アシモフ紹介

=くんぼのSF紹介=

 ここでは「アイザック・アシモフ」の作品を紹介しています。 若いときからSFが好きでたくさん読んできましたが,アシモフはいつになっても面白いですね。
 ただし,読むのは殆どが文庫になってからなので(安いから),古いものが多いです。 下に書いているのは主に長編で,短編はあまり載せていません。


  ・ファウンデーション (FOUNDATION)1951
  ・ファウンデーションと帝国 (FOUNDATION AND EMPIRE)1952
  ・第二ファウンデーション (SECOND FOUNDATION)1953
  ・ファウンデーションの彼方へ (FOUNDATION'S EDGE)1982
  ・ファウンデーションと地球 (FOUNDATION AND EARTH)1986
  ・ファウンデーションへの序曲 (PRELUDE TO FOUNDATION)1988
  ・ファウンデーションの誕生 (FORWARD THE FOUNDATION)1993
  ・宇宙の小石 (PEBBLE IN THE SKY)1950
  ・宇宙気流 (THE CURRENTS OF SPACE)1952
  ・永遠の終わり (THE END OF ETERNITY)1955
  ・神々自身 (THE GODS THEMSELVES)1972
  ・われはロボット (I,ROBOT) 1950
  ・鋼鉄都市 (THE CAVES OF STEEL)1953
  ・はだかの太陽 (THE NAKED SUN)1957
  ・夜明けのロボット (THE ROBOTS OF DAWN) 1983
  ・ミクロの決死圏2 (FANTASTIC VOYAGE U) 1987
  ・ネメシス (NEMESIS) 1989
  ・夜来たる[長編版] (NIGHTFALL) 1990

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ここからは下は,何冊かの簡単な紹介(感想)です。

 

ファウンデーション (アイザック・アシモフ)

 ファウンデーション・シリーズの第一巻。

 銀河系全域に拡がっている「銀河帝国」であるが,まもなく滅びるであろうことを予言(推定)したのが “ハリ・セルダン”という心理歴史学者である。心理歴史学というのはなんなのかはよく判らないが, 「個々の人間の行動は予測できないが,充分大きな集団になればその趨勢を統計的に予測できる」という ものである。
 確かに統計的には,ある程度予測できるのだろうが,このハリ・セルダンの予測(推定)は まるで予言者のようであり,セルダンが死んでからでもあらゆる危機が予測されたものとなっている。 ただし,未来をどのように予測しているかについては,あえて語らない。これは,その予測を知ることにより 人々の行動のパラメータが増加してしまうためである。

 この「セルダン・プラン」により,ファウンデーションは幾多の危機を乗り越えていくわけであるが, 「ファウンデーションと帝国」で語られる,人の心を操ることのできる独裁者「ミュール」に対しては もろくも崩れていく。しかし一人の傑出した女性によりミュールを出し抜き,ファウンデーションを何とか 保っていく。その後,第二ファウンデーションの探索。さらに時を経て,地球への旅など,ファウンデーション・ シリーズは進んでいく。

 ファウンデーション・シリーズは以下のように発行されている。

1.ファウンデーション(FOUNDATION) 1951
2.ファウンデーション対帝国(FOUNDATION AND EMPIRE) 1952
3.第二ファウンデーション(SECOND FOUNDATION) 1953
4.ファウンデーションの彼方へ(FOUNDATION'S EDGE) 1982
5.ファウンデーションと地球(FOUNDATION AND EARTH) 1986
6.ファウンデーションへの序曲(PRELUDE TO FOUNDATION) 1988
7.ファウンデーションの誕生 1993

「第二ファウンデーション」から「ファウンデーションの彼方へ」までは,30年ほどの間があいている。 当然アシモフは,その間にいろいろ書いているのであるが,30年の歳月が経ってなお続きが書けると いうのは,ほんとにたいしたものである。
 アシモフは,この「ファウンデーション・シリーズ」と「ロボットもの」が,大きな流れであるが, 30年振りに書いた「ファウンデーションの彼方へ」では,ロボットが重要な役割をもって登場してくる。 長い年月をかけて,自分の書いてきたものの統合を図ろうとしているようである。   


 
ファウンデーションの誕生 (アイザック・アシモフ)

 ファウンデーション・シリーズ(銀河帝国興亡史)の第7巻で且つ最終巻。 アシモフは92年4月に亡くなりました。享年72歳です。(まだ書きかけです)

  


 
われはロボット (アイザック・アシモフ)

 これは非常に有名で,アシモフのロボットテーマの一冊目の短編集である。何故有名かというと, この本でいわゆる「ロボット工学の三原則」なるものが生まれたからで,1950年の発刊なのだが, 今でもこの「三原則」は生きていて,ほんとにたいしたものである。

 この短編集の初めのほうに「ロビィ (Robbie)」という短編が入っているが,手塚治虫が「火の鳥」の中で「ロビタ」と 呼んでいたのと同じようで,なかなかに面白い。
 また「迷子のロボット (Little Lost Robot)」という短編では,如何にロボットを出し抜くかという テーマが綴られており,これは30年位後の「未来の二つの顔(J・P・ホーガン)」(これはロボット というよりコンピュータ相手であるが)と通じるところがあるような印象である。

 さて,「ロボット工学の三原則 (THE THREE LAWS OF ROBOTICS)」とは以下のようなものです。

#1
ロボットは人間に危害を加えてはならない。また,その危害を看過することによって, 人間に危害を及ぼしてはならない。
A robot may not injure a human being, or, through inaction, allow a human being to come to harm.
#2
ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし,あたえられた 命令が,第一条に反する場合は,この限りではない。
A robot must obey orders given it by human beings except where such orders would conflict with the First Law.
#3
ロボットは前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり,自己をまもらなければ ならない。
A robot must protect its own existence as long as such protection does not conflict with the First or Second Law.

