「どうして記録をとるの?」

 保健室で働いていると、記録をとる場面がたくさんあります。年々、記録をとることの重要性を感じています。今回は、できるだけ簡単に、しかし漏れなく記録をとっていく方法を考えてみましょう。
1.来室記録 けがの記録をとっていますか?小規模校なら簡単なことですが、大規模校では大変なことでしょう。しかし、必ずとっておくことをお勧めします。児童数の多い学校ほど、記録をとるのは大変でしょうが、後々のトラブルを防止するためにも必ず記録を残しましょう。それだけでなく、蓄えた記録を上手に発信すれば、非常に有効なデータとして使えますから。とにかく、記録を残す…これは鉄則です。
(1)記録の形式;写真1

私は来室記録を「外科的な訴え(けがの記録)」と「内科的な訴え(しんどい記録)」に分けてとっていました。学校事情により、同一の形式でもよいかと思います。また、記録方法は「一覧表」と「個表」とに分けられます。「一覧表」はパソコンに入力しやすいし、原簿の保存も楽です。しかし、個人情報保護を考えると、表紙をつける等の配慮が必要でしょう。「個表」は個人情報保護ができ自分自身をみつめる機会としては有効だと考えますが、記入に時間がかかり原簿の保存量が膨大になる可能性があります。各学校の来室状況に合わせて方法を選択してください。大事なのは、もれなく記録を残しておくことですから。
(2)使い方
児童が来室した際に、記録用紙に来室記録を記入していきます。もちろん、来室児童が多い学校では、児童が必ず記録を書くように粘り強く習慣づけていきます。(そんなの無理!という声が聞こえてきそうですが、継続は力なり。最初が肝心です。学級経営もどれだけ徹底できるかが鍵になりますね。)その後、来室記録をパソコンにデータとして打ち込んでいきます。データを蓄えることで、説得力のある発信に繋がっていくことを信じて、根気よく毎日入力していきましょう。途中でやめたら、せっかくの苦労が無駄になってしまいます。来室記録を入力することで、多くの気づきがあるでしょう。そのポイントだけを保健日誌に書き残しておきましょう。

2.保健日誌を手作りで
ふり返れば20ウン年前、保健日誌に何も書かずに過ごした日々がありました。急な異動になり、毎晩自宅で慌てて書き綴っていたことを思い出します。もちろん、学校長に毎日提出することもなく…。反省しつつ、保健日誌のお話をします。
(1)保健日誌の形式;フォーム2
保健日誌を買えば数千円、厚い表紙の立派なものが届きますが、私はいつも手作りで作っていました。A4用紙に裏表印刷し、ファイルに綴れば立派な保健日誌の完成です。経費節約になるし、場所もとらないので保存が楽です。
写真の説明;欠席者の内、風邪症状による欠席が何人くらいあるのかが知りたいので欄を設けていました。自分が知りたい項目を作って、オリジナル保健日誌を手作りしてください。最近は、市販の保健管理ソフトの中に保健日誌のフォームが作成されていることが多いようですね。
(2)記入のポイント
 @健康診断等について 開始時間と終了時間。進行上の問題等。引継ぎノートと重複する内容ですから、特に管理職に知っておいて欲しい事柄に絞って記録していました。 A職員朝礼で伝えたこと
 「風邪が流行してきたので、うがい・手洗いの指導をお願いした」「手虫が大量発生しているので学級指導を頼んだ」等々。「この日に、この指導をするように伝えた」という内容がわかるように記録していました。養護教諭として発言した記録を残すことで、自分自身を守ることになるかも(?)と思いながら書き残していたように思います。 B来室記録・欠席記録から気になること どこのクラスの来室が急増しているとか、気になる来室状況について。また、風邪欠席の多いクラス等について。データを元に自分が感じたことを簡単に記録していました。
 C来室された保護者の記録 保護者名と来室目的・時間について、簡単に記録を残していました。
 保健日誌は学校長との交換日記?というと気持ち悪いかな。でも、直接言いにくいことが日誌には書けるものです。簡潔に書いて、学校長の机上に置くようにしましょう。どこの学級の来室が急に増えた!繰り返し来る児童は誰?気になる訴えは何?等々。保健室だけが知っている情報が留まることがないように。学校長には、もれることがないように伝えておきましょう。
3.個別指導の記録 継続的に関わっている児童生徒の記録は別のノートに個人の記録として残しましょう。あくまでも、保健日誌は公簿ですからね。
4.自分の実践記録を残そう
健康教育の実践を残してください。身体計測前の短時間の指導をする前には必ず略案を書くはずです。それを一冊のノートに書き残していきましょう。残す内容は次の通り。(1)実施月日・対象 (2)ねらい・指導略案、参考資料・引用 (3)板書計画(板書をデジカメで撮る) (4)教師・児童の反応 (5)自分が気づいたこと
書き残していく内に、あなたの実践記録集が自然と出来上がっていきますよ。15年以上も前、こんなノートをたくさん書き残していたことを懐かしく思い出します。

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