雨が降っていた。
 それを窓から眺め、土方はため息をついた。
 朝から総司は大学へ出かけている。土方はいつもどおり自分の蔵書をあさり、目を通していた。が、それにも少し疲れたようだ。
 パタンと本を閉じ、立ち上がった。
 書斎を出て、珈琲でも入れようとキッチンへ向かった。湯をわかし、珈琲粉を入れたフィルターに注いだ瞬間、香ばしい匂いが部屋に広がった。が、土方はそれに僅かに眉を顰めた。
 また、あの時のバニラティーを思い出したのだ。
 あの時、感じたもどかしさも。
 あと少しで掴めそうなのに、そのくせ、どうしても掴めない記憶の断片。
 本当に、いったい何故なのだろう──?
 土方はラグマットの上に坐り、珈琲を飲みながら考え込んだ。
 時々、こんなふうに、もどかしくてたまらない気持ちになる。
 叫び出したい程の焦燥感が、この胸を激しく灼くのだ。
 確かに、仕事のことも聞いた。友人関係も、家族も。ある程度の過去も。
 なのに──いったい何故なのか。一番大切なことを、聞いてない気がしたのだ。
 皆が、俺に何かを隠している。
 一番大切なものを……。
 ──あなたが一番大切にしていたものが壊れてゆく事に気づいてないんですか。
 ふと、あの男の言葉が耳奥に蘇った。
 斉藤という男が口にした言葉だった。
 あれは、いったいどういう意味なのか。
 俺の一番大切なもの?  壊れてゆくとは、いったい何が……。
 手がとどきそうで、とどかなかった。どうしても掴めなかった。
「……くそっ」
 土方は拳を床に叩きつけ、きつく唇を噛みしめた。
 自分ではどうする事もできない、この記憶が腹ただしい。
 いったい、何を忘れているのか。
 何を記憶から失っているのか。
 だが、確かなことが一つだけあった。
 一番大切なもの。
 そう、自分には一番大切に想う誰かがいたのだ。
 遠い記憶のむこうで、誰かが微笑っていた。
 幸せそうに。
 自分はその誰かを確かに愛していた。
 そして、その人も自分を愛してくれていたのだ。
「……」
 そう思った瞬間、病室でのことを思い出した。
 おぼろげな意識の中、それでも覚えていた。
 自分の頬にふれた細い指。
 そっと、重ねられた柔らかな唇。
 あれは──確かに総司だった。
 初め、まったく理解できず呆然としていたが、それでも総司だと確信した瞬間、あることに気づいたのだ。
(……俺はいやじゃなかった)
 土方は片手で口をおさえ、目を伏せた。
 ふつうなら男相手にと嫌がるはずなのに、何故か、すんなり受け入れていたのだ。もちろん、他の男を相手にするなど、ぞっとする。だが、総司は特別だった。総司にだけはそういった嫌悪感が全くなかったのだ。
 甘いキスだった。
 細く優しい指だった。
 いつまでもふれていて欲しいと、願ってしまった程の……。
「……」
 それでも、自分が愛した誰かが、その総司だとは思わなかった。
 記憶の中、その人はいつも優しくあたたかだった。自分のすべてを癒してくれる存在だった。
 そのくせ、青く燃える焔のような激しさをもっていた。
 怯むことなく、まっすぐ自分を見つめていた綺麗な瞳……。
 ──だが、総司はまったく違ったのだ。
 いつも冷ややかで隙がなく、穏やかにさり気なく自分を拒絶した。まるで、見えないバリヤが張り巡らされているようだった。
 感情がないのかと思うほど静かな声。怜悧な表情。
 血の通わぬ綺麗な人形がそこにいるようだった。そんな人形を自分が愛するはずがなかった。愛されるはずもなかった。
 しかし、それなら、あのキスは何なのか。
 いったい、何を意味しているのか?
 ただの同居人、ハウスキーパーではなかったのか。
(……何もわからねぇ。まるで迷路の中にでもいるようだ……)
 土方はため息をつくと、ゆるく首をふった。
 必死に探し、もがき、どんなに渇望しても。
 出口がまったく見えぬ闇の迷路だった───
 

 

 

