![]() ■著書名:【しろくまちゃんのホットケーキ】 ■ジャンル:絵本 ■著者名:若山 憲 ■出版社:こぐま社 発行年:1999年 第106刷 定価:800円 ■ISBN4-7721-0031-8 ■おすすめ度:★★★★ ====================================================================== 我が家の次男は大食いである。しかも手づかみで食べる。しゃべりもせず無 心にどんどん口に放り込む。おかげで腹がポーンとで出て,しっかりアンコ型 の相撲取り体型になっている。 ただ今1歳と8ヶ月。1歳の頃もプクプクだったので,近所の奥さん達から は,「しっかり歩くようになったら嫌でもスリムになるわよ」と言われていた のに,それから8ヶ月が過ぎた今も同じ体型である。近くの小学生のお姉ちゃ ん達からは,「ヨシくん,大きくなったらお相撲さんかな!」なんて言われて いる。 飯好きの次男がオッパイを止めるときが面白かった。オッパイを飲んでいて も,近くで茶碗の音なんかがすると,すぐに口を離して「アーアー」と泣く。 長男がアッサリと離乳したもので,「今度は離乳の苦しみを味わうんだ」と言 っていた奥さんも,『オッパイよりも飯』というのに負けて,「じゃあ,あん たはゴハンにしなさい」と見放したら,もうそれからは飯だけになってしまっ た。またしても断乳の苦しみを味わえなかった奥さんである。 * 主人公は『子どものしろくま』である。まず「わたしホットケーキつくるの よ!」と言って,最初のページに登場する。フライパンとボールとお皿を揃え て,冷蔵庫から卵を出して,牛乳と砂糖とふくらし粉をボールに入れて一生懸 命かき混ぜる。もうテーブルの上は粉だらけ。(まあ小さな子どもがやるんだ から,それもあたりまえ)こういう場面も子どもは喜んで見ている。 見開きのページでフライパンの中に落としたホットケーキのタネが,「どろ どろ,ぴちぴち,ぷつぷつ・・・」,と焼けていく様子が描かれている。次男 はこのページを開いては,口を開けて『あんぐり』とする。 おいしそうなホットケーキが焼き上がると,お友達の“こぐまちゃん”に声 をかける。「こぐまちゃーん,ほっとけーき つくったわよ」 そうして二人 でテーブルについて一緒に食べ始めるが,次男はだいたいこの辺で飽き始めて またページを元に戻してしまう。始めの方が面白いのだろうか。でも最近は, 特に1歳半を過ぎたあたりからは,最後まで進むようになった。ただ,すぐに ページを始めに戻して,さあ読んで,という感じでせがむので,だいたい3・ 4回は読まされる羽目になる。 次男は大食いだと言ったが,決して大食いだからこの絵本が好きだというわ けではなさそうだ。居間の棚に絵本が並べてあって,「お〜い,絵本を読んで やるから持っておいで」と言うと,何故かこの「しろくまちゃんのホットケー キ」を持ってくる。たぶん余程気に入っているのだろう。 * 一度,この絵本を見せながら実際にホットケーキを作ってみた。7歳の長男 に「今からホットケーキ作るから,ヨシを連れておいで」と言って,台所にボ ールと卵と小麦粉などを揃えてやり始めることにした。 ボールに材料を入れてガチャガチャかき回し,目の前に絵本を広げて,「ぽ たあん,どろどろ,ぴちぴち・・・」と言いながら,焼き始めたら,やっぱり 思っていたとおり,ニコニコしてギャアギャア言いながら楽しそうに見ておっ た。ただどうしても手を出そうとするので,少しはやらせてやりたいし,でも グチャグチャかき回し始めたら,そこいら中が粉だらけになるし,う〜ん,や っぱり大変であった。もちろん焼き上がった後は,当然のごとく,いっぱいい っぱい頬ばっていたが・・・。 物語絵本も面白いけれど,こういった絵本のように実際に何かを一緒にやれ るようなのも面白い。今一“読み聞かせ”が得意ではない父親にとっては,便 利なものだと実感する。それに子どもも喜んで見ているし。 ある程度大きくなったら,物語絵本も楽しくおとなしく見ているだろうから いいけれど,1歳くらいの小さいうちは,こういうのがいい。 * ページの終わりに,この絵本の「ねらい」というのが書いてあるので紹介し ておく。 ホットケーキの絵本をつくりながら,こどもが開いて歓喜する姿を想像しま した。それは,@大きなホットケーキを食べるうれしさ Aホットケーキがで きる過程への興味 B自分でつくるということの魅力などです。 そこで,食べる喜びは仲良しと分けあうことで,ホットケーキつくりの興味 にはフライパンの中の音などをそえて,つくるたのしみには仕度や道具,材料 への興味をも加えてみました。これらをより合わせて絵本をめくるたのしさに して欲しいと思います。 (2000.7.5) |
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