総司は家へ帰りつくなり、縁側に坐り込んでしまった。
 半ば呆然としたまま帰ってきたのだが、未だ考えは纏まらない。
 だが、一つのことだけは確かだった。
 総司の記憶を奪ったのは、土方なのだ。あの時、飲まされた薬、土方が囁いた言葉……それらがすべてを示していた。
 何故だったのかということは、薄々勘づいていたが、そんなふうに考えたくなかった。
 そこまで、疎まれていたなどと。
 しかし、記憶のすべてを思い出した今となっては、目を背けようもない事実だった。


「……土方さんは、私が邪魔だった……」


 総司は縁側に坐り込んだまま、呆然と呟いた。なめらかな頬を、大粒の涙がこぼれ落ちてゆく。


 それ程までに邪魔だったのか。
 すべての記憶を奪い、新撰組から追放してしまいたいほど、目障りだったのか。
 伊東と親交を深める総司に、土方が眉を顰めているのはわかっていた。
 隊内の対立、争いの中で、自分が重要な位置を占めており、彼が自分を欲していることも。むろん、それは総司が望む形ではなかったけれど。
 土方は総司を己の手駒にしようとし、それが不可能とわかると、記憶を奪い、存在そのものを消し去ったのだ。
 争いの中、伊東派につくのなら、いっそ抹殺した方がいいと判断したのか。
 だが、実際に殺す事は不可能だった。近藤の手前もある。
 だからこそ、記憶を奪ったのだ。総司からすべての記憶を奪い去り、新撰組から放り出した。
 探しているなど、嘘だった。総司を消し去ったのは、土方自身だったのだから。
 だが、ならば、どうして今になって優しくするのか。あんなに優しくして、愛しているなどと囁いて、土方に何か得することでもあるというのか。


 そこまで考えた総司は、はっと息を呑んだ。
 彼は、自分が記憶を取り戻すことを恐れているのだ。そんな事になれば、再び新撰組に総司は戻り、争いの火種になりかねない。
 それを恐れ、記憶が戻らぬか見張っているのだとしたら……。
「……っ」
 笑いがこみあげた。
 躯の内から、堪えようとしても笑いがこみあげてくる。
 惨めで、情けなくて、悲しくて。


 莫迦みたいだった。
 無邪気に、彼の言葉を、彼からあたえられる愛を信じて、幸せに酔いしれていた自分は、なんて愚かだったのか。
 だが、それでも信じたかったのだ。土方を心から愛しているからこそ、彼を信じたいと願っていたのに。


 総司は手の甲で涙をぬぐい、縁側に坐りなおした。じっと視線を宙にむけ、考え込む。
 そこにいるのは、昨日までの総司ではなかった。
 一縷の望みもない恋心を胸に秘め、彼を愛するがために戦いつづけてきた、新撰組一番隊組長沖田総司なのだ。
 氷のように冷たく誇り高い。だが、本当は、傷つきやすく脆い心を抱えた、幼い子どものような総司だった。
 だからこそ、記憶を失った時、素直で無邪気な本当の総司が現われ、今も、土方の真実を知ってこんなにも傷ついている。
「これから……どうすればいい」
 己に問いかけ、総司は唇を噛みしめた。