 官舎へ入ろうとした処で、総司は後ろから声をかけられた。
 ふり返ると、信子が停めた車から降りるところだった。
「信子さん、土方さんのところへ?」
「そう。時々は様子を見に行かなきゃって思って」
 ドアを閉めながら、信子は小さく笑った。
「この間はごめんなさいね」
「え?」
「病院で、みっともないとこ見せちゃったわ」
「いえ、そんな……」
 ゆるく首をふった総司に、信子は視線をやった。
「私、総ちゃんのこと好きよ」
「えっ……」
「すごく可愛いと思うし、感謝もしてる。だって、歳はあなたと逢ってから本当に変わったわ。近藤さんに救われて荒れないようになっても、それでも、やっぱり何処か投げやりだった。自分のテリトリーに絶対入らせないところがあったもの」
「……」
「でも、あなたに逢ってから、すごく幸せそうになった。同僚の人とも心おきなく話せるようになったみたいだし、それに、何よりも、あなたを見る歳の瞳。あんな優しい瞳をしたあの子、私、見たことなかったわ。歳は本当に、心からあなたを愛しているのよ」
「……でも、今は……」
「そうね」
 信子は長い艶ややかな黒髪を無造作にかき上げ、目を細めた。そんな仕草が、ひどく彼と似ていて、どきりとする。
「今は全部、忘れてる。でもね、消えた訳じゃないのよ。あの歳の中に、あなたが愛してくれた、あなたを愛していた歳が、今もちゃんといる。ほんの少し眠っているだけなの」
「眠っているだけ……」
「そう」
 信子は小さく吐息をついた。
「私……あなたと歳の出会いも皆、聞いたの」
「え」
「歳は全部、私に話してくれたわ。自分が犯した罪も、そのせいでどれだけあなたを傷つけたかも全部」
「……」
「歳は随分とあなたに酷い事をしたのね。あなたにいつ訴えられても仕方ない犯罪だと、あの子も云っていた」
「そんな! そんなこと……ぼく、思ってません」
 総司は思わず叫んだ。
「あの時、傷ついたのはぼくだけじゃない。土方さんだって、たくさん傷ついていた。二人ともどうしようもなくて、だから……ぼくは……」
「そうね。それでも、あなたは歳を愛してくれた……でもね」
 静かな声で信子はつづけた。
「これ以上、あなたを縛ることは出来ないの。記憶のない歳に、あなたを傷つけさせる訳にはいかないわ」
 彼女の言葉に、総司は頬を強張らせた。
「別れろってことですか?」
「違うわ。ただ、距離をしばらくの間おいた方がいいと思うのよ。何なら、うちへ来てくれてもいい。近藤さんも自分の家へと云ってくれてたわ。ただ……どちらにしろ、今の歳からは離れた方がいいと思うのよ」
「……信子さん」
 総司は俯き、きゅっと唇を噛みしめた。きつく握りしめた手の指が白くなる。
「今すぐは……返事できません」
「そうね……」
「少しだけ時間をくれませんか。お願いします」
 微かに震える声で答えた総司を、信子は辛そうに見つめた。
 が、これは彦五郎と、それから近藤も入れてかなり話しあった結論だったのだ。一時でも、二人を引き離した方がいいと。もちろん、それが正しいかどうか、誰にもわからない。最悪の結末への選択かもしれない。だが、現時点ではこれが最良なのだと信じる他なかった。
 二人はエレベーターに乗り込むと、8階へ上がった。重い沈黙の中、総司は壁にもたれ、唇を噛んだ。
 わかってる。
 信子の言葉が正しい、そうした方がよいのだと。
 だが、それを本当にできるかどうかは、また別の話だった。
(……あの人と離れる。距離をおく……でも、それはいつまで? 半年? 一年? それとも、もうずっと……?)
 不安で不安でたまらないのに。
 一緒に彼のそばにいて、それでもこんなに淋しいのに。
 離れてしまったら、もっともっと辛くなる。悲しくなる。寂しくなる。
 あの人を思って眠れずに、幾晩も過ごすことになる。
 そんな自分を、あの人のそばでしか生きていけない弱い自分を、よくわかっているのに、どうして今、離れたりなんてできるだろう──?
「……」
 エレベーターが8階につき、扉が開いた。
 信子と総司は廊下を歩き、彼の部屋の前にたどり着いた。総司が鍵でドアを開け、信子を先に部屋へ入れた。続いて入ろうとして、信子が玄関口で立ち止まっていることに気がついた。
「信子さん?」
 そう呼び掛けながら、廊下の奥へ視線をやった。
 初め、意味がよくわからなかった。ぼんやりとそれを眺めた。
(……な…に……?)
 そこには一組の男女がいた。壁にもたれて立つ男の躯に女が白い腕をからめ、激しく唇を重ねている。躯を擦り寄せるようにして求める琴美を、土方は全く拒んでいなかった。ただし、求めてもいなかった。
 冷めた表情でキスをしながら、琴美の細い腰を緩く抱いている。二人が入ってきたことに気がつくと、ちらりと視線を上げ、薄く笑った。
「!」
 思わず息を呑んだ。激しく顔をそむけてしまった。
(土方さん……!)
 ショックでめまいさえした。 
 立ちつくす総司の前で、信子が叫んだ。
「いったい何をやっているの!?」
 琴美がキスをやめ、嘲笑に満ちた目で信子をふり返った。
「……見て分からないの?」
 それに、信子は両手を握りしめた。
「あなたたち、自分のしてることが分かってるの?」
「わかってるわよ。いったい何が悪いっていうの?」
