■SIMV(同期式間欠的強制換気)
1分間に決められた回数(=SIMV回数)のみ患者の自発呼吸にあわせ強制換気を行い、次の強制換気のタイミングまでの間は、自発呼吸に対し強制換気を行わないモード
自発呼吸が存在しない場合に使用する調節換気と比べ強制換気の送気時以外にも患者が自由に自発呼吸時にガスを吸入することができ、補助/調節換気(A/C)と比べすべての自発呼吸に対して強制換気を行わない
最近の機種は、自発呼吸時の吸気努力を軽減するため、強制換気が行われない自発呼吸に対してプレッシャーサポート(PS)を併用することができる
特徴
≪利点≫
・ | 強制換気以外でも自発呼吸時ガスを吸入することが可能(調節換気との比較) |
・ | SIMV回数によって強制換気回数を自在に設定でき、強制換気から自発呼吸への移行に有用(補助/調節換気と比較) |
・ | 強制換気の開始を患者の自発呼吸に同調して行える(IMVとの比較) |
・ | 自発呼吸の多い新生児には用いやすい |
≪欠点≫
・ | 強制換気の吸気流速および送気量が患者と人工呼吸器とで異なる場合、患者と人工呼吸器の同調性が得られない(PSVとの比較) |
・ | 機種の作動方式や患者の自発呼吸のタイミングによっては、強制換気回数とSIMV回数にズレが生じる |
■SIMV(同期式間欠的強制換気)の作動方式
SIMVは、強制換気と自発呼吸が混在するモードである。強制換気は、トリガーウィンドー内に自発呼吸を感知(トリガー)した場合と一定時間自発呼吸が感知できなかった場合に行われ、その合間に自発呼吸が行える。
1分間の強制換気の回数はSIMV回数によって設定され、SIMV周期は60秒をSIMV回数で割った(60÷SIMV回数)期間[秒]で設定される。トリガーウインドーの設定は機種ごとに異なり、可変時間方式(全期間方式)と固定時間方式(部分期間方式)の大きく2つに分類される。
可変時間方式(全期間方式)
SIMV周期内全てをトリガーウィンドーとする方式。自発呼吸の感知するタイミングによってトリガーウィンドーは可変。米国製の人工呼吸器に採用されていることが多い。
トリガーウィンドーの最初の自発呼吸の感知(トリガー)に対し強制換気を開始すると同時にトリガーウィンドーは終了する。トリガーウィンドー(SIMV周期)内に自発を感知しなかった場合は、SIMV周期終了後(次のSIMV周期開始時)に強制換気を行うが、この場合、強制換気に対してはトリガーウィンドーは閉じず、強制換気終了後自発呼吸を感知した場合、強制換気が行える。SIMV周期内に2回強制換気が行えることで自発呼吸を感知できなかったSIMV周期の強制換気の補充を行う(SIMV回数=強制換気回数)。自発呼吸は強制換気の間に行える。

@ | トリガーウィンドー(SIMV周期)内に自発呼吸を感知すると強制換気を開始すると同時にトリガーウィンドーを閉じる |
A | トリガーウィンドー(SIMV周期)内に自発呼吸を感知できない |
B | 次のSIMV周期のはじめに強制換気を行う。強制換気を開始してもトリガーウィンドーは閉じず、自発呼吸を感知すれば強制換気を開始する → SIMV周期内に2回強制換気を送気することで自発呼吸を感知できなかったSIMV周期の強制換気補充を行う |
C | 自発呼吸のみ行われる |
≪可変時間方式(全期間方式)採用機種≫
Vela、Avea、Bear Cub、BabyLog、Bear、AdultStarなど
≪可変時間方式(全期間方式)の特性≫
・ | 自発呼吸が感知される限り同期した強制換気が送気できる |
・ | 自発呼吸の周期が長い又は、不安定な患者に使用した場合強制換気の変動が大きくなる |
固定時間方式(部分期間方式)
SIMV周期内の一部に固定したトリガーウィンドーを設ける方式。欧州製の人工呼吸器に採用されていることが多い。
トリガーウィンドー内に自発呼吸を感知(トリガー)すると強制換気を行う。トリガーウィンドー内に自発呼吸を感知できなければ、トリガーウィンドー終了後SIMV周期内に強制換気を行う。SIMV周期内に2回強制換気を行うことはない。強制換気の間に自発呼吸が行える。

@ | トリガーウィンドー内に自発呼吸を感知すると強制換気を行う |
A | トリガーウィンドー内に自発呼吸を感知できなければ、SIMV周期内に強制換気を行う |
B | 自発呼吸のみ行われる |
≪トリガーウィンドーの固定時間 (機種ごとのアルゴリズムによって異なる)≫
固定値 | : | 1秒や1.5秒など規定された時間をトリガーウィンドーとする。 5秒のEvitaはSIMV回数12回(SIMV周期5秒)以上、6秒のBennett MA-2はSIMV回数10回(SIMV周期6秒)以上で可変時間方式(SIMV周期=トリガーウィンドー時間)となる 例) 1秒:CPU-1、CV-2000、CV-3000 1.5秒:CV-4000、CV-5000 5秒:Evita 6秒:Bennett MA-2 |
CMV時間 | : | 調節換気(CMV)時間又は調節換気時間を基準としてトリガーウィンドー時間を設定する 例) CMV時間:Servo 900 CMV時間の90%:Servo s、Servo i |
SIMV周期 | : | SIMV周期を基準としてトリガーウィンドー時間を設定する 例) SIMV周期の20%:ART-1500 SIMV周期の25%:Erica、Elvira、E-150、E-200、KV-3 |
≪固定時間方式(部分期間方式)の特性≫
・ | トリガーウィンドーが短いほど強制換気のバラつきが小さくなる |
・ | トリガーウィンドーが短く患者の自発呼吸回数が少ないほど、自発呼吸と同期した強制換気の送気が困難となる |
■ 参考
著者(編者、監修)名 | 書名(タイトル) | 出版年 | 出版社 |
丸川征四郎・福山学 | 人工呼吸器ハンドブック 2008 | 2008 | 医学図書出版 |
3学会合同呼吸療法認定士認定委員会 | 認定講習会テキスト | 2010 | 3学会合同呼吸療法認定士認定委員会 |
フクダ電子株式会社 | Servo s 簡易取扱説明書 v.3.0 | 2011 | フクダ電子株式会社 |
フクダ電子株式会社 | Servo 900C 取扱説明書 | 不明 | フクダ電子株式会社 |
IMI株式会社 | BearCub 750psv 取扱説明書 | 不明 | IMI株式会社 |