太極拳青島訪問記 

2010年10月22日 記

 


ラオシャン中腹より黄海を望む 2010.9.13 toshi


 今年の夏は格別な暑さでした。
9月10日からの中国旅行に備えて、私は体力をたくわえるため無駄なエネルギーは使わないようにして、「チンタオの公園で太極拳をしたい」という夢をふくらませていきました。
が、自分の持っているあらゆるマイナスの面を考えて最後まで悩みました。
しかし、劉莉先生や仲間達と一緒というのは、とても心強いことでした。

 もう25年も昔のことですが、1980年代に中国へ行きました。それは書道の社中で古典を尋ねての旅でした。碑林や摩崖や美術館の作品を追ってかなり奥地を回りました。黄河の上流ではジープで川を渡ったこともあります。 そんな旅をして中国の歴史や文化に感銘を受けていましたから、「今の中国をこの眼でみたい」という強い願望もありました。
 
 快晴の空を飛んで着いたところは、大きく新しいチンタオ空港です。劉莉先生が待っていてくださいました。その日は先生のご自宅に招かれていましたから私にとっては一番の楽しみでした。その地の人の生活を体験させてもらうのは、とても得難いことですから。
高層マンションの9階にあるその家は美しく、リビングも広くて私達一行16人はゆっくり座らせていただきました。先生のお母様、叔父.叔母様たちの心温まるおもてなしを受けて、「ああ来てよかった」との思いでいっぱいでした。餃子などのお料理が次々と運ばれてきますし、キッチンではまだ蒸し器の湯気が勢いよく上がってお料理が出来る様子。出されたお料理は一つひとつが丁寧に作られていて、それをこまかく書けないのは、ひとえに食べることに夢中になっていたからです。ご馳走様でした。おいしゅうございました。

 

 
早朝練習(近くの公園で)  2010.9.11 toshi

 

 チンタオは海に面した坂の多い町ですから、自転車は使えなくて自動車が多いのです。交通規制など徹底していませんから、真正面から突進してくる車にハラハラしたものです。
人口は800万と聞きました。人と車で町は活気に満ちて生き生きしていました。25年前に行った時は静かで落ち着いた中国でありました。女の人は化粧をしていなかったし、ファッションもありませんでした。それが今では、どの人もきれいに身をやつしてキリリと立っていましたね。

 人でも、国家でも「時」の大きな流れに動かされています。中国は国土も広く人口も13億といわれています。国外にいる人を合わせるとどれくらいになるのでしょうか。本当に強力なパワーです。隆盛期を迎えて国民も自信に満ちています。
近頃の多難な前途をかかえる日本が気になります。栄枯盛衰は世の常で、歴史を見ても人類はそれを繰り返してきました。あまりにも落剥した日本を立て直すのは、国民がもっと愛国心を持つことではないかと思うのですが。
 
 さて、思いがけないことを計画していただいておりました。
木村さんと私の傘寿のお祝いでした。私は来年にはその歳に なるのですが、その場に行くまで全然知らなかったので、 部屋着のままで気楽に行きました。旅行社の陳さんの奥さん がケーキの箱を二つ持っていたのは知っていたのです。 迂闊にも自分のこととは思ってもみませんでした。恥ずかし さとうれしさで頭の中は真っ白でした。奥さんはお祝いに ガラス製の赤い唐辛子がいっぱいぶら下がっている魔除けの お守りをくださいました。今、目の前の壁につるしてあり ます。皆様、本当にありがとうございました。

 このチンタオ旅行をお世話してくださいました久保田様、 劉莉先生のご高配に厚くお礼を申し上げます。私は、最後の 日にダウンして御心配をかけ申しわけございませんでした。 これは私が「中国の勢い」に圧倒されたからだと負け惜しみ な解釈をしております。一行の皆様にはたいへんお世話に なりました。ありがとうございました。
 
 緑の公園の木々の中、鳥のさえずりを聞きながら、劉莉先生、谷先生のご指導を受けて早朝錬習をしたこと、朝食後また練習したこと。この夢のような光景は、ずっと私の脳裏に焼きついていることでしょう。