綺麗な澄んだ声で鞠をつき 歌う最愛なる人。

子供の頃よく遊んでいたのは知っていたのだが、

そんな行動は元服してからは全く見られなかったのに

ここ最近、屯所の庭でよく鞠つきをしているのだ。







     勿忘草色の鞠







外観からはその鞠つきする姿はとても微笑ましいもので女子と間違えられる程であろう。

だがその微笑ましい姿に裏腹に、何かを溜め込んでいるようにも見える表情だ。

土方には総司がただ黙って鞠をつく彼の姿が哀しんでいるようにも見えた。



「総司」



名前を呼ぶと鞠をつくのをやめ、土方に近づいてきた。



「土方さん、お仕事終わったんですか?」

「あぁ。お前は俺が仕事している間ずっと鞠ついてたのか?」

「・・えぇ」



そして手に持っている鞠を大事そうに土方に手渡した。



「・・これ、買ったのか?」

「いいえ」



土方は手に取った鞠をじーっと見つめる。

そんな真剣に鞠を見つめる土方に総司は首を傾かせ不思議そうに顔を覗き込んだ。



「・・・?」

「昔、俺が持ってた鞠によく似てるんだ」

「え?土方さんが鞠を?」



あまりにもおかしくて噴出すようにクスクスと笑う総司に土方は顔を紅く染めた。



「違う!姉貴のさ//」



照れ隠しのように必死で言葉を発する土方に

総司はからかうのも可哀想だと思い声に出して笑うのをやめた。



「ノブさんの?」



なんで?と聞き返しそうな表情の総司に土方は苦笑して話を進める。



「・・昔、俺よりも少し小さい奴にあげたんだよ」

「えぇ??」



ますますわからないと顔を顰める総司に意地悪そうに土方が答えた。



「俺の初恋の相手さ」

「っ!!!」



土方の発言に一時はむぅっと頬を膨らませていた総司だったが

暫くして何を思ったのかその頃の話を聞かせて欲しいと言ってきた。

でも、顔は怒ったままだ。

嫉妬しているのだろうかと嬉しくもあり、怒る姿も可愛くてますます苛めたくなる。



「怒るなよ」

「怒ってないです!!」



どう見ても怒ってるじゃないか。と話すと顔を見せないように土方の胸へと顔を隠す。

煽るなよ・・と思いつつも、話出すのを待っている総司を縁側に促し腰掛けさせて話を始めた。



それは、今まで誰にも話したことのない俺だけの秘密の話。










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