「何がって……全部じゃない!」
「どこが? あたしたち、恋人同士なのよ。こんなキスはもちろん、躯だって兄さんにあげるつもりよ。あたしたち、いずれは結婚するつもりなんだから」
「何てこと……!」
 信子は悲鳴のような声をあげた。
 しばらく呆然としていたが、不意に靴を脱いで上がると足早に歩み寄り、琴美の腕を掴んだ。荒々しく土方から引き離した。
「不道徳だと思わないの? あんたたちには倫理観ってものがないの!?」
「何が不道徳よ。ごく当たり前のことじゃない」
「冗談じゃないわ、あなたたち兄妹なのよ! それを忘れたわけ?」
「ばかばかしい」
 琴美は白い喉をのけぞらせ、嘲り笑った。
 ようやく部屋へ上がった総司に冷ややかな瞳をむけたが、すぐに視線を信子へ戻した。
「この人があたしたちと何の血の繋がりもないって、よくわかってるくせに。兄さんは父さまの子じゃないわ。あたしとは兄妹でも何でもない、そんなの誰だって知ってることじゃない」
「……あなたは何も知らないのね」
 信子は目を細めた。
 しばらく黙っていたが、やがて、静かな声で云った。
「歳は父さんと黛さんの間に生まれた子なのよ」
「そんな、嘘ばっかり」
 平然と否定し、琴美は笑った。が、その前で信子は首をふった。
「あなたとも腹違いだけど、ちゃんと血の繋がりもあるわ」
「だって、母さまもそう云って……!」
「黛さん自身わからなかったのよ。でも、父さんは土方家の全財産の相続人を、歳ただ一人にしたわ。それは、歳が、正妻である黛さんとの間に生まれた、正当な跡継ぎだったからなのよ。確かに生前、歳の出生を疑ってたらしいわ。でも、あのパーティの一ヶ月前、父さんはDNA鑑定を行ったのよ。それで……歳が自分の子だと立証された。ちゃんと証明書もあるわ」
 信子は落ち着いた口調でつづけた。
「黛さんがあの夜、亡くなられたのは、歳が父さんの子だったこともショックだったからよ。だって、それじゃ、あれだけ罪悪感に苦しんで、父さんと争い傷つけあってきた長い年月は何の意味もなさなくなってしまうわ。だから、黛さんは……」
「う…そ……っ」
 琴美の目が大きく見開かれた。
 それを、信子は憐憫さえ含んだまなざしで見つめた。
「わかった? あなたと歳は実の兄妹なの。近親相姦になるのよ」
「……」
「まだ躯の関係はもってないわね? もし関係をもっていたら大変なことになるわ。早く病院に行って、妊娠してないか確かめないと……」
 そう信子が言いかけた時だった。
 琴美の後ろで、くっくっと低い笑い声が響いた。
 土方だった。 
 壁に凭れたまま、彼はさもおかしそうに笑っていた。それは、狂気じみた嘲りにみちた笑いだった。
「つまり、俺は実の妹とやろうとしてた訳だ。なるほどね」
「歳……」
「けどさ」
 土方はかるく肩をすくめた。
「それのどこが悪いんだ?」
 悪びれた様子もなくいい放った土方に、信子も総司も目を見開いた。彼は腕を組み、冷ややかな瞳で彼らを眺めた。
「妹相手だろうが、何でもかまやしねぇよ。子供をつくらなきゃ何の問題もねぇだろうし」
「歳! あなた……っ」
「まぁ、俺もこの女とやりたい訳じゃねぇけどな。煩いから相手してやったが、すげぇガキでさ。てんでその気にならなかったんだ」
「……っ」
 琴美は鋭く息を呑んだ。大きく見開いた目で、土方を呆然と見つめている。信子も唖然としていた。
 そんな中で、唯一動いたのは総司だった。
「……」
 ずっと黙っていた総司は、顔をあげた。
 静かに、だが気迫のこもった動きで信子と琴美を押しのけ、土方の前に歩み寄ると、大きな瞳で彼だけをまっすぐ見据えた。
 次の瞬間、ぱんっという乾いた音が鳴った。
「!」
 皆、目を見開いた。
 総司が思いっきり土方の頬をひっぱたいたのだ。
 そして、叫んだ。
「あの人を貶めないで……!」
「……」
 目を見開いた土方を、総司は燃えるような瞳で見つめた。両手をぎゅっと握りしめた。
「そんな酷い情けない言葉を口にして、あの人を貶めないで! あの人は、真摯な人だった。いつでも自分自身に誠実で誇り高い人だった」
「……」
「なのに、こんな事をするなんて! あんな事を口にするなんて! 許せない! 土方さんを貶める人は、それがたとえあなた自身であっても、絶対に許さないから……っ!」
「……」
 土方は呆然と総司を見下ろした。
 まるで、別人──だった。
 いつも青白かった頬に血をのぼらせ、燃えるような瞳でこちらを見つめてくる。
 固く引き結ばれた唇。
 彼を想う気持ちの激しさ。
 その細い体に、青白い焔を纏ったかのようだった。
 固い殻の中にあった、強さが、激情が、剥き出しになっていた。眩しいほどだった。
(……あぁ、そうか)
 土方は思った。
 これが真実の総司なのだ。
 冷たく綺麗な人形なんかじゃない。
 それどころか、誰よりも激しく熱くて。まるで、燃えあがる青い焔のような。
 真摯で懸命でひたむきで、一途で、強くて。
 だが、優しくて素直で、脆いところや弱さももちあわせた。
 きらきらと美しい光のプリズムのように、様々な輝きで、彼の心を強く惹きつけた少年。
 その──眩しいほどの存在。
(……総司……!)
 その瞬間。
 土方は本当の意味で、総司を初めて見た───

