秋の初め頃であるため、暮六つと言っても真っ暗という程ではなかった。
 それでも、少しずつ明かりが灯され、夕闇が濃くなっている。
 総司は八坂神社の鳥居前で、そっと隠れるようにして彼を待っていた。


(……土方さん)


 本当は帰ってしまいたい気持ちだった。
 あれは彼一流の気まぐれで、今頃、土方はそんな誘いをかけたことなどすっかり忘れ、仕事をしているのではないかと思えて仕方なかったのだ。


 少しずつ闇が濃くなるにつれ、総司は落ち着かなくなった。


 馬鹿正直に待っていて、挙句、土方に忘れられていたら、どうすればいいのか。泣いて詰っても、おそらく、彼は「本気にしたのか」と嘲るだけだろう。
 兄代わりとして可愛がってくれていた頃の彼ならありえなかったが、今の、総司の恋心を弄んでいる冷たい彼ではありえる話だった。


「……帰ろう、かな」
 暮六つの鐘がそろそろ鳴るという頃、総司はとうとう我慢出来なくなった。
 随分と早くから来てしまっていたのだ。そんな自分が莫迦みたいな気がした。
 そっと神社の鳥居の陰から抜け出し、屯所へ戻ろうとする。だが、帰り道である方向を見たとたん、ひゅっと息を呑んでしまった。
 一人の武家姿の男が歩いてくる処だったのだ。こちらを見ると、柔らかな笑みを端正な顔にうかべる。あまつさえ、「総司」と優しい声で呼んでくれた。とたん、呪文でもかけられたように動けなくなってしまう。
 呆然と立ち尽くしていると、土方は傍まで歩みよってきた。それでも、ぼうっと見上げる総司に、訝しげに眉を顰める。
「? 何だ、どうした」
「……」
「俺がおまえより早く来なかったから、怒っているのか」
 首をふると、また、ほっとしたように笑いかけられた。
「よかった。急いで仕事を片付けてきたんだが、待たせて済まなかったな」
 そう言ってから、土方はさっさと歩き出そうとした。それに、総司は呆気にとられ、だが、慌ててついていく。
「どこへ行くんですか」
「俺にまかせろ、というか、おまえは店も何も知らねぇだろう」
「それはそうですけど……」
「美味いもの、食わせてやるから安心しな」
 江戸の頃のような口調で言いながら、土方は歩いてゆく。その横にならんで歩きながら、総司はぎゅっと両手を握りしめた。


 まるで、兄弟のように仲良くしていた頃のようだった。
 それとも、あんな事は思い違いで、ただ、土方は一緒に食事をとるために誘ったのだろうか。
 なら、一人でどきどきしたり、切なくなったりしていた自分は何なのか。
 たまらなく惨めな気持ちになってしまった。


 沈んだ様子の総司に気づいたのだろう。
 土方が不意に足をとめると、その腕を掴んだ。そのまま強引に路地裏へ引っ張り込まれてしまう。
「え? 土方さん、何……」
 訊ねる暇もなかった。
 突然、抱きしめられたかと思うと、激しく唇を重ねられたのだ。
「!」
 抗おうとした手は彼の大きな手の中に握りこまれた。
 腰を抱かれて身体を密着され、激しく甘い口づけをあたえられる。何度も角度をかえて唇を重ねられ、舌を舐められた。
 貪りつくすような濃厚な口づけに、総司は頭の中がぼうっと霞むのを感じた。身体中が痺れて、どうにかなってしまいそうだ。
「……っ」
 唇を離されたとたん、その場に座り込んでしまいそうになった。だが、すぐに土方の腕が腰を抱いてささえてくれる。
 男の広い胸もとに凭れかかり、総司は吐息をもらした。その髪や首筋に口づけを落としながら、土方が囁いた。
「俺は……おまえ相手になると、本当に不器用になっちまう」
「え……?」
「おまえの緊張を解いてやろうと思って、食事だなんだと言ったのに、そんな淋しそうな顔をさせちまうとはな」
「……土方…さん」
「安心しろ、いきなりおまえを食っちまったりしねぇよ。けど」
 濡れたような黒い瞳が、総司をまっすぐ見つめた。
「俺は今夜、おまえを抱くつもりだからな、覚悟しておけよ」
「……っ」
「今更、いやとは言わさねぇぞ。優しくすればいいと、言ったはずだ」
「い、言いましたけど……でも……」
 羞恥がこみあげた。


