複数配置だからこそできること

1 本校の様子
 ・児童数303人
 ・人権教育に力を入れており、「一人一人の子どもを大切にする」ということを教職員が共通理解し、日々子どもたちに関わっています。
 ・本校は昭和36年頃から複数配置。

2 仕事の分担(明らかに分担しているもの)
 ・事務:医療援助他(熊井)・健康センター(久保)
 ・記録:健康診断表(熊井)・健康の記録(久保)
 ・ほけんだより:児童保護者向け(熊井)・教職員向け(久保)
・掲示板:熊井
 ・児童委員会活動:健康委員会(熊井)・メディア委員会(久保)
 ・グループ指導計画立案:GO歯磨き指導(熊井)肥満児指導(久保)
 ・コンピュータ:欠席来室管理(熊井)・身体計測・肥満・歯科検診他(久保)
 
3 複数配置だからできること
  どうしてもしなければならない事務的な仕事を二人で分担することによって、身体的にも精神的にも余裕が生まれます。その結果、できるようになったことを紹介します。
 @気になる児童との対応
  児童と相性の合う方が主に対応することにしています。もう一人が、児童への働きかけや児童の変容を客観的に見ているので、一人で悩むことはありません。不必要な抱え込みや落胆をすることも避けられます。何よりも、児童に対する理解の幅が広がります。 いつも余裕を持って、児童と向き合えるように思います。
 A来室時の対応(救急処置)
  一人一人丁寧に対応することができ、処置判断が複数の目で行えるのが強みです。また、保健室が留守にならないので、必要に応じて学級担任まで児童を送り届けるように心がけています。そういうことの積み重ねが、他の教職員との信頼関係を築き、児童一人一人の情報を収集することにもつながると思います。
 B保健指導
  指導時は指導に集中することができます。途中で、救急処置に手を煩わされることはありません。しかし、最も大きな長所は、指導前の教材研究と指導後のミニ研究会を持てることです。1人では成果が上がりにくいですが、2人だと多くを学ぶことができます。身体計測前指導・歯に関する授業・歯磨きグループ指導・肥満児指導等、多くの指導場面がありますが、事後研を必ず持ち、次回の指導に生かせるように心がけています。
(余談になりますが、拙著「からだの学習ミニ保健指導シリーズ」が3冊出版されました。複数配置でなかったら、1冊にもならなかったと思います。)
 Cコンピュータの活用
  保健指導と同じように、互いに学び合って、日々実技研修をしています。学級保健簿 ・保健日誌他、本校に合った様式に全て作りかえました。現在、コンピュータがなくては仕事にならない状態ですが、もっと有効な活用方法はないかと常に考えています。健診結果や年度末の学校保健のまとめ等では、多角的な視点から分析できるようになりました。
 D研修会の参加
  なかなか2人一緒に参加できませんが、積極的に参加するようにしています。場合によっては、参加した者がテープに録音し、後でそれを聴いて研修することもあります。一緒に参加した時には、自校に生かせることがないかという視点で話し合っていることが多いです。校内研修会・研究授業でも、その後に感じたことを出し合うことで、より深い理解をすることができるようになりました。

4 おわりに・・・複数配置がうまくいくために
  学級担任が学年会を持って、取組の方向性を確認し合っているように、養護教諭にも 打ち合わせの時間確保が必要だと思います。「どのような子どもの姿をめざして保健室経営をしていくのか」時間をかけて話し合っておきたいものです。また、児童の様子、研修会で学んだこと、その他、気づいたことを何でも言い合える人間関係を築きたいものです。
  一人の力には限りがあります。しかし、2人になれば、互いの個性や知恵からたくさ んのことを学ぶことができます。謙虚に学び合うことによって、視野が広がっていくのが何よりの収穫です。  
  「こなすべき仕事が多いから複数配置にすれば、楽になるだろう」という養護教諭の側の都合ではなく、「一人一人の子どもを伸ばすために、保健室でどのような取組ができるだろうか」という子どもの側にたった複数配置でありたいと思います。(おかげで、児童数が少ない複数配置だというのに、忙しい毎日を楽しんで過ごさせてもらっています。)        
 

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