 何よりも、土方にどう接すればいいのか、わからなかった。
 むろん、記憶を取り戻した事など、告げられるはずもない。そんな事をすれば、土方を思うさま罵ってしまいそうだ。
 そんな事だけはしたくなかった。裏切られ、騙されたと知った今でも、彼のことはやはり愛しているのだ。彼を罵ることなど、出来るはずもない。
 考えてみれば、想いを抱いていたのは総司の勝手なのだから。その気持ちを一方的に押しつけるのは、傲慢というものだろう。
「私は土方さんを愛している。でも……」
 彼を信じることは、もはや出来なかった。
 心から、彼の言葉を信じ、寄りそうことなど出来そうもない。だが、かといって、土方を拒むことも出来ない。今の自分は、彼の優しさ、ぬくもりを知ってしまった。
 いったん覚えたぬくもりを手放すなど、出来るはずもないのだ。
「なんて私は弱いの……。土方さんを信じられないくせに、あの人を拒むことが出来ないなんて……っ」
 総司は両膝を抱え込み、その上に顔を伏せた。
 また涙がこみあげそうになる。
 その時、だった。
「総司」
 不意に、名を呼ばれ、びくりと躯中が竦みあがった。驚いて顔をあげれば、たった今まで思っていた土方が庭を横切ってくる処だ。
 土方は足早に総司の傍までくると、縁側に片膝だけ乗り上がった。
「近くに来たから寄ったのだが……こんな処でどうした。気分でも悪いのか」
「……」
「総司? 大丈夫か。熱でもあるんじゃ……」
 黙り込んだままの総司を訝しく思ったのか、土方が手をのばした。その手が総司にふれそうになる。
 だが、次の瞬間、それは思いっきり払いのけられていた。
「いやッ!」
 悲鳴のような声をあげ、後ずさる。
 土方の目が見開かれた。
「……総司……?」
「いや……私にさわらないで!」
「どうしたんだ、いったい」
「駄目なのです。今は駄目……今だけは、お願い……っ」
 総司は後ろの障子を開き、這うようにして部屋の中へ逃げ込んだ。
 だが、それを土方が許すはずもない。閉めようとした障子を強引に押し開くと、中へ土方も入ってきた。それどころか、後ろ手にぴしゃりと障子を閉め切ってしまう。
「……総司」
 障子を背にしたまま見下ろす土方に、総司は息を呑んだ。あの時、新撰組で感じた怯え、恐怖感が蘇ってくる。
 だが、それを必死に堪え、ふるりと首をふった。
「お願いです。今日は帰って……私を一人にして下さい」
「何があった」
「お願い、土方さん。本当に……っ」
 半ば泣きながら懇願する総司に、土方は唇を噛んだ。
 だが、強引な事をしても仕方がないと思ったのだろう。土方は目を伏せると、背をむけた。障子に手をかけ、出てゆこうとする。
 その広い背を、総司は涙で濡れた瞳で見上げた。


 彼は今、出ていこうとしている。
 自分に背を向け、自分を残し、離れていこうと───


「……っ」
 己でもわからない衝動だった。
 躯中が引き絞られるように痛み、鼓動が速まった。気が狂いそうな訳のわからぬ衝動に突き動かされ、総司は立ち上がる。
 気がつけば、無我夢中で土方の背に抱きついていた。縋りつくようにして抱きつき、泣きじゃくる。
「! 総司……っ」
 驚き、土方が息を呑んだ。それを感じながら、ぎゅっと両手でしがみついた総司に、土方はふり返った。
「総司? いったい……」
「やだ…っ…行っちゃ…や」


 自分でも矛盾しているとわかっていた。
 一人にしてと云っておきながら、いざ彼が出ていこうとしたとたん、引き留めるなど。
 だが、それでも怖かったのだ。
 土方に背をむけられた瞬間、云いようのない恐怖がこみあげ、気がつけば縋りついていた。


