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「おい、鳳。その辺にしておけ。俺はこいつに話がある」

「え?跡部部長?」

「何勝手なこと言ってるんだ、跡部」

「うるせー、お前は黙っていろ」

跡部の態度は変わらず、自己中にコトを進める

宍戸は振り払おうと思ったけど、掴まれた手は懐かしくて妙な安心感があった。

もうこの手は過去のことだから、

相手の心を見抜くことに長けた跡部には気づかれてはいけない。

どきどきが止まらないこの心を

初等部から、中等部にあがって同じテニス部に入り

変わらず仲良くしていたという跡部と宍戸

でも、これまでと状況が変わることで二人の間にも変化が訪れることになった

偶然とはいえ、宍戸は男同士の現場に遭遇した

それまでの常識を覆すには十分で

同時に興味以上の恐怖が襲い

一度すくんだ気持ちは前に進むことができなくて

というか、歳相応の悩みといえば悩みなんだけど

宍戸はそれに触れることも嫌がり跡部から逃げ続けた

結果として二人の間の距離は自然と広がることになる

広がる距離に焦りはあったけど、

それを縮めるための一歩も踏み出せず

立ちすくんでいる間にどんどん時間は過ぎていく

そうして跡部は次々と来るものを拒まず

浮名を流し続けた

「宍戸先輩!!」

鳳はレギュラーに上がってきてからは、

なぜか一見とっつきにくいはずの宍戸に懐いている

「俺は宍戸が好きだ」

「俺だって、跡部のことは好きだ」

「なら問題ねーだろ」

「俺ら男同士だろ」

宍戸は真剣に跡部を見据える

「んなの関係ねー。俺はお前が好きだし、お前も俺が好きならそれでいいじゃねーか」

跡部は宍戸の言いたいことについていけず

宍戸を強引に自分に引き寄せた。


「良くない」

宍戸は跡部の腕に収まらずに抵抗した

「強情だな、てめーは」

「跡部こそ、自分の思うようにコトが進むと思ってるだろ!」

「ここまできてコトが進まないわけはないだろ」

意見を両者譲らなかった。

「俺はいやだからな」

「・・・勝手にしろ」

と些細なことがきっかけで口を利かなくなってもう2年が経った。

月日が経つのはあっという間だというけど

確かにそうだなと宍戸は実感する

れから跡部とは必要以上の言葉を交わさなくなった

好きな人とのそっけない関係はとても寂しいが、

踏み切れない一歩を踏み出せない宍戸にも原因があるので

何も思っていないフリをするしか宍戸には選択の余地がなかった

たとえ跡部がどれだけの女と付き合っても責める権利は宍戸にはな

はじめのうちはショックで登校拒否したい気分だった

それを隠すのに跡部を必要以上に遠ざけた

それに比例して跡部も女と遊ぶ頻度が酷くなる

宍戸はどうしようもないやりきれない気分だった

どこでボタンを掛け違えたのだろう

それでも二の足を踏めずに宍戸は立ちすくんでいた








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