駄 文(仮)

カビと酵母とキノコ

2005.お盆真っ只中


 皆さん、カビと酵母とキノコの共通点をご存知だろうか?

 カビとキノコと酵母は、すべて真菌という微生物に属していて、それぞれはその中でのグループの名称である。

 カビと酵母は、真菌の形態上の分け方である。
カビは、糸状の形態をもつものをカビ(糸状菌)と呼び、又糸状の形態をとらない丸い形をした単細胞を酵母という。
だが、カビと酵母の分類は、見た目に依存した非常に曖昧な分け方で、真菌を分類する上で正式な分類名※1ではないのであるが、ここでは、酵母とカビを上記の特徴を持つ真菌のことを指すことで話をする。

 酵母はどんな奴と聞くと人は、パン酵母(イースト菌)やビール酵母などの発酵に活躍するためなんとなくいいことをしているイメージを持っていると思う。
逆にカビと聞くと人は、水虫や風呂場やパンに繁殖して我々を悩ませる災いの種という感じで毛嫌いする人が多いと思うが、カビの中にも人の生活に役立っている奴が多くいる。
日本人に非常に馴染みの深い日本酒や焼酎、醤油、味噌などは、カビ(麹菌)を繁殖させて作られているものの一つだ。
特に日本酒や焼酎はカビと酵母によって造られるお酒で、米(日本酒・焼酎)、芋(焼酎)などをカビ(麹菌)によってブドウ糖に変化させ、そのブドウ糖を酵母によって発酵※2することでお酒を作っている。
これ以外にも、アオカビの分泌物からは、ペニシリンと呼ばれる抗生物質が作られたり、自然界では、分解者と呼ばれ動植物の遺体、老廃物上でそれらを分解しそれを植物に還元するというすばらしい偉業を成し遂げていて、カビも結構いい奴なのである。

 では、キノコはというと子実体と呼ばれる菌類が胞子(種みたいなもの)を飛ばす為に作る生殖器官が、大型のもの(肉眼で存在がはっきり確認できるくらいのサイズ)又はそれをもつものをキノコと呼んでいる。
だから、キノコを食べるということは、真菌が作ったデカイ生殖器を喰うことを指すし、キノコの香りがイイだとか触感がイイというと…(*/∇\*) キャ って感じである。
ついでにいうと、花も植物の生殖器であることをお忘れなく。なので、花が綺麗ということは、その花の生殖器が美しいといっているのと同じである(言葉って恐ろしい(´ヘ`;))。


 現在、真菌の数は、約6000属、65000種が報告されている。そのうち病原性のある真菌(毒キノコも含む)は、まれなものも含めて約80種、200種(毒キノコが50種程度)と種で言うと約0.3%がヒトに害をなす真菌で私からいえば、極わずかのように思える。
このように、真菌のような微生物はヒトの目に見えない分、人は物怖じし、脅威を感じ毛嫌いするが、実際ヒトに有害な真菌は、限られたごく一部であって、カビや酵母の多くは、ヒトが生きるうえで欠かせないものとなっている。
我々としては、毛嫌いするどころか感謝しなければならない立場にあることを心得るべきである。又人前ではキノコと大声で叫ばないことを左手は推奨する。  了

※1 真菌の正式な分類はというと、有性世代(オスとメスで次の子孫の残す代)に産生される胞子の特長によって分類される。その分類は、ツボカビ門、接合菌門、子嚢菌門、担子菌門の4門と有性世代がまだ発見されていない不完全菌門に分類される。

※2 微生物(細菌や真菌など)の働きの中に発酵と腐敗というものがある。これは人間にとって有益な活動(良い香りや旨くすることなど)を「発酵」、有害な活動(悪臭や食えなくすることなど)を「腐敗」と呼んでいて、ヒトの感情にまかせた(偏見に満ち溢れた)呼び方である。
ちなみに左手にとって納豆(細菌が関与)は腐敗した食べ物だと思っている。


基準値(基準範囲)

2005.ゴールデンウィーク中


 基準値、それは、健康診断や病院で血液や尿検査などをするともらえる検査結果の右端なんかに良く書かれているものである。今回は、その基準値についてのお話。
皆さんは、あの基準値なるものどのように考えておられるのだろうか?
多くの方が、あの基準範囲からはみでた人は病気で、基準範囲内であれば健康だとは思っていないだろうか?