「どこにも行かないで……私を一人にしないで……」
 泣きながら告げる総司に、土方は眉を顰めた。
 大きな瞳に涙をいっぱいためた総司は可憐で、いとけない。何があったのかわからないが、こんな総司を一人にできるほど、彼の気持ちは浅くなかった。
 土方は躯の向きをかえ、総司の細い躯を胸もとに引き込んだ。そっと両腕で包みこむように抱きすくめ、その髪に頬を擦りよせる。
「ここにいるよ」
「……土方…さん……」
「俺はどこにも行かない。おまえの傍にいる。だから、もう泣くな……おまえに泣かれると、どうしていいかわからん」
「っ……ぅっ……」
「ったく、しょうがねぇなぁ」
 土方は子どもを宥めるように、ぽんぽんと背を軽く叩いた。そうして、いったん躯を離してから畳の上に腰をおろすと、ほら、と両手をさしのべてくる。
「え?」
 きょとんとする総司に、土方は悪戯っぽく笑ってみせた。
「ほら、おいで」
「……」
 男の意図する事を察し、総司は頬を赤らめた。だが、そうされたいという誘惑には勝てず、おずおずと手をとり、そっと彼の膝上に腰をおろす。
 小柄な躯を膝上に抱きあげた土方は、唇の端をあげて笑った。耳もとに唇を寄せ、囁きかける。
「いい子だ」
「土方さん……」
「まだ涙で目が濡れているな。けど、もう怖くねぇだろ? 俺がいるってわかるだろ」
「うん……」
 こくりと頷き、土方の胸もとに頬を寄せた。聞こえる彼の鼓動がとても心地よい。
 土方から離れることなど、出来るはずがないのだ。
 そのことを、あらためて思い知らされた。
 愛されていないとわかった今でも、彼のことを誰よりも愛している。否、愛さずにはいられないのだ。
 幸せも、悲しみも、喜びも。
 何もかも全部、総司が存在する世界すべてを形づくるには、土方が必要だった。
 彼がいなければ、この世界はすべて色あせてしまうのだ。総司にとって、何もかも無と化してしまう。
 片思いでもいい。
 それは、あの頃も思っていたことだが、今はより強かった。
 今まで知らなかった彼のぬくもり、抱擁、口づけ、抱かれることの喜びまでも、教えられてしまったのだ。彼から離れることは、総司にとって、世界の終わりを意味していた。
「土方さん……」
 総司は顔をあげると、両手をのばした。そっと男の首をかき抱き、身をのりだすようにして口づける。
「……総司」
 土方は驚き、目を見開いた。何しろ、初めての総司からの口づけなのだ。
 だが、総司は猫のように身をくねらせると、土方の膝をまたぐように坐りなおした。そうして、何度も唇を重ねる。
 潤んだ瞳で男を見上げ、細い指さきで首筋や頬にふれた。
「抱いて……」
 そう囁いた総司に、土方は僅かに身をひいた。拒絶だ。
「……」
 探るような鋭い瞳をむけられ、きつく唇を噛みしめた。拒絶された事が辛くて、また泣きだしそうになってしまう。
 だが、すぐに気がついた。
 土方は戸惑っているのだ。常にない総司の様子に戸惑い、訝しんでいる。


(いけない。記憶を取り戻した事、気づかれたら……)


 それだけは避けなければならなかった。
 土方に気づかれる訳にはいかないのだ。自分が記憶を取り戻した事に気づいたが最後、彼は背を向けるだろう。偽りの恋人のふりさえ、してくれなくなってしまう。
 そうなれば、自分は、愛する彼を永遠に失ってしまうのだ。
 総司はいつもどおりの表情になると、愛らしく唇を尖らせてみせた。拗ねたような声音で云う。
「何? 私が欲しくないって事ですか?」
「……いや、そうじゃねぇが」
「あ、そ。じゃあ、もういいから。土方さんなんて、知らない」
 拗ねきったふりをして、総司は土方の膝から降りようとした。とたん、逞しい腕がその小柄な躯を拘束し、引き戻す。
 だが、総司は彼の胸もとに両手を押しあて、首をふってみせた。
「やだ。離して」
「離さない。せっかく誘ってくれたのに、離せるものか」
「誘い、断ったくせに」
「断ってなんざいねぇよ。ただ、驚いただけだ」
「本当に?」
 総司は抵抗をやめ、大きな瞳で土方を見上げた。
 それに、土方は柔らかく微笑んでみせる。少年のような優しい笑顔だ。あの頃、見ることなど出来ないと思っていた、きれいな笑顔。
 ぼうっと見惚れていると、ちゅっと音をたてて頬に口づけられた。
「本当だ。すげぇ嬉しかったよ、総司からの誘い。今から応じてもいいだろう?」
「……はい」
 するりと男の手が着物の袷からすべりこんでくる。しなやかな指さきが肌にふれ、その感触に小さく喘いだ。
 記憶を取り戻してから抱かれるのは、初めてだ。うまく彼を受け入れられるだろうか。いつもと違う反応をしてしまわないか、不安になってしまう。
 だが、土方は何も気づいていないようだった。珍しい総司からの誘いに欲情したのか、見上げた男の瞳は熱っぽく濡れている。
 獲物を狙う肉食獣のようなまなざしに、背中がぞくりとした。
 いつも以上に男っぽさを感じ、たまらなく彼が欲しくなる。