 この人に抱かれるのだ。
 今、こうして話してくれている彼に、今夜、自分は抱かれる。


 それを思っただけで、身体中が熱くなった。頬が火照ってしまい、どうすればいいかわからなくなる。
「……総司」
 恥ずかしそうに男の胸もとへ顔をうずめた総司に、土方は安堵したように吐息をついた。
 そっと、腕の中の宝物を抱きしめる。


 ……正直な話、ここまで来て逃げられたらどうしようと思っていたのだ。
 緊張を解くためなどとは偽りで、本心は、一刻も早く食事を口実にして総司を料亭に連れ込んでしまいたかった。決して逃したくなかったのだ。
 本当はわかっていた。
 八坂神社に着いた時、総司は逃げようとしていたのだ。彼を見たとたん、怯えたように目を見開いたのが証だった。
 だが、それに土方は気づかぬふりをした。知っていることがわかれば、たちまち、この可愛らしい小鳥は逃げ出してしまうと思ったからだ。
 総司が何故、自分に身をまかせようとしているのかはわからない。
 口づけにも震えてしまう初な総司が、男に身体を開く意味なんかを本当に知っているのか。
 だが、知っていても知らなくても、どうでもよかった。総司の言葉につけこむようにして、その体を奪ってしまうつもりでいるのだ。
 心が手に入らなくてもいい、それでも、体だけでも繋がってしまいたかった。


(狡い男だな……俺は)


 総司を抱きしめながら、気づかれぬように、ひっそりと嗤う。
 腕の中で小さく身じろいだのに気づき、見下ろした。とたん、潤んだ瞳で見上げられ、どきりと心の臓が跳ね上がる。
 なめらかな頬が上気し、濡れた唇が艶かしかった。今すぐ、ここで抱いてしまいたくなる。だが、それはいくらなんでも無茶苦茶だ。
「……」
 もう一度きつく抱きしめて己を落ち着けてから、腕の力をゆるめた。それでも、逃がさないように手を掴んで、路地裏から歩み出る。