 

 

 
 再び、静かな同居生活が始まった。
 が、それは前とどこかが違っていた。
 土方はもう、記憶を失う前に自分が愛していたのは総司であることを疑わなかった。
 彼の中で、総司とその強い瞳をしていた誰かは重なったのだ。
 むろん、今でも総司を愛してるとは言えない。だが、一方で、躯中の力が抜けるような安堵感があった。何もかもあやふやで捉えどころのなかった世界で、一つでも確かなものを己の感情で実感できたのだ。
 総司を愛することに、躊躇いはなかった。
 むしろ、自ら望んで愛してゆこうと思った。
 闇の迷路で彷徨いもがきつづける土方にとって、総司は不意に与えられた光だった。希望だった。
 だからなのか、彼は、その愛していた、愛されていたという記憶に、無我夢中で縋ってしまったのだ。
 己自身がわからず混乱する彼にとって、総司だけが唯一の拠りどころとなった。
 だが、それは間違いだった。
 土方にとっても、総司にとっても、悲しい結果しか生まなかったのだ……。
 

 

 

「ごちそうさま」 
 そう云ってから、土方は立ち上がった。
 皿とカップを手早くあつめ、キッチンへ運んでゆく。それを総司は慌てて追った。
「ぼくがやります」
「いいんだ。たまには俺が洗うよ」
 土方は微笑い、スポンジに洗剤を落とした。総司はその優しい笑顔にどきっとしたが、すぐ隣に並んだ。
「じゃあ、ぼくが水で流しますね」
「あぁ」
 二人は黙ったまま並び、皿を洗いはじめた。
 まだ言葉数も少なく、ぎこちない関係だったが、それでも二人の間には何かあたたかいものが流れていた。
 それが総司は嬉しかった。
 自分を見る彼の瞳も、もう以前のように冷たくなかった。昔のように愛しさがこもった瞳ではないが、初めて逢った頃のような優しさがあった。
 少しずつ少しずつ、こうして、彼が自分自身を取り戻してゆけたらいい。
 もちろん、彼の恋人だと名乗り出る勇気は今もないが、それで良かった。
 むしろ、永遠に告げる気もなかった。
 あの琴美の事の後、総司は静かに決意していたのだ。
 彼と別れよう──と。
 確かに琴美とは間違った関係だったが、本当は、あぁして男女で睦みあうことが正しいのだ。もともと、土方は女性ばかりを相手にしていた。少年など興味ももったことがなかったのだ。なのに、自分を愛してくれた。本当に心から愛してくれた。
 それが一時のことであっても嬉しかった。すごく感謝もしている。
 だが、だからこそ、別れなければいけなかった。
 ずっと考えていたことだった。
 彼にふさわしくない自分。
 彼に用意されていたはずの、ぴかぴかの綺麗で一点の曇りもない将来。
 土方が記憶を失ってから初めて知ったのだ。彼が懸命に努力し、上への階段を昇ろうとしていたことを。警察は熾烈な階級社会だ。その階段を昇るには実力も努力も必要だった。だが、彼はそれに何ら不足はないのだ。なのに、そんな彼を引きおろしつづけてきたのは、自分だった。
 少年である恋人、しかもあの狼火の首領伊東甲子太郎の弟。いつか必ず、自分が原因で土方はもっと引きずりおろされることになる。そんなこと我慢できなかった。これ以上、彼の足枷になりたくなかった。
 これはいい機会なのだ。
 神様がくれた、別れる機会───
「あのね、土方さん」
 部屋の掃除をしてる時、総司は話しかけた。
 しばらく近藤の家で世話になると云おうと思った。信子の家では彼に近すぎた。そうして、少しずつ距離をおいていくべきだと思った。
 だが、ふり返ったその場所に、土方の姿はなかった。
 そう云えば──と、先ほどの会話を思い出した。
『あ、ここも石鹸きれてるのか。どこに置いてあるんだ?』
『んー、いつもはここに……あれ? 贈答品があったはずなんだけど』
『押入れじゃないのか、探してくるよ』
 そこまで思い出してから、総司はそうだったと頷いた。彼は今、和室の押入れで石鹸を探しているのだ。だが、すぐに足音がして彼が戻ってくる気配がした。