 愛されなくていい。
 それでも、この人が私の傍にいてくれるなら。
 愛しているふりをしてくれるなら、それだけで……


「……土方さん」
 ゆっくりと丁寧な手つきで、畳の上に横たえられた。
 白い肌に、愛おしむように口づけを落としてゆく。土方が唇で吸うたび、真っ赤な花びらが散った。それを満足げに眺め、目を細める。
「すげぇ綺麗だ」
 甘い囁きに、総司は恥ずかしげに身を捩った。障子越しとはいえ、陽の光の下、裸身を晒してしまっている。それをすべて男に見られていると思えば、羞恥心がこみあげて当然だった。
 それも男の方は着物を全く崩していないのだ。黒い小袖の襟元一つ寛げない彼に、唇を尖らせた。だが、土方はくすっと笑うだけでやり過し、総司の熱を高めてくる。
 下肢を開かされ、総司のものを手のひらに包みこまれた。ぬるりと指さきを濡らした感覚に、男が喉奥で笑う。総司は、かぁっと頬が火照るのを感じた。
「……や、だ、恥ずかし……っ」
「恥ずかしいものか。こんなに感じているんだな……可愛いよ」
 囁きざま、ゆっくりと手のひらを押しつけるようにして擦った。それだけでびくびく震えてしまう。
 だが、土方はそれを高めることなく、濡れた指さきを更に奥へと滑りこませた。膝裏を掴んで押し上げ、剥き出しになった蕾を指の腹で撫でる。
「や、ぁッ──ぁ……」
 総司が顔を真っ赤にし、ふるふると首をふった。恥ずかしくてたまらない。
 土方は胸もとや首筋に口づけながら、慎重に指をさしこんだ。柔らかく蕾を押し広げるように、抜き挿しすると、腰がゆらゆらと揺れた。
 もう感じているのだ、彼を欲しがっているのだ。
 少しずつ男を教え込まれ、それに馴らされてきた恋人の愛らしい媚態に、目を細めた。
 堪らなくなって指を抜き取ると、己のものを掴みだし、濡れそぼった蕾にあてがう。両膝を抱えるようにして二つ折りにし、のしかかると、総司が小さく息を呑んだ。
「土方さ……」
「躯の力を抜いていろよ」
 掠れた声で囁きざま、ゆっくりと腰を進めた。狭いそこを割り広げるように、男の太い猛りが蕾を貫いてゆく。
「ッ! ぁっ、ぅ……ッ」
 無意識のうちにか、総司は上へ逃れようとした。だが、それを許さず、しっかりと奥まで受け入れさせる。
「ぁああッ!」
 最後の瞬間、男の楔を奥まで打ち込むと、総司が仰け反り、悲鳴をあげた。見開いた目から、ぽろぽろ涙をこぼしている。
 土方はその細い躯を両腕で抱きすくめ、はぁっと息をついた。
 幾度も抱きはしたが、やはり狭い。少年のように華奢な総司に、大人の男である土方を受け入れさせるのは、苦痛なしでは無理なのだ。
 それでも求めてしまう男の欲に苦笑しつつ、土方は総司の躯が馴染んでくるのを待った。
 決して傷つけたくない。
 愛しているからこそ、ふたり共に気持ちよくなりたいのだ。
「……動いていいか?」
 そう低い声で問いかけた土方を、総司は潤んだ瞳で見上げた。少し躊躇いがちだったが、こくりと頷く。それに、額に口づけを落し、「怖がるな、よくしてやる」と囁いた。
 一度身を起し、小袖をもろ肌脱ぎにした。障子越しの光の中、褐色の逞しい男の躯が露になる。
「……」
 総司は息を呑み、思わず見惚れた。
 男の引き締まった躯は、しなやかで美しい獣のようだった。匂いたつような男の艶に、ぞくりとなる。


(この人が私を抱いてくれる。私は、今、ずっと憧れてきた土方さんに抱かれているんだ……)