  


 
夜明けのロボット (アイザック・アシモフ)

 夜明けのロボット。これからヒューマンフォーム・ロボットの時代が始まるという意味のタイトルだろうか?

 舞台は惑星「オーロラ」。かつて銀河系へ進出していった地球人は,約50の惑星に国家を建設し 宇宙国家連合を形成している。「オーロラ」はその宇宙国家連合の中でも,第一等の規模と地位を占めている。 それにひきかえ地球はというと,唯一地球のみに引きこもり地下都市「シティ」を建設し,その中にひしめき合って 暮らしている状態である。
 地球人は「シティ」から外へ,大気の中の外界出ることを怖れ, 地核の内部に引っ込んだまま一生を過ごしているのが,この時代である。 宇宙国家の人間達はこんな地球人を馬鹿にし,地球人を下等人種と見なしている。 (宇宙人(スペーサーと呼んでいる)たちは,自分達のことを人類と表現するが,地球人を人類とは呼ばない)

 さてこういった背景のもと,惑星「オーロラ」で一人の(一台の)ヒューマンフォーム・ロボットが 殺害(機能不全)され,その第一の容疑者はロボット工学の第一人者でヒューマンフォーム・ロボットの 産みの親である一人の博士とされた。
 当の博士は行き詰まったあげく,以前の知り合い(過去にやはり 宇宙国家「ソラリア」で難事件を解決に導いたことのある)で,地球人の「イライジャ・ベイリ」を 自分の助けとして「オーロラ」に招じ入れるのである。

 このベイリが主人公で,オーロラ人にさげすまれながら,当該の博士の無実を証明していくことになる。 ストーリーはミステリそのもので,ストーリーだけを追えばただの謎解きなのだけれど,宇宙人としての 「オーロラ人」と地球人の感受性の相違が見事に描かれている。また,懐かしのロボット「ダニール・オリヴォー」 の登場や,ファウンデーションで語られる「心理歴史学」の曙が垣間見えることなどが,ファンとして 非常に興味をそそられるものである。

  


 
夜来たる (アイザック・アシモフ&ロバート・シルヴァーバーグ)

 6つの太陽が空をめぐる惑星を舞台としている。6つも太陽があれば,その世界には当然ながら一時たりとも夜は訪れない。 さてそんな世界に夜(暗闇)が訪れたらどうなるか?
 この物語は明るい昼間の世界しか知らない惑星の人類に対して, 急に夜(暗闇)が訪れたら一体どうなるであろうか,というのをテーマとして描かれている。

 一人の高名な天文学者が,6太陽・1惑星天体系の運行を詳細に記述できうる「万有引力の法則」を発見した。 そしてその弟子の一人が「万有引力の法則」に基づき,天体系のシミュレーションと実際の天体運行の軌跡を詳細に比較していたところ, どうにも理論に合わないところがあることを発見した。
 その理由を幾つかの仮説を基に考えてみたが,どうにも納得のいかないところが多く, 最終的に考え得る仮説として残ったのは,未知の物体の存在であり,詳細なシミュレーションの結果,2000年周期の超楕円軌道をもった 彗星が存在するらしいことが判った。

 この彗星が最接近する時には,6つの太陽のうちの5つが惑星の裏側に位置し,ただ1つの太陽が出ているだけで, ちょうど2000年に一度訪れる彗星が惑星の表側に出ている太陽に食を起こさせる軌道をとるということが 理論的に導き出された。

 これに平行して,ちょうど惑星の過去の遺跡を調査していた考古学者の一団は,偶然にも2000年程度の間隔をおいて 積み重ねられた古代遺跡を発見した。この遺跡はほぼ2000年ごとに大火災の痕跡を残しており,人類が定期的な大火災の毎に 滅びてきたことを示している。

 このほかにも,まもなく世界が滅びると信じるカルト集団が存在し,この集団の教えによれば,やはり世界は2000年ごとに 壊滅を繰り返しているという。

 このような舞台背景のもと,6太陽に守られた常しえの昼間世界に突如として日食が始まる。 (天文学者やカルト集団は日食を想定していたが,一般大衆は想像もしていない)  これは皆既日食であり完璧な暗闇が訪れる。
 明るい世界しか知らない人類に暗闇が訪れたら一体人間の精神状態はどうなるであろうか? しかも,暗闇が訪れると,これまで見たこともなかった「星」というものがいきなり目の前に現れる。 人々は暗闇を怖れ,明かりを求めて次々とやたらめったらに火を放っていく。 星を怖れるあまりにパニックを起こし,そこかしこで暴動が生じていく。 こうしてこの惑星に2000年振りの破滅が訪れてくるのである。

 物語は3部に分かれて描かれている。第一部は天文学者・考古学者が2000年に一度の日食が訪れるのを 推測していく場面。第2部は日食が始まり暗闇が訪れ,星々が人々の目の当たりに現れ,パニックと破壊が始まる場面。 そして第三部は,精神崩壊と破壊の後の物語となっている。SFとしては,第2部までが面白い。 第三部はどうも付け足しといった感がある。この「夜来たる」は元々は中編として書かれており,この 長編版では新たに第三部が書き足されたということらしいのを考えると,やはりそうなのかという気もする。

  


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