 無言で歩いていく土方を、総司はおずおずと見上げた。
 男の端正な顔は無表情で、少し怖くなる。だが、総司の手を掴んだ手は優しかった。決して強く引いたりしないし、力が強すぎることもない。ただ、柔らかく指を絡めてくれている。
 やがて、料亭にたどり着くと、土方は慣れた様子で中へ入っていった。慌てて追うと、あらかじめおさえられていたらしい部屋に案内される。奥まったそこは離れのようで、そんな所に来たこともない総司は身を固くした。
 土方は部屋に入ると、さっさと総司を座布団の上に坐らせ、料理を運ぶように仲居に命じた。あらかた料理が運ばれるのを見てとり、土方は後は自分達でやるから下がるように言いつけた。
 それに、総司は思わず言った。
「随分と……慣れているんですね」
「まぁな」
 土方はかるく肩をすくめた。
「京に来てから慣れちまったよ。江戸にいた頃はこんな処に出入りするなんて、思った事もなかったが」
「出入り出来るようになって、楽しかった?」
「いや」
 苦笑した。
「初めは面白いと思ったが、すぐに飽きちまった。けど、逢引には適した場所だろう? 京にはこういう料亭が結構多くある」
「土方さんも、ここを逢引で使っている?」
「俺に、逢引したいと思うような女がいると思うのか」
「……そう、ですよね」
 思わず声が沈んだ。
 君菊は彼の休息所に囲われているのだ。今更、他の女と逢引を楽しむ必要などなかった。
 だが、総司が誤解したことにすぐさま気づいたのだろう。土方は舌打ちすると、手をのばした。総司の手を掴んで握りしめる。
 はっとして顔をあげた総司を、まっすぐ見つめた。
「俺はここを使ったのも初めてだし、こんな場所まで用意して逢いたいと思う女なんざいるものか」
「……」
「この俺がここまで手間をかけて、口説いているんだぜ? 信じられねぇ話だろ」
「口説いているって……誰を?」
「は?」
 呆れ返ったように、土方は聞き返した。
「おまえ、それ、本気で言っているのかよ」
「え……あ、はい、そうですけど」
「信じられねぇ」
 そう呟いてから、土方は諦めたようにため息をついた。不思議そうに見つめると、「いいから、食事を始めろ」と顎をしゃくられた。
 釈然としない気持ちのまま、箸をとる。
 美味いものを食わせてやると言った土方の言葉どおり、とても美味しい料理だった。総司好みのさっぱりとした味わいのものばかりで、綺麗に盛りつけられている。
 総司は病のため、いつもあまり食が進まなかったが、それでも今日は幾らか多めに食べることが出来た。もっとも、土方から見れば少なかったらしく、眉を顰められた。
「おまえ、本当にものを食わねぇな。口にあわなかったのか」
「いえ、とても美味しかったです」
 慌てて首をふった。皿や器などを下げさせてから、土方は総司に杯をさし出してきた。
「飲むか?」
「お酒ですか。いえ、私は……」
「少しは飲んでおいた方がいい」
「え」
「これから俺にされる事を考えたら、素面じゃいられねぇだろう」
「……っ」
 どうして、こういう事をさらりと言ってくるのか。
 総司は頬を赤くしつつ、「頂きますと」と杯を受け取った。少しだけ口に含むと、とても甘い。酒特有のつんとした辛さがなくて驚いた。
 土方が微かに笑った。
「これなら、おまえも飲みやすいだろう? すげぇ甘口の酒だからな」
「でも、土方さんは」
「確かに俺には甘すぎるが、まぁ、たまにはいいさ。それに、後でもっと甘いものを喰らうからな」
「?」
 不思議そうに小首をかしげる総司に苦笑しつつ、土方は酒の杯を傾けた。やはり、総司は弱いらしく、一杯飲んだだけで頬を上気させている。瞳もとろりと潤んでいることを確かめ、土方は立ち上がった。
 歩みよると、坐り込んだまま見上げる総司に身をかがめる。その膝裏と腰に腕をいれ、軽々と抱き上げた。とたん、総司が声をあげる。
「土方さん!」
「静かにしろよ」
 土方はその唇に軽い口づけをあたえてから、悪戯っぽく笑った。
「今更、驚くような事でもねぇだろう」
「で、でも」
「ほら、暴れるな。おとなしくていろ」
 低い声で命じ、隣室へ入った。そこに敷かれた褥を見たとたん、総司がはっと息を呑む。男の腕の中、細い躰が固くなるのを感じた。
 部屋を横切り、褥の上に総司の躰をそっと横たえた。ふわりと黒髪が広がる。
 不安げな瞳が、男を見上げた……。
 土方は褥の上に跪くと、静かに口づけた。
 啄むように唇を重ねてから、総司の瞳を覗きこむ。もう、不安げな色はそこになかった。
 ただ、彼を求めてくれている色だ。
 それを確かめてから、土方は総司の首筋や耳もとに口づけた。何度も何度も口づけをかわしながら、互いの着物を脱ぎ捨てていく。
 それはまるで、脱皮していくような行為だと思った。着物の中から、白く艶やかな裸身が顕になる。白い鳥か、蝶か。
 初めて見る躰ではなかった。江戸にいた頃、井戸端で稽古の後、何度か見たことがあった。だが、こんなにも細く華奢だったのかと、思わず眉を寄せる。
 抱きしめてみると、やはり、小柄な躰だった。そして、細い。とけそうなほど華奢だった。
「……土方、さん?」
 不思議そうに、総司が彼を呼んだ。それに我に返り、土方は再び躰を重ねた。
 少しずつ少しずつ、その躰を柔らかくしていく。やはり、思ったとおり、総司は男との契りなどまったく知らなかった。その証に、土方が総司の足を開かせて蕾をほぐし始めると、怯えたように目を見開いた。
「な…に……っ?」
「しっかりと解しておかねぇと、おまえが辛くなる」
「え、どういう意味……」
 訳がわからず、総司は上へずりあがろうとした。それを引き戻し、土方は濡れた指を蕾に押しあてた。ゆっくりと突き入れる。それに、総司がひゅっと息を呑んだ。
 見下ろすと、信じられないという顔で、総司が彼を見上げていた。視線があったとたん、かぁっと顔が真っ赤になる。
「やっ……」