 総司はきゅっきゅっと洗面所の鏡を拭きながら、云った。
「石鹸見つかりました? 自分の家なんだから、そろそろ場所覚えて下さいね。いつまでもぼくが同居してる訳じゃないんだから」
「……」
「来週にでも、ぼく、近藤さんの家に移るつもりなんです。だから、何がどこにあるかちゃんと覚えて貰わないと……」
 そう云いかけ、総司は口を閉ざした。
 何か異様な気配を感じたのだ。
 ふり返ると、そこに土方が立っていた。だが、その表情は先ほどまでと一変していた。
 切れの長い目が怒りにどす黒く燃え、まっすぐ総司を見据えている。まるで射抜くような鋭い視線だった。
「……」
 総司は思わず息を呑み、後ずさった。
 どうして急に彼が怒ったのかわからない。ただのハウスキーパーにすぎない自分が出ていくことが、そんなにも彼の感情にさわったのだろうか。
 土方は無言のまま何かをさし出した。
 視線を落とすと、それはどこかで見覚えのある茶封筒だった。
「……な、に? これ……」
「押入れで見つけた」
「え……」
 おそるおそる受け取り、総司はその封筒を開けて見た。とたん、鋭く息を呑んだ。
「あっ……」
 それは、あの写真だった。
 喧嘩の原因となった、空港で隠し撮りされた斉藤との写真。
「……その男のもとへ行くのか」
 低い声に、総司は驚いて顔をあげた。
 土方は怒りと絶望、苦しみのいりまじった複雑な表情で、総司を見つめていた。
「俺のもとから逃げて、その男……斉藤のもとへ行くと云うのか」
「違いますよ。それに、逃げるって何ですか」
 総司はごまかすように小さく笑ってみせた。
「云ったでしょう? ぼくはただの同居人、ハウスキーパーだって。もともと短期間の同居のつもりだったし……」
「おまえは俺の恋人だろ」
 突然、はっきり言い切られ、総司は目を見開いた。
 それに、土方はたたみこむように言葉を重ねた。
「ずっと……俺は失った記憶の中で、誰かを愛していた自分を知っていた。その誰かも俺を愛してくれていた」
「……」
「それが誰なのか、俺はずっとわからなかった。だが、この間、おまえが俺のことを怒った時にわかったんだ。おまえの瞳を見て確信した。総司……おまえがその誰かだと」
「……そんな…の」
 総司はふるふると首をふった。
 わかってたなんて。
 知ってたなんて。
 そんなこと……そんな……!
「どこに証拠があるんです。だいたい、ぼくは男ですよ! そのぼくがどうして、そんな……っ」
「なら、どうしてキスをした」
「!」
 声も出なかった。
 呆然と見上げる総司を、土方はまっすぐ見据えた。
「病院で、眠っている俺にキスしただろう。それも唇に」
「……」
「これでも、違うって云いはるのか。俺が知りたいのは真実だ、嘘や偽りはもう御免なんだ」
 云いざま、土方は総司の細い手首を掴んだ。無理やり引き寄せ、その瞳を覗きこんだ。
「おまえは俺の恋人なんだろ? だから、傍にいたんじゃないのか」
「……」
「なのに、どうして出ていくなんて云うんだ! 記憶のない俺なんか、もういらないのか」
「そうじゃない。でも、だけど……っ」
 総司は喘いだ。
 そして、叫んだ。
「もう…別れるべきだから! ずっとそうしようと思っていたから……っ」
「!」
 土方の目が見開かれた。
 一瞬、信じられないという表情になったが、すぐ、激しい絶望の色をその黒い瞳にうかべた。食い入るように総司を見つめた。
 そんな彼から視線をそらしながら、総司は必死に言いつのった。
「記憶を失う前から、ぼくはあなたと別れようって思っていた! 別れるべきだった」
「……」
「だから、あなたが記憶を失ったのはいい機会だったんです。あなたも新しい人生を歩めるし、ぼくと別れることもできる。ずっと黙っていようと思っていた。云うつもりなかった。少しずつ距離を置いて、別れるべきだと……」
 土方は押し黙ったまま総司の話を聞いていた。
