リンゴの絵 

2012年6月6日 記

 小さい時から絵と書は好きでした。
「書」は小学校の時から習っていたから、ずっとかかわりがあるのです。
小さいときに習っていた先生は、すごく才能のあった人らしく、女学校の書道の先生に「誰に習っていましたか?」といわれ「Y先生です」といったら「将来を嘱望されていたのに、若くして亡くなられ惜しいことでしたね」言っておられました。幸運にも小さい時に、いい先生に就いていたことは、知らないうちに美の感性が培われたのではないかと思っています。

 


デッサン 「リンゴ」  2012.5.28  Toshi

 

 結婚して子供の手が離れた頃に、本格的に書の勉強をしたいと思って、筑波大学の今井凌雪先生の門下入りました。ここでの修練は半端なものではありません。体力、気力、時間をなげうって、猛進しなければ着いていていけるものではありません。
展覧会作品の創作に追われながらも、30年近く先生の門下生としてたくさんの学びを受けることが出来ました。その恩師も昨年亡くなられました。先生の学問と、至高の芸術は他の追随を許さぬものですから、本当にもったいなく思いますし、感謝でいっぱいです。

 


ガッシュ絵具 「リンゴ」  2012.6.4  Toshi

 

 「絵」の方は好きだと言っても、ちゃんと勉強したわけでもなく、朝日カルチャーで少し習ったり、ジパング倶楽部のスケッチ教室に行ったりしたぐらいでした。
スケッチ旅行は楽しみでよく行きました。旅行に行って絵を描く。一石二鳥ではありませんか。好きなことばかりですからホクホクと行っておりました。
でも、描けません。納得できません。基礎が出来ていないから仕方がないのです。スケッチ教室のY先生は「自分の見たものを、思いきって楽しく描きなさい」と言われる。「今から画伯になれるものではない、画伯になるには若い時にデッサンを永いあいだ勉強しなければなりません」そして「週に3枚は描きなさい」とおっしゃいます。

 


ガッシュ絵の具 「リンゴ」  2012.6.6  Toshi

 

 それが今年に入って、「ご縁」というものでしょうか。知り合いのお嬢さんに教えてもらえることになったのです。大学で専門教育を受けた人ですから、「これぞプロ」という感じ。
厚顔無恥な老人でもみてくださるとのことで、週1回2時間の個人指導を受けて、知らなかったことを知る悦びを味わっています。先週はリンゴをデッサンしました。今週はガッシュでリンゴを描きました。もう一度描きたいと思ったので、昨日、ひとりで同じリンゴを描いてみました。時間があったので、アメリカンチェリーも描きました。

 


ガッシュ絵具  「アメリカンチェリー」  2012.6.6 Toshi

 

 一日をただ絵を描いて終わる。そんな一日でした。もったいない。ぜいたくな。自分のためだけに一日を使うなんて。気が咎めます。でも、ものを習うには予習復習がいるのです。たくさん描かなければ分からないんです。と。つぶやきながら描いておりました。
残り少なくなった日々を、このように使ってもいいのかしらとの思いは胸中にあります。
が、「許してもらって」楽しい一日を持ちました。

 人は何のために生きているか! 
それは幸せになるためです。幸せの追及をしているのではないかと思っています。これは近ごろの私の哲学です。
一瞬先もわからない人生の蓮(はちす)の上に座っているのです。
つたない生き方でも、それはそれ真面目に生きているのです。
愚かな生き方でも、それはそれ真剣に生きているのです。 
みんな、祈り、願い、念じてその日その日を暮らしています。
幸せでありたいために。

来週はどんな絵を描くのかしら。
たくさん教えてもらって、たくさん描きたいと思っています。