「少しだけ堪えてくれ」
「だ、だって……どうして? 何で……?」
「総司、おまえ」
 思わずため息をついた。
「本当に何も知らねぇんだな」
「知らないって……」
「男との交わりだよ。おまえは今から、ここで俺と繋がるんだ」
「えっ……」
 総司の目が見開かれた。不安げに瞳を揺らし、ふっくらした桜色の唇を震わせる。
 その愛らしくも痛々しい様子に、土方は、自分がまるで少女の初花を散らそうとしている悪い男である気がした。罪悪感と、奇妙な嗜虐心が彼の情欲を高ぶらせる。
 土方は片肘を総司の頭のすぐ傍についた。顔を近づけ、そっと優しく唇を重ねてやる。柔らかく唇を舐めたり、吸ったりしてから、囁きかけた。
「大丈夫だ……全部、俺がいいようにしてやる」
「土方…さん……」
「おまえは俺の言うとおりにしていればいいんだ。何も心配するな」
「はい……」
 こくりと素直に頷いた総司に微笑みかけ、愛撫を再開した。蕾をくすぐり、指を入れて沈めていく。
 かなりきつかったが、ゆっくりと根気強く指を動かしていくうちに、少しずつほぐれてきた。何よりも、総司が感じる箇所を見つけ、そこを徹底的に揉み込んでやった事が大きかった。
「ふ…ぁ、ぁッ…あ……っ」
 総司は与えられる快感に戸惑い、首をふった。男の指が蕾の奥で動くたび、腰を跳ねあげたくなる痺れがわきおこった。気づかぬうちに総司のものも勃ちあがり、ぽたぽたと蜜をこぼしている。
 それに、土方がくすっと笑いざま、大きな手のひらで握りしめた。上下に軽くしごかれたとたん、呆気無く達してしまう。
「あぁ…っ」
 一気に与えられた快感に、目を見開いた。
 何もかもが初めてだった。誰かの手でいかされることは、なんて気持ちがいいのか。しかも、それを行っているのは、あの大好きな彼なのだ。
 総司は頬を上気させ、土方を見上げた。当然ながら、土方は息ひとつ乱していない。黒い瞳は熱っぽく潤んでいたが、総司がそれに気づくことはなかった。
 小さな声で問いかける。
「初めて……なのに、いいの……?」
「?」
 土方が訝しげに眉を顰めた。
「何が」
「私、全部初めてだから……土方さん、呆れちゃう……?」
 何を可愛いことを言っているのかと思った。
 さんざん遊んでいる男だからこそ、初な反応をする総司が可愛く思えるのだ。いや、何がどうなっていても、総司は可愛いくて艶かしいのだが。
 土方は微笑み、そのなめらかな頬に口づけた。
「……おまえが全部初めてでなかったら、相手の男を殺してやるよ」
 褥で囁かれたとは思えない物騒な睦言に、総司は目を見開いた。だが、すぐに言葉の裏の意味がわかったらしく、頬を赤らめる。
 二人は何度も口づけあいながら、互いのぬくもりを感じあった。頃よしと見て、土方は総司の両膝を抱え上げた。
 怖がらせると躰が強張って、より苦痛を感じてしまう。それがわかっていたからこそ、土方は濡れそぼった蕾に己の猛りをあてがい、一気に貫いた。
「ッ! ひぃー…ッ」
 掠れた悲鳴をあげ、総司が仰け反った。反射的に上へ逃れようとする。
 だが、土方はより深く両膝を抱え込むことで、その躰を己の下へ引き戻した。体重をかけるようにして、上からぐっぐっと猛りを突き入れる。そのたびに、総司が泣き叫んだ。
「ひっ…ぃ、たぁいッ…ゃぁ、あッ」
「息をつめるな、総司」
「い、やっだぁッ…壊れ、ちゃう…ッぁあッ」
 嫌がり泣きじゃくる総司の躰を二つ折りにし、蕾の最奥まで猛りを埋め込んだ。総司が「ひぃッ」と鋭い悲鳴をあげ、躰を震わせる。
 土方は、はぁっと熱い吐息をもらした。
 総司の中は信じられないぐらい心地よかった。熱くて狭くて、痛いぐらいきつさだ。だが、奥は柔らかく彼のものを締め付け、愛撫してくれる。
 思わず目を細めた。
「すげぇ……気持ちいい」
「ッ…ぅ、ぃや…ぁ、許して……」
 涙をぽろぽろ零す総司を見ていると、本当に、初花を散らされたばかりの美しい少女のようだ。そのいたいたしい様がより男を刺激する。
 だが、一方で、痛みに泣きじゃくる総司が可哀想だった。その痛みを与えているのが己自身なのだと自覚したとたん、相反する気持ちにたまらなくなる。
 土方は息を吐きながら、その細い躰を抱きしめた。とたん、角度がついたらしく、総司が悲鳴をあげる。小さな手が男の胸を押し返そうとするのがいたいけで、土方は優しくその手を己の肩にまわさせた。
「総司……俺にしがみついていろ」
「……土方…さん……っ」
「咬みついても引っ掻いても構わねぇから……すぐに良くしてやる」
 男の言葉に、総司の目が見開かれた。
「お、お願……動かないで……ひッぃやああッ」
 哀願に構わず、土方はゆっくりと動き始めた。総司のものを手のひらで包みこみ、愛撫しながら揺さぶっていく。
 それに総司は苦痛にきつく目を閉じ、男の肩にしがみついた。爪が食い込んだが、土方は僅かに眉を顰めただけだった。
 己の痛みよりも、総司の苦痛を少しでも和らげたかった。感じやすい箇所を緩やかに捏ねまわし、総司のものを優しく愛撫した。その甲斐があったのか、少しずつ頬に赤みがもどってくる。
「んっ…ぁ、ぁあ……ぁッ」
 声にも甘さが混じり始めたことを確かめ、土方は身を起こした。総司の背中に腕をまわして半ば抱きあげるようにして、腰を打ちつけ始める。
 先ほどよりも深く突き入れられる角度に、総司が悲鳴をあげたが、その声はすぐさま快感にとろけた。
「ぁ…ぁあっ、ぁ、ぁあ…ん…ッ」
「総司……いいか? 気持ちいいか」
「や、ぁ…こ、怖い…っ、こんな…ぁああッ」
 初めて与えられる快感に、総司は怯えつつも感じているようだった。自分の躰が快感に暴走していく様が怖いのだろう。
 それに土方は満足気に喉を鳴らし、笑った。
 初で小柄な体に男を受け入れさせる事が出来るのか案じていたが、この体はとても感じやすく快楽に弱い。仕込んでいけば、すぐさま男を喜ばせる術も覚えるだろう。