 が、言葉をとぎらせると、静かに低く笑った。驚いて顔をあげた総司を冷ややかに眺め、片頬を歪めてみせた。
 思わず息を呑んだ。
「……土方…さん?」
 それは、どこかゾッとするような笑みだった。見たこともない程──残酷で冷たい、荒みきった笑いだった。
「……なる程ね」
 どこか感情のない声で呟き、土方は目を細めた。
 黒い瞳が冷ややかに底光りした。
「別れようと思っていた、か。そう思っていたからこそ、何もかも黙っていたのか」
「……」
「愛されていたと思っていたのは、俺の一人よがりだった訳だな。おまえはとうの昔に俺に愛想をつかし、俺を捨てる気でいた。なのに、生憎、俺が記憶喪失になって、その世話をするため引き止められて……」
 総司の手首を掴んだ土方の手に力がこもった。痛みに首をふる総司に構わず、荒々しく胸もとに引き寄せた。
 耳もとに唇を寄せ、囁いた。
「ほんと最悪だったよな。愛情も消えうせた男の世話なんかさせられ、嫌で嫌でたまらなかったんだろ? 一刻も早く逃げ出したくてたまらなかったんだろ?」
「土方さん……痛いっ……」
「何がハウスキーパーだ、同居人だ。笑わせるんじゃねぇよ」
 苦々しい口調で吐き捨てた。
「嘘ばっかりつきやがって。何もわからず苦しんでる俺を眺めるのは、さぞ楽しかっただろうな。おまえに見捨てられ、記憶まで失った惨めな俺を、嘲り笑いながら眺めていたわけだ」
「そんな! 嘲るなんて……っ」
 必死に否定する総司に、土方は唇の端をつりあげた。
 くっくっと喉奥で低く笑い声をたてた。
「なら……同情か、憐憫か」
「……」
「なるほどね。優しいおまえは俺に同情し、いやいやながらも今まで傍にいてくれた。有難い話だよな」
 言い捨て、土方は突き飛ばすように総司を離した。そのまま顔をそむけた。
 きつく唇を噛みしめている。
 その切ない表情に、たまらなくなった。彼の誤解を解きたかった。違うと、今でも愛してると云いたかった。
「土方さん……」
 思わず総司は両手をのばした。彼の気持ちを宥めるためにも、ふれようとする。だが、それは乱暴にふり払われた。
「……同情なんざ、いらねぇ」 
 吐き捨てるような口調で呟き、土方は総司を暗い瞳で見下ろした。
 突然、逆に総司の細い腕を掴んで引き寄せ、そのまま傍らの壁にガンッと押し付けた。怯えたように見上げる総司の後ろ髪を掴み、仰向かせた。
「俺は男だ。同情や憐憫なんざ、望むものか。施しのように与えられる愛情なんか、真っ平だ。最低だ」
「……土方…さん……」
「逆に、俺が全部貪り尽くしてやる」
 そう云いざま、土方は唇を重ねた。噛みつくような乱暴なキスだった。無理やり舌をさしいれ、総司の唇を舌を蹂躙してくる。
「ぅっ…んん! んっ……」
 必死にいやいやと首をふったが、逃れることなど出来なかった。優しさのかけらもないキスをつづけながら、土方は片手を総司のシャツの下に滑りこませた。そのまま一気に左右に押し広げる。音をたててボタンが弾けとんだ。
「土方さん……!」
 驚き怯え、逃げようとした躯が引き戻された。きつく息もとまるほど抱きしめられる。
「……馴れきった躯だろ? どうせ俺に抱かれていたんだろ?」
「いや! いやだ……っ」
「恋人だった……いや、結婚もできねぇアブノーマルな関係だからな。さしずめ、愛人って奴か」
 土方はくっくっと喉を鳴らして笑った。
「女と違って何度やっても孕まねぇものな。愛人にはお誂えむきの躯だ」
「! ひ…どい……っ」
「酷い? ほんとの事だろうが。ちゃんと男を受け入れられるよう、さんざん俺に仕込まれたんだろ?」
「……っ」
 蔑みにみちた声音に、総司は目を見開いた。
 見上げた土方の黒い瞳は冷ややかで、ゾッとするような光をうかべていた。
 薄く笑いながら、土方は再び唇を重ねてきた。ゆっくりとその手が総司の肌をすべってゆく。
(……土方さん……!)
 その冷たく熱い行為を感じながら、総司は固く目を閉じた。