 そもそもあの基準値はどのようにして設定されているかだが、あの基準値は、通常、20〜60歳辺りの多数の健常者の測定値を集め、その内の約95%の人が入っているところを基準値としている。つまり、約5%(20人のうち1人)の人は、健常者であっても異常値となる。もし、仮に健常な人が10項目検査をすれば、0.9510≒0.60となり、健常者が100人検査を受ければ、40人の人がいずれかの項目で異常値がみられるということになる。
では、健常者の測定値がすべて基準範囲内となる基準値を作ればよいと考えるかもしれないが、それもまた、問題が発生する。これをすると病気であるのに基準範囲内となる可能性がでてくるのだ(基準範囲の境界線近くは、健常者と異常者が混在しているため。特に病気の初期は)。これは、検査で一番やってはいけないことだ。健常な人を異常と判断してもあまり問題はないが、病気の人を正常と判断してしまうとその人の病気を見落としてしまい、その人の病気は進行してしまい手遅れになる可能性がある。なので、健常者でも約5%は、基準範囲外となるが、病気の見落としは減らせる健常者の約95%を基準値としている。

 基準値には、他にも問題がある。基準値の設定で20〜60歳辺りの健常者から測定値を集めると書いた。 では、20〜60歳という40歳もの年の離れたデータを一緒くたにしていいのかということだ。20歳と60歳では全く違ったデータになるはずだ(外観からして違うのだから)。また、性別や体格その他もろもろも違うはずであるし一緒にしていいはずがない。中には、20〜60歳間に入らない人もこの基準値が書かれている場合がある(データの数が集まらないため仕方がないのだが・・・)。基準値というものは、集団での基準値であって個人の基準値ではないのだ。

 それ以外に個人の中でも変動がある。走ったり食べたり緊張したりまた、検査時間帯によってもデータは変わる。一般的に検査を行う場合、早朝空腹時で行うのが鉄則であるが、社会生活を行っている人にこれを徹底するのは難しい。
誰だって検査3時間前ぐらいにチョコレートを1枚食べると糖尿になるし、また、白衣を見るだけで高血圧になる人もいる(白衣高血圧と呼ぶ)。

 基準値には、基準範囲内であっても少しの異常を持つ人が含まれ、範囲外でも少しの健常者が含まれていることを知っておくとよい。このことを知っていると健康と病気の見極めは単一の基準値だけでは判断できないということが分かると思う。
人にはいろいろと個性があり、基準値にも又個性がある基準値なるものは単なる目安でしかなく、絶対的なものではない。


そもそも人を計る上で基準なんてものはないのだから。  了



イカソーメン

2005.桜咲く頃


 イカソーメンそう醤油をつけすぎると醤油の味しかしなくなるあの料理だ。皆さんは何故イカをあのように細く切るかご存知だろうか。私は食いやすくしているかあるいは醤油屋の陰謀でより日本人に醤油飲ませようととしているのだと思っていた。
しかし、本当の理由は別にある。それは

寄生虫を切り刻むために行っているのだ!!

イカにはアニサキスと呼ばれる白いミミズみたいなのがよく寄生しているのだが、そのアニサキスたる寄生虫を人が生きたまま食べると強い急性の腹痛を起こす。これは、アニサキスが本来の寄生先ではないため居心地が悪く、暴れ回り胃や腸の粘膜に侵入しようとして起こる。
治療法としては内視鏡と呼ばれる小さいカメラを口から胃の中に持っていきカメラで覗きながら虫をつまみだすのが一般的だ。たまに医者が盲腸や腸閉塞と誤診して腹を切られることがある。
あと、4日ぐらいで虫事態は死ぬので4日間痛みに耐え忍び便にまみれて出て来るのを待ってもよい。

アニサキスは、イカだけに寄生するのではなくサバやアジ、イワシなどの様々な海水魚に寄生しており、それらに寄生したアニサキスを食べても同じ症状を起こす。
よく鯖寿司を食べると当たるという人がいるが、これもアニサキスが原因といわれている。
しかし、この場合アニサキスが胃や腸に侵入することで起こるのではなく、アニサキスの体液に対するアレルギー反応で起こる。アレルギー反応といえば、有名なのが花粉症だがそれと同じようにアニサキスを食べも平気な人もいれば、今までアニサキスを食べても平気だった人が急にサバ寿司で当たることもある。

何故イカだけ細かく切るかという理由だが、これは簡単な理由でアニサキスは白く、大きさも長さ3cm、幅1.5mmぐらいなのでイカに付着していても気付き難いからだ。そのためイカソーメンという立派なメニューが出来上がった。

なので私はイカソーメンを食べるとき、常にイカとアニサキスに哀悼の意を込めながら、残党アニサキスを探している。  了

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