(むろん、俺相手にしか許さねぇけどな)


 狂おしい程の独占欲を覚えながら、総司の躰を褥に押し倒した。両膝を掴んで押し広げると、激しく腰を打ちつけ始める。
 蕾の奥に男の太い楔を何度も打ち込まれ、総司が泣き叫んだ。
「ぁあーッぁ、ぁああっやぁ……ッ」
「……すげぇ……熱…っ」
「ん、んッぁあっ、ぁああっぁ、ぁあッ」
 何度も何度も蕾に奥を穿たれ、腰が痺れたように熱くなる。とうの昔に総司のものは達してしまい、蜜をとろとろと零し続けていた。
 土方はその細い躰を抱きすくめ、激しい抽挿をくり返した。蕾の奥は蕩けるように熱く、男の猛りを甘く愛撫する。
 頂きが近くなり、土方は手加減することが出来なくなっていた。あまりにも総司の躰が良すぎたし、ずっと愛してきた恋人を抱くという行為は男の熱をより煽ったのだ。
 無我夢中で腰を打ちつけ、蕾の奥を男の楔で穿つ。総司はもう泣きじゃくりながら男の背にしがみつき、甘い声をあげつづけていた。
「ぁッ、ァアッぁ、ぁあっ…土方…さ……っ」
「……総司……っ」
「も、だめ…だめぇっ、ぁあっぁああーッ」
 総司が甲高い声で泣き叫び、激しく仰け反った。強烈な快感美が躰を貫き、蜜を吐き出させたのだ。その瞬間、男の熱が蕾の奥に叩きつけられる。
「ひいっ」
 それにさえ感じて、総司は泣きじゃくった。震えながら男の体にしがみついている。
「ぁ、ぁあ……ぁつい…あついの、感じる……っ」
「……っ」
 土方は己を受けいれてくれた小柄な体を抱きすくめ、はぁっと熱い吐息をもらした。
 心地よさはまるで極楽のようだ。
 こんなにも強烈な快感を覚えたことは初めてだった。
 本当なら、もう一度愛したいが、初で華奢な総司には刺激が強すぎるし、下手すれば壊してしまうだろう。
「……総司……」
 ゆっくりと体を離し、だが、すぐに腕の中に優しく抱きすくめてやった。まだ火照った躰を寄せ合い、抱きしめあう。
 幸せな恋人たちを、秋の夜が静かに包みこんでいった……。