 

 

 
 酷い行為だった。
 完全に総司の意思も感情も無視され、一方的に男の欲望を受け入れさせられたのだ。
 まるで、あの頃のようだった。否、あの頃より酷かった。
 土方は総司をまるで感情のない人形のように扱った。ただ、総司の躯を貪りつくしたのだ。総司自身の欲望を先に達させることもしなかった。
 蕾を馴らして男を受け入れやすくすると、そのまま強引に貫いた。
「ぃ…ぁあああッ!」
 久しぶりの衝撃に、総司は悲鳴をあげた。
 いくら馴らされても、苦痛が走った。しかも、手加減なしの暴行だ。
 土方は苦痛にすすり泣きながら抗う総司を無視し、その両腿を腕に抱え上げた。
 壁に凭れたまま交わっていたので体重がかかり、総司は彼の太い楔をずぶずぶと根元まで咥えこんでしまった。
「ひ…ああ──ッ!?」
 総司は涙でいっぱいの目を見開き、いやいやと首をふった。必死になって彼の腕に縋りついた。
「やっ…いた、いっ…痛いっ……」
「……」
「許し、て…土方…さん…ぁ……」
 不意に後ろ髪を掴まれ、あお向けさせられた。
 涙で霞んだ視界に、土方の端正な顔が映った。冷たい瞳でじっと見つめている。が、総司が小さく「痛い……いやだ」とすすり泣くと、視線をそらした。一瞬だけきつく唇を噛んでから、総司の両膝を抱え込んだ。
 そのまま激しく動き始める。優しさのかけらもない、乱暴な律動だった。
 狭い蕾を男の猛りが激しく擦りあげ、最奥を突き上げた。思わず彼の腕に爪をたて、泣きじゃくった。
「いやっ、いやっ、いやぁああ…っ!」
「……すげぇ、熱いな……」
「ひっ、ぁあっ、許しっ…ぁああッ! ああッ!」
 唾液が唇の端から滴り、顎をつたい落ちた。
 涙がぼろぼろこぼれ、頭の奥がぼうっと霞んだ。
 苦痛と快楽と衝撃で、だんだん何がなんだか分からなくなってくる。
 土方は総司を抱えたまま床に坐ると、壁に凭れさせたまま犯した。短いストロークで、濡れそぼった蕾に男の熱い楔が打ち込まれる。そのたびに、総司は悲鳴をあげ、躯を仰け反らせた。男の肩に担がれた白い両足が突っ張る。
「ぅ、ぁあっッ! あああっ…んっ」
「……」
「ふ…ぅうっ! んんっ…ああっ、ぅ…あう──」
 逃れることなど出来なかった。背中には壁があるのだ。
 もう、躯の中心を男の猛りで抉られるままだった。くちゅっくちゅっと卑猥な音が鳴り始める。それが総司の羞恥心を煽りたて、ふるふると首をふった。
「ん…くっ…ああッ、も、やめ…てっ…!」
「……」
「ひっ…ぁ、ひいぃッ!」
 不意に総司が甲高い声をあげ、びくびくっと躯を震わせた。
 男の猛りの括れ部分が、少年のもっとも感じるポイントを擦り上げたのだ。ぞくぞくするような甘美な快感をやり過ごそうと、きつく目を閉じた。が、それは土方にも伝わったようだった。耳もとで、男がくすっと笑った。
「……ココ、か」
 土方は総司の膝裏に手をかけ、大きく押し広げた格好で壁に押し付けた。そして、己の猛りを蕾に深々と埋め込むと、いきなり激しく腰を回し始めた。
 感じやすい蕾の奥を男の太い楔でぐちゅぐちゅと掻き回され、総司は鋭い悲鳴をあげた。
「い…やあぁあぁ──ッ…!」
 狂ったように暴れるが、より深く男を咥え込んでしまった。何度も乱暴に擦りあげられ、鋭い快感に泣きじゃくった。
 我慢しようとしても、土方自身に仕込まれた感じやすい躯だ。男を求め勝手に動いた。
「や、やめてッ、これ以上されたら…ぁ…はあぁっ! あんんぅッ!」
 無意識のうちに、総司の腰が男の動きにあわせて淫らにくねった。
 土方が、くっくっと喉奥で低く笑った。
「気持ちいいんだろ? ほら、もっとよくしてやるぜ」
「ああっ! いっちゃっ…とまらなッ…ああッ! やぁああぁー…ッ!」
 甲高い悲鳴をあげた瞬間、白い蜜が一気に飛び散った。
、男の貪るような動きはとまらなかった。少年の両膝を抱え込んだまま、今度は小刻みに揺すりあげてくる。
 感じるポイントだけを容赦なく突き上げられ、総司は声も限りに泣きわめいた。
「ぃ…いぃっ、んぁあっ…っ…ぁあッ!」
「……っ」
 きつく唇を噛みしめ、土方は最奥を乱暴に突きあげた。また、総司のものから白い蜜があふれる。それを片手で擦り揉みこんでやりながら、腰を動かした。
 総司が無意識のうちにか、土方の胸もとに頭を擦りつけてきた。その手も彼の背中に回され、きつく縋りついた。強烈な快感に意識が朦朧としまっているのだろう。
「……総司……っ」
 それを、土方は昏く沈んだ瞳で見下ろした。
 心が鋭く痛んでいた。
 まるで治りきらない傷のように、ずくずくと血を流し続けていた。
 こんな事をしては駄目だとわかっていた。また罪を犯している、罪を重ねているとわかっていた。
 だが、それでも、この胸を激しく焦がす怒りを絶望を、どうすることもできなかった。
 愛してゆこうと思った。
 記憶を失った自分にとって、総司が唯一だった。少なくとも、世界中で一人だけでも自分を愛してくれていた人がいた。そう信じたからこそ、やり直そうと思った。歩いてゆこうと思ったのだ。
 なのに……!
 土方は黙ったまま、総司の細い体を両腕に抱きしめた。深く繋がったままなので、その動きに総司が微かに喘いだ。求めるように、艶かしく躯を擦りつけてくる。それを感じながら、きつく目を閉じた。
(……総司……!)
 怒りと絶望、混乱、苦悩の中で。
 彷徨いつづける闇の迷路の中で。
 いっそ、すべてを終わらせてしまいたかった─── 