 思わず両手をのばし、彼の躯に縋りついた。
 肌をふれあわせ、その心地よさに吐息をもらす。
 土方は、突然、甘えてきた総司に、少し驚いた。だが、あまりの可愛さに微笑み、より肌をふれあわせるように抱きすくめる。
 そうして抱きあったまま、ゆっくりと動き始めた。総司を怖がらせないよう、慎重に抽挿をくり返してゆく。
「っ、ぁ…ぁ、は…ぁっ…」
 総司は土方にしがみつき、快感だけを追った。
 愛しい男に抱かれている、その事だけを思おうとした。
 男の猛りが蕾の奥を擦りあげ、抉る。そのたびに突き上げる快感美に、総司は甘く啜り泣いた。自然と腰が揺れる。それに気づいた土方が微かに唇の端をあげた。
「……気持ちいいか?」
 耳もとで囁かれ、その低い声にさえ感じてしまう。
「ぁッ、ぁ…んぅっ、ぁんっ……」
「すげぇ可愛い。総司……たまらねぇよ」
「は、ぁあッ、ぁあっ、あ…っ」
 総司は白い両腕で男の首をかき抱き、より身を擦りよせた。もっと……と云わんばかりの仕草だ。そんな可愛い恋人のおねだりに応えるためにも、土方は総司の膝裏を掴むと、激しく腰を打ちつけ始めた。
「はッ、ぁあっ、ぁんっ、ぁあっ」
「……中、絡みついてくるぜ、すげぇな」
「云っちゃ…やあッ、ぁっ…ヒ、ぃッぁあッ」
 総司が頭を仰け反らせ、たまらないとばかりに泣きじゃくった。だが、その蕾の奥は熱くとろけ、深く突き入れれば、柔らかく絡みついてくる。
 土方は獣のように喉を鳴らし、無我夢中で総司の躯を貪り始めた。無意識のうちに逃げようとする総司を押え込み、蕾の最奥を太い猛りで穿つ。
 くちゅくちゅ鳴る淫らな音に、総司は耳朶まで真っ赤にして羞じらった。だが、強烈な快感美に、何もかもわからなくなってゆく。
「ぁあッ、ぃ、やああッ…ひいっ、ひいっ」
「は…ぁ……手加減、できねぇ…っ」
「も…だめっ、壊れちゃッ…ぁああっ、いやあ…っ」
 何度も何度も、快感の頂きまで無理やり押し上げられ、そのまま責めたてられる。
 総司のものは、もはや蜜をこぼし続けていた。男の楔を打ち込まれるたび、とろりとろりと溢れてしまう。
 いきっぱなしなのだ。絶頂が続く状態で躯の内部から責められる快感は、凄まじいものだった。総司は涙をぽろぽろ零しながら、哀願した。
「やめ…てぇっ……許し…ひいっ、ぁああッ」
「総司……っ」
 土方はその小柄な躯をきつく抱きしめ、蕾の最奥に猛りを擦りつけた。そうして、思い切り己の熱を解放する。
「ひいッ!」
 鋭い悲鳴をあげ、総司が仰け反った。ちょうど感じる部分に、男の熱が迸ったのだ。何度も注ぎこまれ、そのたびに腰を跳ね上げる。
「ぁ、ぁ…ぁあ…つ…ぃっ…やぁ…―ッ」
 限界を超えた快感に、総司は目を見開き、泣きじゃくった。土方は熱を吐精しながら、乱暴に腰を打ちつけてくる。濡れた蕾の奥を淫らに掻き回され、総司は気が狂いそうになった。
 逞しい両腕が総司の躯を抱きしめ、より深く交わる。
 はぁっはぁっと、互いの息づかいだけが響く部屋の中で、総司は半ば呆然と男の腕に抱かれた。
 これ程の快感は、初めてだったのだ。それは、もしかすると、ずっと愛してきた男に抱かれるという、歓喜故だったかもしれない。
 身も心もとろけそうなほど激しく抱いてくれた土方が、愛しかった。確かに、今まで経験した事のない快感は怖かったが、より彼を深く感じることが出来た気がする。
「……土方さん」
 そっと彼の名を呼び、総司は土方の背に手をまわした。
 それに、土方も額や頬に口づけを落し、優しく抱きしめてくれる。彼もまた、熱い快感の余韻に酔いしれているのだろう。
 二人わけあう熱を感じながら、総司は静かに目を閉じた。



















次も大きく展開します。