====================================================================== <読み聞かせをしていた頃の感想 (母親の言葉)> とうちゃんのお気に入り。自由にのびのびおいしそうに食べるところがいい のかな?「かずのぶ」はフォークでほっぺをさして『あいた』と言ったり,顔 も手もぐちゃぐちゃにしている「くまくん」を見て,大笑いしながらみていま した。食事のとき,まねっこして『あいた』」としてみせたり,『くまくんは テーブルの上に乗っていたよ』などと言っては嬉しそうでした。 読み聞かせは,1歳前頃からでしたが,こうした反応は2歳頃のものです。 この「くまくんシリーズ」は,どれも子供らしい「くまくん」が描かれてい て,子供の気持ちそのものだなと感じます。「かずのぶ」もそんなところが共 感できるので,どの本もすんなり受け入れ喜んで,何度も何度も繰り返し『読 んで』」と言ったのだと思っています。 (2000.9.26) |
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