 

 

 
 ゆっくりと目を開いた。
 まだ夜明け前の光景だった。
 薄暗い部屋に、カーテンの隙間から月の青い光が射し込んでくる。それを、総司はぼんやり眺めていた。
(……土方さん……)
 傍には誰もいなかった。
 ベッドの上、一人寝かされていたのだ。綺麗に躯は拭われ、パジャマも着せられていた。
 総司はのろのろと躯を起こした。
「……」
 躯が重く、痛かった。昨日、狂ったように犯され、総司は彼の腕の中で失神したのだ。
 確かにほとんど苦痛は与えられなかった。だが、それでも痛かった。引き裂かれるような心の痛みに、躯中が悲鳴をあげていた。
 総司はクローゼットを開けると、土方の薄地のコートを取り出した。パジャマの上から大きなそれを着込み、寝室を出た。とたん、どきりとした。
(……あ……)
 リビングのラグマットの上で、土方が眠っていたのだ。
 まるで、あの時のようにタオルケットをかぶって体を丸め、眠っている。激しいデジャヴが総司を襲った。
 同じ行為なのに。同じように、そこで眠っている彼なのに。
 今とあの時では、なんて違ってしまったのだろう。
 早く帰宅することができなかった──たったそれだけで胸を痛め、同じベッドで眠ることをやめた優しい彼。
 だが、その彼に昨日、自分はレイプされたのだ……。
「……っ」
 総司はこみあげる涙をこらえ、のろのろと歩き出した。できるだけ物音をたてぬようにして、廊下を通りぬけ玄関へ向かう。ぼんやりした意識のまま、躯を引きずるようにして外へ出た。
 彼と逢いたくなかった。
 怖かった、恐ろしかった。
 あれほど、昔、総司を犯したことを悔い、その罪悪感に苦しんでいた彼。その彼が昨日、総司を犯したのだ。いくら快感をあたえられても、あれはレイプ以外の何ものでもなかった。
 そのことは、二重の意味で総司を深く傷つけた。
 やはり、彼は、昔の土方ではないのだ。あんなにも愛した、愛してくれた彼は、もうどこにもいなかった。
 土方なら、あんな事をするはずがなかった。
 いくら強引に事をすすめても、総司が本気で嫌がればすぐにやめてくれた。
 いつもいつも、まるで壊れやすい宝物を扱うように、優しく大切に愛しんでくれた彼。
 なのに───
(……もう、全部終わったんだ。やっぱり、ぼくは……あの人の傍にいるべきじゃなかったんだ)
 総司はエレベーターで地上へ降り、重い足取りで官舎を出た。
 夜の闇に月だけが鈍く光っている。
 だが、もう何も見たくなかった。見えなかった。
(もっと早く別れていればよかった。こんなになるまで傍にいた挙句、ぼくも……あの人自身も傷つけて……)
 総司は目を閉じた。
 そのまま、ふらりと歩み出た。
 すべての音が、急速に遠ざかった。
 その時だった。
 突然、鋭い音が切り裂いた。激しいブレーキ音。
「……総司……っ!」
 悲鳴のような声が、少年の名を叫んだ。
 そして。
 次の瞬間、総司の視界は白い閃光だけに満たされた───








 

[あとがき]
 よくあるドラマ風の切り方ですね。とくに昼メロの〜(笑)。
 土方さん、完全にキレちゃいました。今回は絶対、土方さんが悪いです。でも、彼も苦しんでいるんです。記憶がないわ、周囲は何か隠し嘘をついている。自分自身の事もあやふやな中で、総司にやすらぎを見出そうとしたんです。なのに、それをふり払われた瞬間、切れてしまったと。たぶん、土方さんの中で眠っている総司への愛が、別れを突きつけられた瞬間、激しく反応してしまったんだと思います。いや、本文で書かず、こんな所でぺらぺら補足してるあたりに、文才のなさを感じますな(笑)。
 また、つづき、読んでやって下さいね♪


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