「困ったときの掲示板@A」この原文を2回に分けて連載しました。
着任早々、こんな声を聞くことがあります。「掲示板がやたら広いのよ。どうしようかと思うわ」一方では「掲示板が全くないのよ。作ってもらわないと。」という呟きあります。どちらも経験がありますから、気持ちはよくわかります。掲示板がなければ作ってもらえばよいわけですが、着任早々の多忙なときに、広い掲示板は悩みの種ですね。そこで、今回は掲示板のヒントをいくつか紹介しましょう。
1手間をかけずに掲示板を埋める
一番手っ取り早いのは、○○保健ニュースを貼ることですね。ただ、それだけでは芸がない。そこで、残っている○○保健ニュースを全部整理してストックしてしまいましょう。ひょっとして封を開けずにそのまま放置されている○○保健ニュースがあったりして…。私は「項目別」に封筒に名前を書いて、その項目に関連する保健ニュースを同じ封筒に全部入れました。たくさんのニュースが入った封筒を「アイウエオ順」に並べてみました。たとえば、「アタマジラミ」のニュースが入った封筒。次は「栄養」に関するニュースが入った封筒、という具合に並んでいきます。
こういう風に整理していくと、健康診断の時期には「健康診断」に関わる保健ニュースを数枚掲示することができます。ニュースの上に「健康診断をうけるときは・・・」のような見出しを作って貼っておけば、それで健康診断もの知りロードの完成です。
2子どもの作ったものは味がある
ただ○○保健ニュースだけを貼っておいても味気ないですね。そこで、季節感を出すために、よく来室する児童をつかまえて簡単な飾りを作らせてみましょう。たとえば、春は花びら、夏は虫、秋は落ち葉、冬は落ち葉の上に消毒用の綿球(裏に両面テープをくっつける)を散らせば雪景色。
いつも思うのですが、子ども達が作ったものには何とも言えない味があります。そして、こちらが指示したものだけではなく、必ず面白いものを作ってくれます。「落ち葉を作ってくれる?」と頼んだら、野ネズミやら、ハローウィンのカボチャやら、おしゃべりに合わせてたくさんの作品が飛び出してきました。楽しんで作ってくれたものを掲示すると、子ども達はとても喜びます。自分たちが作った掲示板を通るたびに、友達に「これこの前つくったんやで」と紹介している姿を目にしました。クラスの友達に紹介することで、また掲示板に対する関心が高くなりますね。
3健康教育と連動する掲示板
私は、掲示板は学びたい時に学べる保健指導の場だと考えています。そう考えると、ミニ保健指導やほけんだよりで取り上げた内容を掲示板で再度提示することによって、学習する機会がふえ、児童の関心が高まり、理解を促すことに繋がります。
ミニ指導で学習した内容について、同じテーマの保健ニュースを貼ることで復習してもよいわけです。その際には、「身体計測のときにお話ししたね!」といった見出し文字を横につけて関心をひきましょう。
4子どもとともに作り上げる掲示板
ほけんだよりをはじめとする保健指導を生かした掲示板です。生活習慣に関する保健指導は、ややもすると「・・・しましょう」で終わりがちです。そこで、「毎日どんなことに気をつけて生活をしているのか」を児童自身が生活をふり返って書く活動を取り入れてみました。「毎日うんこをするひけつ」「よく眠るひけつ」「心が元気になるひけつ」等々。いろんなひけつを書かせたものです。子ども達の発想は本当に面白い!大いに笑わせてもらったことを思い出します。できるだけたくさん掲示板に貼りました。担任も児童も、通りがかりに立ち止まってよく見ていましたね。だって、面白いですから!
5ナンバーワン掲示板はこれだ!
保健指導の講演をさせていただいた際に、時間があればこの掲示板を紹介してきました。読者の中で見たことがあるとおっしゃる方もあるでしょうね。これは、複数配置勤務の時に相棒のK先生が作ってくれたものです。K先生の掲示板はいつも楽しくて、子ども達が心待ちにしていました。中でも、私が一押しなのがこの掲示板です。
最初はサンタクロースの袋の中は何も貼ってありません。サンタクロースは「12月は大忙し。かぜをひかないようにどうすればいいかなあ」と言っています。そして、そばには小さな紙が用意してあります。仕掛けはこれだけです。
ところが、子ども達は私たちの予想以上に動き始めました。各学級の保健係が中心になって「クラスのみんなに配っていいですか?」と言ってきたのです。やがて、保健室前のポストには「風邪をひかない秘訣」がたくさん集まりました。それらを掲示したのがこの写真です。
考えてみれば、保健指導の時間の裏付けは全くありません。けれど、@保健係の児童が学級で声をかけ、A学級の子ども達は「風邪予防」について自分の生活をふり返ってユニークな回答を書いてくれました。そして、保健係が回収して保健室に届けてくれました。Bそれらを掲示板に貼ることによって、友達が書いたメッセージを読み、C友達や担任の先生達と話し合う中で「風邪予防」について繰り返し学習することが可能になったのです。
サンタクロースがきっかけで、子ども達は主体的に「風邪予防」について学習することができました。時間確保した中での保健指導も大事だろうけれど、時間確保しなくても保健指導はできると思いませんか。子ども達は力を持っています。そのユニークな発想を生かすことの大切さをいつも感じます。子ども達が伸び伸びと楽しく学習できるような、そんなことを考えて、計画を仕組むことが必要かもしれませんね。
目次に戻る |